SCP-2085 : ブラックラビット社

Information

Name: ブラックラビット社
Author: m0ch12uk1
Rating: 27/27
Created at: Sun May 18 2014
アイテム番号: SCP-2085
オブジェクトクラス: Multiple

  • Anomalous Organization

  • Anomalous Human (Modified)

  • Uncategorized Anomaly
    収容クラス: Active
    脅威度評価: Yellow
    標準収容ポリシー:

  • 1人用居住モジュール (無線信号遮断設備を内蔵) 、6つ

  • 備品の制限 (電子機器)

  • 食事要件: 液体食 (SCP-2085-B、文書2085-B-MEDを参照)

  • 食事要件: ベジタリアン (SCP-2085-A-1及びA-3)

  • 2週毎に1度の心理学評価 (シン博士、サマーズ博士が担当)

  • 監督下で許可される、1月毎に1度のグループ通話

特別収容プロトコル

SCP-2085-1の隔離や除去の試みは、SCP-2085の収容インプラントが有効に複製できるようになるまでは、許可されません。SCP-2085-1がSCP-2085の収容インプラントを克服した場合、SCP-2085とSCP-2085-1は即時に終了されます。

SCP-2085-A個体は、対象を収容室から移動させる前、あるいは職員の収容室への入室が必要となるあらゆる状況において、鎮静され拘束されます。

SCP-2085-1の除去と収容に成功した場合、[データ削除済]

説明

SCP-2085は6人のサイバネティック強化を受けた人物 (SCP-2085-A-1〜A-5及びB) からなる武装アナーキスト集団です。組織名として“黒イ兎師団” (またはその英名として“ブラック・ラビット・カンパニー”) を自称し、活動しています。

構成員らの証言から、SCP-2085について、20██年から20██年にかけて東アジア、東南アジア、オーストラリア、オセアニア、そして北米西部で発生した多数の犯罪やテロ事件との関連性が示唆されています。SCP-2085の活動拠点は存在するとしても不明であり、他の組織との繋がりに関しても分かっていません。財団が入手した同組織の資産は、回収時に所持していた装備品のみです。他の資産の存在が推定されていますが、そのような物資の隠し場所は未だに発見されていません。

SCP-2085の検証済みの活動には、密輸、窃盗、暴行、破壊行為、誘拐、恐喝、器物破損、核分裂性物質の所持、企業に対する業務妨害、横領、個人情報窃取、詐欺、著作権侵害、海賊行為、販売目的での麻薬所持、異常物品の所持・輸送および販売、脱税が含まれます。

これらの作戦の標的は主に犯罪組織、ヘイトグループ、その他要注意団体です。政府、軍隊、警察を標的とした攻撃はSCP-2085構成員らから強く支持されているものの、通常の活動に比べると機会主義的な要素は少ないようです。SCP-2085の作戦は通常、民間人の死傷者を最小限に抑え、標的の物資および士気への損害を最大化するように計画されています。

SCP-2085の全構成員が、財団による協力協定に関する全ての申し出を一方的に拒否しています。6人のうち3人は、財団と協力するよりも死を選ぶと明言しました。

SCP-2085-A

SCP-2085-Aは5人の増強されたヒト成人女性であり、それぞれSCP-2085-A-1からSCP-2085-A-5と指定されています。いずれの個体も、推定6〜10人の異なる遺伝子ドナーを持つ遺伝的キメラです。SCP-2085-Aらは共通して日本語、普通話中国語、広東語、朝鮮語、ロシア語、英語に堪能であり、さらに個体ごとに異なる追加の言語を習得しています。また、全個体が自閉スペクトラム症に典型的な行動を示します。SCP-2085-A群は、以下を含む一連の遺伝子的・サイバネティクス的な改造を施されています。

  • 耳、尾、頭髪の色など、外見上の特徴に現れている、イエネコ (Felis catus) の生理学的性質との遺伝工学的接合。尾は巻き付けるのに適しており、小物体を掴むことができる。
  • 両手足のグリップパッド。
  • 指先の格納式ブレード。
  • サーマルビジョン、ヘッドアップディスプレイ、録画装置などの眼球インプラント。
  • カーボンナノウィーブ筋肉繊維増強及び内骨格強化。
  • 体内に埋め込まれたハードドライブと接続された、ブレイン・コンピュータ・インタフェース。
  • 局所戦術ネットワークを伴う無線通信一式。
  • 痛覚遮断物質や知覚認識増強剤、改変フェロモンなどの分泌を行う薬物腺。

インプラントのデザインは統一されており、導入後の改造の痕跡は見られません。一部の外見的特徴の変更は、最近になってから行われたもののようです。さらなる詳細については、文書SCP-2085-A-EXPを参照してください。

SCP-2085-B

SCP-2085-Bは、遺伝子的・サイバネティクス的な改造を施されているヒト成人男性です。その具体例を以下に示します。

  • 消化管の流動食への適応。食道へのインプットポートと排泄物のアウトプットポートがスーツに統合されている。
  • 発汗を調節し、スーツの長期使用による摩擦ダメージを軽減し、皮膚の再生を補助する改造。
  • 生殖器の除去。
  • 手足の失われた指11本の置換。
  • 主に鎮痛剤の投与に用いられる、体内埋め込み式の薬剤ポンプ。
  • SCP-2085-1の収容インプラント。

既知の全ての強化箇所に関する更なる情報については、文書2085-B-EXP を参照してください。

これらの改造は長期に渡り (最も古いものは20██年に、最新のものは収容の3週間前に施されている)、複数の供給元 (いずれも未だ明らかにされていない) に由来するもので、SCP-2085-A群と比較して著しく低品質です。SCP-2085-1収容インプラントの多くの部品は、交換または改変されています。

SCP-2085は平常時においても健康状態が悪く、ビタミンD欠乏症 (食生活の改善により現在は軽減)、急性放射線症候群 (症状から推測すると、およそ2 Gyの放射線を少なくとも3度浴びている)、そして深刻かつ度重なる皮膚潰瘍形成による大量の瘢痕を負っています。SCP-2085-Bは英語と限定的な日本語を話すことができ、職員に対して概ね協力的です。SCP-2085-BはS1035 ACES1を常に着用しており、多くの場合、その上からバスローブと赤いフェルトの魔法使い帽子を身に着けています。さらなる協力を促すため、SCP-2085-Bはこれらの物品の所持を許可されています。

SCP-2085-1

SCP-2085-1は自己複製能を持つカーボンナノマテリアルで構成された繊維質の物体です。SCP-2085-Bの胸腔に棲み、肝臓・すい臓・胆のう・脊髄・肺左部に突出して成長しています。SCP-2085-1の成長とSCP-2085-B体組織の消費は、成長部と制御ノードの通信の遮断や自己複製プロセスへの対抗を行う多種の収容インプラントの追加によって妨げられています。

これらの収容インプラントの影響を受けていない状態でのSCP-2085-1の複製速度は不明です。SCP-2085-1の活動期は平均して3ヶ月に1度訪れます。その期間は最長で15分ほど継続し、SCP-2085-Bに対し激しい苦痛を引き起こします。SCP-2085-Bは活動期の間にSCP-2085-1とコミュニケーションを取っていると主張していますが、この主張は検証されていません。

回収記録

財団によって最初にSCP-2085が発見されたのは、20██/08/13、テキサス州[編集済み]において█████████████████████████████の構成員らが処刑された事件2の後のことでした。殺害された4人の中には、特別人員調達プログラムの連邦連絡員を務めていたエージェント・███████が含まれていました。州および連邦の法執行機関が派遣され、翌日の16:47にSCP-2085と初めて接触しました。その異常性が確認された後、回収エージェントが派遣されました。20██/08/17 03:44、ワイオミング州[編集済]にてその収容が確認され、その後の処理のためにサイト-███へと移送されました。

捕獲の時点で、SCP-2085によって引き起こされた死傷者の総数は[編集済]人でした。

SCP-2085に関する動議のタイムライン

  • 20██/08/18: 内部保安部門 (ISD) はGOI-███、GOI-███、GOI-███の構成員との同様の戦闘における前例を挙げ、対象は敵戦闘員であり、非収容アノマリーに対する保護措置を受ける資格がないことを理由に、対象の即時終了を要求する動議をプロジェクト審査委員会に提出する。
  • 20██/08/25: アノマリーの脅威評価が未完了との理由で、動議は却下される。
  • 20██/08/25: 内部保安部門はSCP-2085を活発な安全保障上の脅威および反財団イデオロギーの媒介であるとして、対象を居住研究部門からISDの管理下に移送するよう求める動議を管理官委員会に提出する。
  • 20██/09/04: 管理官委員会における投票は3分の2以上の賛成に達さず、動議は却下される。
  • 20██/09/04: 内部保安部門が管理官委員会の裁定に異議を申し立てる。
  • 20██/09/12: ███████博士と研究チームが管理官委員会に予備的な観察結果を提示する。
  • 20██/09/15: 管理官委員会における投票は3分の2以上の賛成に達さず、本件に関する決議は監督評議会に移管される。
  • 20██/09/22: 監督評議会の███████博士に対する決議は7-6で可決される。SCP-2085に関する権限は居住研究部門に留保される。
  • 20██/09/23: 内部保安部門が監督評議会の裁定に異議を申し立てる。 (保留中)

インタビュー記録

入所時インタビュー

██████研究員: <おはようございます。本日のインタビューを担当する、██████と申します。記録のため、あなたのお名前を教えてください。>

[対象はインタビュー用の机の前に着席している。]

SCP-2085-A-1: 英語でいい。

██████研究員: おっと、分かりました。まず、あなたの名前を述べてください。

SCP-2085-A-1: 草薙素子少佐3、黒イ兎師団の代表者だ。

██████研究員: 組織の司令官でもあるのですよね?

SCP-2085-A-1: 他の誰かがその役職に選出されるまでは、そういうことになっている。

██████研究員: 分かりました。それでは、あなたの組織の概要、目標、過去の活動などについて教えていただけますか。

SCP-2085-A-1: [沈黙。対象は一瞬困惑したように見え、その後笑い始める。]

██████研究員: 何がおかしいのです?

SCP-2085-A-1: 我々はお前たちの部下を少なくとも1ダースは殺したし、4つの州を跨ぐカーチェイスを繰り広げたというのに、ドーナツとコーヒーをお供に舐めた質問を飛ばしてくるのが不思議でな。お前たち、アメリカ政府ではないんだろ?

██████研究員: 待ってください。オリエンテーション資料は渡されていませんか? 暗い灰色のフォルダーに入れてあったはずです。表紙にロゴがついていて、「新規居住者向け資料」と書いてある。

SCP-2085-A-1: 覚えがない。受け取ったのは、3着分の衣服と衛生用品のセットだけだ。

██████研究員: それは申し訳ありません。本来であれば、あなたに渡しておくべきものだったのですが4。私は、あなたがたのような特殊な状況に対応する、非政府研究機関に所属しております。作業が終わり次第、資料をお渡しします。あなたとあなたの仲間の安全は確保されていますので、どうかご安心を。

SCP-2085-A-1: メン・イン・ブラックにも、慈悲深い心があるとはな。

██████研究員: あなたが思っているほど悪い所ではありません。それは保証します。

SCP-2085-A-1: ベッドがどれだけ柔らかかろうが、牢獄は牢獄だろう。

██████研究員: ええと、どうやら話が脱線してしまったようです。組織の目的についての話に戻っていただいても?

SCP-2085-A-1: 脱出すること。それが果たされるまで、ファシズムを破壊し、それを支える資本主義的・植民地主義的な構造を解体するための直接的な行動を起こすこと。それ以外の全てはオマケのようなものだ。

[沈黙]

我々を解放してくれても構わんのだぞ?

██████研究員: 残念ですが、現時点でその選択肢はありません。

SCP-2085-A-1: すぐそこにドアがあるじゃないか。そこの鍵を開けてくれればいい。それで出て行ける。

██████研究員: 申し訳ありませんが、それは──

SCP-2085-A-1: 自分が撃たれることになる、とでも?

██████研究員: [沈黙]

SCP-2085-A-1: 実際そうなるだろうな。

██████研究員: 他に何か言っておきたいことはありますか?

SCP-2085-A-1: [沈黙]

この世界は、我々の帰るべき場所ではない。ただ生まれた場所というだけに過ぎん。開けた道は今でも優しく呼びかけている。“2番目の星を右に曲がって、そのまま朝まで真っ直ぐに”。

<記録終了>

入所時インタビュー

██████研究員: おはようございます。私の名は██████、本日のインタビューを担当します。まず最初に、あなたの名前を教えてください。

SCP-2085-A-2: ミリィ・トンプソン。あ! ダメ! この名前は前にも使った。じゃあ能井ノイ! ノイって呼んで。

██████研究員: ふむ? ありがとうございます。えー、では、ノイさん、今日は正式な聴取の前に、同僚たちから聞いておいてくれと頼まれている質問がありまして。なぜ組織名が「黒い兎」なのでしょうか? つまり、黒猫の方がらしいのではないか? ということです。

SCP-2085-A-2: まあ、月にいるのは兎さんであって、猫ちゃんではないよね5。あと、ウチらがその名前を思いついたときには「黒猫団」っていう組織がもう既にあったんだ。なんか、フランスのアート窃盗団的なやつだったかなぁ。

██████研究員:なるほど。

SCP-2085-A-2: 名前のことを聞かれたのは初めてじゃないし、あんまし気にしないで! 個人的には、本当は「チーズケーキ・ガンショウ旅団」が良かったんだけど、秒で却下されちゃってさ。

██████研究員: それは残念ですね。私は、その名前も結構良いと思いますが。では、本題に入りましょう。黒イ兎師団におけるあなたの役職は何ですか?

SCP-2085-A-2: [腕を曲げて力こぶを作り、微笑む] 超おっきい身体で、ファシストどもをぶっ潰す役。

██████研究員: 確かに、非常に効果的なようです。あなたがここに来る以前の組織の活動について何か教えていただけませんか?

SCP-2085-A-2: 多分、カーチェイスの件については知ってるよね? 少佐とはもう話した?

██████研究員: はい。具体的なことはあまり教えてもらえませんでしたが。

SCP-2085-A-2: うーん、そうだね…… 色んな分野にちょっとずつ手を出してるって言ったらいいのかな。暗殺、強奪、警備に配達、それからバースデーパーティーと……

██████研究員: バースデーパーティー?

SCP-2085-A-2: あれは最高だった! ミニーメイがマジシャンとして参加したんだけど、助手役のアスカとレイ6にピエロの衣装を着せてみせたんだ。どうやってそんなことができたのか全く分からないや。とにかく、ケーキを切り終わったところで例のスキンヘッド野郎が現れて、それで銃撃戦が始まって……

██████研究員: それは、子供の誕生日パーティーについての話ですよね? 私の認識が正しいか不安になっています。

SCP-2085-A-2: そう! 子供たちも超大喜びだった!

██████研究員: [長い沈黙] どう反応していいか分かりません。

SCP-2085-A-2: [笑い声] すぐ慣れるさ。もし君が良いならだけど、これを続けてもいいよ。時間だけはたっぷりあるし。

██████研究員: 構いません。

SCP-2085-A-2: やったぁ。これはウチらがカムチャッカにいた頃に、ソビエトの古いバンカーに侵入した時の話なんだけどさ。30年は開けられてなかったようなところで、サイキック連中に占拠されてて。そいつら、グレードAの高濃縮プルトニウムの上にどっかり座ってたんだよ? ウィザードが説得して話をまとめてくれて、それから内部に突入した。もちろん、そいつらに売りつけた“黒蓮の粉”は全部ニセモノだったんだけどさ。撤収する前に気づかれたもんだから、全員で銃をドンパチし出して……

[SCP-2085-A-2はその後3時間53分に渡って、この状態を継続した。供述された出来事は順に、GRU-P部局との関連が推定される封鎖されたソビエト時代のバンカーへの奇襲、上海における性的人身売買組織の壊滅、サンフランシスコのピザ宅配サービスを装って行われた警察に対する一連の嫌がらせ、オレゴン州における白人至上主義民兵組織への襲撃、複数の暗号通貨ファームの爆破、シリコンバレーのテック系スタートアップ企業へのランサムウェア攻撃、SCP-2085-A-4が実はタイ王国の女王であるという宣言である。]

<記録終了>

入所時インタビュー

██████研究員: こんにちは。私は██████、このインタビューを担当します。記録のため、お名前を言ってください。

SCP-2085-A-3: エイシャ・クランクラン。

██████研究員: 組織での役職は?

SCP-2085-A-3: 衛生兵、通訳、あと支援要員です。

██████研究員: あなたのご友人、ウィザード氏の体調について教えていただけますか?

SCP-2085-A-3: ああ、あれですね…… ウィザードはいつも心配をかけたくないって言ってるんですが、万が一発作を起こした時の対処法は私たちも知ってます。

██████研究員: どうするのですか?

SCP-2085-A-3: 彼にツールキットを渡して、指示を待ちます。大抵は彼が自分で解決しますけど、たまに他人の手を借りないといけなくなります。私たちが戦地で対応できる以上の助けが。そういうときは、さらに追加の支援を求めることになります。

██████研究員: その人たちについて何か情報はありませんか?

SCP-2085-A-3: いえ、全然知りません。あまり外と交流したがらない人たちなので。

██████研究員: なるほど、分かりました。彼の状態について他に何か知っていることがあれば、お願いします。

SCP-2085-A-3: ウィザードは、レッドが話しかけてくると言ってました。それが成長するときに、恐ろしいことを囁くのだと。ソレが何も残らなくなるまで彼を蝕むつもりであること、そして最終的には皆に同じ運命が訪れるのだということ…… 癌細胞の言葉としては理にかなっていますよね。私は聞いたことないですけど。

██████研究員: ウィザード氏の経歴について何かご存知ではありませんか? 組織に加わる前は何をしていたのでしょう?

SCP-2085-A-3: あまり知りません。少し前に家族がいると言ってましたが、その話はそれっきり一度もしてません。彼の家族はきっと、ウィザードがもう死んだか、逃げ出したか、そんな風に考えているのでしょう。彼にはその頃の思い出はもうありません。だから、今は私たちが彼の家族なんです。もし残しておきたい価値があるのなら、過去の人生を捨てる男の人はいないと思いますよ。

<記録終了>

SCP-2085-A-3によって提出された筆記メッセージ、20██/██/██

もう殺して。

目や骨や脳に入ってるコンピュータが欲しいの? じゃあどうぞ。全部持っていけばいい。私は気にしない。もう、どうでもいい。そのあとは殺してもいいし、放り出してもいい。目を抉っていいし手足をちぎってもいい。ここから解放されるなら。少なくとも、お前らの支配下にいるよりはずっと良い。

お前らは私たちに3度の食事と寝床とたまに本を与えて、そうやって檻の動物か棚のお人形のように閉じ込めることが正しいことかのように見せかけようとしている。お行儀良くして、綺麗な白衣を着て、「お願いします」とか「ありがとうございます」とか言って、心のある人間のふりをしやがって。

自分が誰を騙していると思ってるの? 私たちはお前らの正体を知ってる。お前らと、お前らのお仲間の正体を。国家のためだろうが、神のためだろうが、私腹を肥やすためだろうが、お前らは皆同じクソ野郎だ。ただ人を傷つけるのが好きなだけ。死体の上に帝国を築いて、それを整ったお庭だと呼ぶような連中。

いろんな苦労をして、これまで何とか生き延びてきたのに、結局、逃げ出してきたはずの場所に戻ってきた。また“箱入り娘”に元通り。

私たちは宇宙に行くつもりだった。船を作って、6人でここを離れて世界を見下ろして、そして私たちは勝つはずだった。勝つはずだった。生きていられるはずだった。皆に大丈夫だって見せて、そして皆も自由になれるって、皆も生きていけるって示すはずだった。皆を助けるはずだった。それが…… 全部台無し。

だからもういい。あなたたちが勝った。私たちを打ち負かした。

私はただ、もう一度姉妹たちに会いたいだけ。

事件2085-A-3-2

20██/██/██ - SCP-2085-A-3は心理学評価の最中に、シン博士に対し自傷行為と自殺念慮について報告した。緊急時プランが実施された。SCP-2085-A-3はシン博士の勧めにより芸術療法コースを受講した。

事件2085-A-3-3

20██/██/██ - SCP-2085-A-3は (緊急時プランに基づき) SCP-2085-A-2との緊急の通話を許可され、1時間9分の対話が行われた。その後も定期的な通話が緊急時プランのスケジュールに基づき継続された。

入所時インタビュー

██████研究員: 記録のため、あなたのお名前を教えてください。

SCP-2085-A-4: [右手の中指を立てる] ひざまずいて、しゃぶりやがれ。

██████研究員: 苛立つお気持ちはわかりますが、長い目で見れば協力していただいたほうがお得ですよ。記録のため、あなたの名前を教えてください。

SCP-2085-A-4: [さらに左手の中指を立てる] 聞こえなかったか? オレ様のチンボコをテメエの薄汚え口で咥えて、しゃぶりやがれって言ったんだ。この近親相姦趣味の靴舐め野郎が。

██████研究員: もし気持ちを落ち着かせるための時間が必要であれば──

SCP-2085-A-4: [言葉を遮る] もうちょっと分かりやすく言ってやろうか。テメエは [██████研究員を指さす] 今すぐおうちに帰って [2本の指を足に見立て、別の手の平に歩かせるような動作] ママの [体重過剰の女性を暗示するジェスチャー] ケツ穴でも [立ち上がり、背を向け、背を指さす] ファックしてやがれ [侮蔑的なジェスチャー] ってんだ。

██████研究員: もう一度だけチャンスを与えます。ここで協力していただけるかどうかで、あなたの将来における待遇が決まることでしょう。あなたの名前を教えてください。

[短時間の沈黙、SCP-2085-A-4は直前の申し出について考えているように見える。]

SCP-2085-A-4: ディオ・ブランドー。

██████研究員: いいでしょう。では、ディオさん──

[SCP-2085-A-4は観察用の仕切りを殴りつけてガラスに大きなヒビを入れ、笑みを浮かべる。]

[SCP-2085-A-4は拳を引き、指を曲げる。再び仕切りを殴りつけ、さらに亀裂が生じる。対象は声を上げて笑う。]

[██████研究員はロックダウン手順を起動する。保護シャッターが降下し、エアロゾル鎮静剤が収容ユニットに噴射される。SCP-2085-A-4はシャッターを殴り続け、██████研究員はインタビュー室から退出する。]

SCP-2085-A-4: [くぐもった叫び声]

SCP-2085-A-4: クソボケがよ!

事件2085-A-4-11

20██/██/██ - SCP-2085-A-4は自身に課せられた制裁の解除と引き換えに、グループの過去の作戦の録画記録を提供すると申し出た。この提案は受理されたが、SCP-2085-A-4の過去の行動傾向を考慮し、提供されたファイルがコンピュータウイルスまたはミーム・情報災害エージェントであった場合に備え、隔離されたネットワーク上でDクラス職員によってアクセスが試みられた。

提供されたファイル“backup.avi”は、SCP-2085-A-4の視点から撮影されたと推定される、排泄物で満たされたトイレを写した2時間におよぶ録画映像と、赤軍合唱団による民謡『コロベイニキ』のループ再生で構成されていた。この動画には視聴覚認識災害が含まれており、観察していたDクラス職員にアナフィラキシーと滲出性下痢を引き起こした。Dクラス職員は、ファイルへの最初のアクセスから4分後に失血と酸素欠乏により死亡した。ファイルは問題なく削除された。

SCP-2085-A-4に対する制裁は継続中である。

入所時インタビュー

██████研究員: 記録のために名前を述べていただけますか?

SCP-2085-A-5: モリイ・ミリオンズ。

██████研究員: ありがとうございます。組織におけるあなたの役割は何でしょう?

SCP-2085-A-5: 鉛製の金属塊を高速で射出し、遠方から敵の頭部に穴を開ける。

██████研究員: 組織の過去の活動について教えてもらえますか?

SCP-2085-A-5: いや。

██████研究員: ウィザードについて教えてもらえますか?

SCP-2085-A-5: いや。

██████研究員: レッドについて教えてもらえますか?

SCP-2085-A-5: いや。

██████研究員: 質問に答える気はあります?

SCP-2085-A-5: ない。

██████研究員: では敢えて聞きますが…… なぜインタビューに応じたんです?

SCP-2085-A-5: 他にやることがない。あなたの時間を無駄にさせるのは楽しい。

[██████研究員はこれ以上の発言を行わず、インタビューを打ち切る。]

事件2085-A-5-1

20██/██/██ – 以下のメモがSCP-2085-A-5から職員に渡された。これは入所時インタビュー以来、SCP-2085-A-5と職員の初めての意思疎通である。

私はハンマーで自分の脚を折る。より良くなるために折る。

事件2085-A-5-2

20██/██/██ – SCP-2085-A-5は朝食を受け取って着席すると、食事の前に『ハッピーバースデー』を歌い始めた。歌の対象が「私たち」である点は特筆すべきである。

事件2085-A-5-3

20██/██/██ – 04:33、SCP-2085-A-5は監視カメラ4番を覗き込み、瞬きすることなく3分10秒間見つめ続けた。その後、「耳と目を閉じて、口をつぐんだ人間になろうと考えた。ならざるべき?」と述べた。

事件2085-A-5-4

20██/██/██ – 20:30、SCP-2085-A-5は体内に埋め込まれたスピーカーを用い、収容チャンバーの外に聞こえるほどの大音量で音楽を再生し始めた。再生は18時間継続し、その間中、SCP-2085-A-5自身は睡眠を続けていた。

<記録開始>

██████研究員: 失礼します、研究員の██████と申します。いくつか質問をしてよろしいですか?

SCP-2085-B: んっ? ああ。いいよ。いいとも。ちょっと待ってくれ。

[SCP-2085-Bはバスローブと魔法使いの帽子を着用し、椅子をインタビュー窓の前に移動させて座る。]

SCP-2085-B: よし、いいぞ。どんどん聞いてくれ。

██████研究員: では。まずはじめに、よろしければあなたの来歴を教えていただけると嬉しいです。あなたのお名前、どこからお越しになったのか、そんな感じの基本的な情報を。

SCP-2085-B: ふむ…… 俺は宇宙魔法使いスペース・ウィザード。宇宙から来た。

██████研究員: サー、それではあまり参考になりません。

SCP-2085-B: [肩をすくめる] そう呼びたければ、トム少佐と呼んでもいいぜ。そんなことは重要じゃないがな。俺は単なる帽子の男に過ぎないのさ。もし七篠権兵衛とジョン・ドゥがゲイカップルだったらば、俺はその隣に住んでる無名のご近所さんってとこだ。

██████研究員: そうですか。でしたら、次はあなたのご友人の方々について教えていただけると助かります。出会いや組織の結成の経緯について、などですね。

SCP-2085-B: そりゃあ面白いストーリーさ。まず俺は、ここにいるクソったれ [自分の胸をつつく] を何とかしようと駆けずり回ってた。きな臭せえ連中から貰ったインプラントで辛うじて生き長らえてたんだよ。そういう奴らの1人が、用心棒を欲しがってる大企業のお偉いさんやら、大人のオモチャを欲しがってるヘンタイ金持ちどものために、特別な製品を作ってるらしいと分かった。俺は新しいパーツをゲットするためにそのクリニックに行って、取り付け作業をしようとしてたところで、ドカーン! でっけえ爆発が起きて、あの5人が銃をぶっ放しながら突っ込んできた。俺は胸が半開きのままで逃げ出したさ。だって、他にできることはないだろ? 奴のビジネスパートナーどもに撃たれないように必死で逃げ惑う中、俺は成り行きで彼女らの後を追って現場を離れることになった。それから、ボートを盗んで日本から高飛びしたのさ。

ついに、全てが1つにまとまった。団の皆と俺。海の上で星を眺めながら、インスタントラーメンと安物の缶ビールで腹を満たした。久々に、心からいたいと思える場所にいた。

[沈黙]

あいつらのことは、丁重に扱ってくれよな。

██████研究員: できる限りのことはしています。

SCP-2085-B: よろしい。

██████研究員: あなたの体内に棲んでいる存在についても教えていただけますか?

SCP-2085-B: ああ、レッドのことか。長い話になるぞ。

██████研究員: 時間ならあります。

SCP-2085-B: レッドが何者かっていうとな…… それは俺もよく分かってねえんだ。ある種のフォン・ノイマン探査機とか? それか、天国から落ちてきた神サマ的なもんかもな? さっぱり分からねえ。こいつは隕石に乗ってやってきて、俺がその第一発見者だった。とんでもねえ力を秘めてやがるぜ。過去にそうだったのか、これからそうなるのかのどっちかは分かんねえがな。カルダシェフ・スケール級のバケモンだ。そんで残念なことに、今言ったことはほとんど推測に過ぎねえのさ。こいつの見る夢が俺の夢にまで流れ込んできたりとか、直接声をかけてくるほど活性化したりとか、そういうときに情報を集めて、それに基づいて作業を進めている。

██████研究員: 意思疎通できるのですか?

SCP-2085-B: いいや、一方通行だ。少なくとも今んところはな。こいつが俺の声を聞いてるとは思えねえ。ただ喚き散らしては、何もかもを混ぜこぜにしてるのさ。

██████研究員: どのような内容を話しますか?

SCP-2085-B: 言葉というよりは…… 感覚そのものが伝わってくるって感じだな。俺には理解できねえ部分も多いんだが…… まあ、何とかまとめてみるか。

こいつは癌だ。とにかく育ち続ける存在。消費し、成長し、複雑になっていき、最後には宿主を殺すんだろう。そんで、こいつは宿主より長く生きる。生き続けて、より多くの、より複雑な食べ物を求め続ける。こいつは、最終的に秩序ある形へと押し込められた宇宙を夢見ているのさ。つまり、食えるものすべてを食い尽くせる世界をな。そして満足するまで宇宙を貪り尽くした後には、完全なるエントロピーの川を、何も残らなくなるまで流され続けるだろう。永遠に。こいつはただ、寄生して食い尽くすことと、終わりが来るのを待つことしかできない。

だが、こいつはより多くのパイを欲しがって、エントロピーの川に抗おうともしている。それで行き詰まっているのさ。

こいつは俺たちを── 人間を憎んでいる。食べられないままに無駄になる食料、すぐ近くにいるのに手を出せないでいる獲物だからだ。俺たち人間の存在は、こいつにとって侮辱なんだよ。完璧なる宇宙についた汚点ってわけさ。

特に、一番憎んでいるのは俺だろうな。俺は何とか生き続けてるだろ。俺が生きてレッドを抑えつけてる間、1秒1秒、エネルギーが無駄に流されていってる。それはもう取り戻せない。負けることを恐れてんのかもな。俺に取り付くまで、こいつには抵抗された経験がなかったんじゃねえか?

そんでどうやら、こいつは俺と交渉しようとしてるらしい。でも交渉人としちゃ下手くそだな。もっと痛めつけるぞって脅しと、俺の意識を永久保存してやろうかみたいな申し出、それを交互に繰り返してるだけだ。俺がどっちを選ぶかは重要じゃないんだろう。俺が折れさえすれば、それでいいんだからな。

昔読んだ物語を思い出すよ。最も強く望む願いを叶える赤い卵が出てくる話だ。そのための代償として、最愛の何かを捧げなければならない。レッドはそれに似ている。こいつはただ、じっとここで [自分の胸をつつく] 待ってる。俺がその取引に応じるのをな。

虚勢だと言われてるが、それが間違いだと証明してやろうと思ってる。

██████研究員: ううむ。最後にもう1つだけ聞かせてください。どうしてそのコスチュームなんですか?

SCP-2085-B: これか? こいつはシンボル。スーパーヒーローでいるためのな。大抵の場合、人間よりシンボルの方が信じやすい。シンボルは簡潔で、人間はややこしい。人間はときに、期待を裏切るだろ。この世界ってのは、人間が互いに信用できるようにはできてねえのさ。だからシンボルで間に合わせてる。

██████研究員: では、あなたは人々に何を信じてほしいのですか?

SCP-2085-B: 人間がどうあり得るのか、何ができるのかの可能性。こんな酷い結末を迎える必要はないということ。俺たちは何かもっと良いものを作れるし、もっと良い存在になれるはずだ。打ちのめされようとも、前に進み続けられるんだ。

まあ、口で言うのは簡単だ。外を見てみろ、俺たちは皆正気じゃねえ。虚空の中に何の意味もなく回ってるちっぽけな土の塊があって、その上じゃ怒り狂った邪悪な猿の群れがお互いに殺し合ってんだぜ? 人間ってのは自滅するまでの短い猶予を生きる、束の間の存在でしかない、そう運命づけられて生まれるのさ。俺たちはそんな一瞬の意識の煌めきの中にいるってのに、目の前に広がってるはずの宇宙の美しさから目を背け、打ち砕かれた夢から肉挽き機を作って、その中に入ることを自ら選んだ。ハコの中に座り込んで、壁をじっと見つめながら、エントロピーの川を死ぬまで流され続けることを選んじまった。

それこそが、俺たちの戦っている相手なのさ。

[長い沈黙]

俺は、余命6ヶ月をもう5年も続けてる。何も成し遂げられないままカーテンコールを迎えるのは嫌なんだ。俺の生きる毎日は、言ってみれば“借り物”の時間だ。返すことはできねえけどな。いずれは、プツンと途切れて真っ暗になる。それはどうやら今日じゃないらしいが、明日ってことはあるかもしれない。

奴らは世界を燃やしている。路上で子供たちを撃ち殺し、行く当てのない人々を家畜のように柵に押し込めている。表土を吹き飛ばし、地下水を干上がらせながら、頭ん中のアイデアを独占するための新しい方法を探し回ってやがる。そりゃあ、たった1人で世界を救うなんてことは不可能だろうさ。それでも、何もしないってわけにはいかねえ。

[沈黙]

正直めちゃくちゃ怖いぜ。分かるだろ? 死ぬのも怖いし、生きて未来を見るのも怖い。だけどよ…… あいつらが側にいてくれると、少し楽になる。

[沈黙]

衛星軌道から日の出を見てえんだ。俺とあの娘たちで、太陽が出てくるところを。それが叶ったなら、もう死んでもいい。自由な人間として死ねるだろ。もしかしたら人々は、俺が良い奴だったとか言ってくれるかもしれねえな。それから、彼女たちが俺の遺体を太陽に向けて発射する。俺を星屑へと還してくれるのさ。

[沈黙]

ああ、そうなったら最高だな。

[沈黙]

その瞬間、俺はこの惨めな世界から引き上げられて、ついに自由になれる。俺の魂は天の輝きとともに歓喜するだろう。

2番目の星を右に曲がって、そのまま朝まで真っ直ぐに。そういうわけさ。

<記録終了>


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