SCP-2389-JP : うしろ

Information

D-22738が撮影したSCP-2389-JP発生中の屋内画像(再現実験は未だ成功していない)

Name: うしろ
Author: yanyan1
Rating: 32/48
Created at: Sat Jul 18 2020
アイテム番号: SCP-2389-JP
オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル

SCP-2389-JPが観測される家屋は不動産業者に偽装した財団フロント企業の管理下に置かれ、記録上はエージェント・佐伯が所有しています。1999年現在、Dクラス職員を起用した実験は岩場博士の許可を得た上で行ってください。職員による家屋内部への侵入も制限されています。

家屋内部は監視カメラを用いて24時間体制で監視され、内部調査の際は遠隔用ロボットを起用し実施してください。

現在、該当家屋周辺には空間固定用のスクラントン現実錨が設置されており、行方不明となっている過去の居住者23名の捜索と並行して実験記録2389-JPにて観測された空間のマッピングが進められています。

説明

SCP-2389-JPは██県██市███の住宅街に位置する、平屋建ての家屋内にて発生する異常現象です。

SCP-2389-JPの異常性は家屋内に人間(以下、被験者)が存在しかつ時刻が深夜2時に到達した際に発現します。SCP-2389-JPは被験者にのみ観測され、主に何者かによる足音として認識されます。SCP-2389-JP発生は段階的に進行し、初期段階で光源の消失(原因不明の停電など)、その後、約1名と推定される足音が観測されはじめます。この足音は約3分が経過する毎に1名分増加していき、比例関数的に増加を続けます。これは被験者が死亡する、日の出が確認されるまで継続します。また、それに合わせ被験者はより強い恐慌状態へと移行し、軽度の精神影響も発生します。SCP-2389-JP発生中に屋外に脱出した場合も一時的な現象の終息は確認されますが約10分が経過した段階で再度足音が観測され増加を再開します。なお、この際の足音は外部の環境に依存した音(コンクリートを踏んだ音、水を踏んだ音、土を踏んだ音など)に変化し、被験者の何者かに追われているという認識をさらに強めます。

これらの現象は家屋内に被験者が複数人存在していた場合も例外なく発生し、該当する被験者全員がSCP-2389-JPを観測します。現在、D-22738が参加した実験を除き、非被験者による外部からのSCP-2389-JPの観測は成功していません。また、足音の発生源も特定できておらず、観測に関しては被験者への認識災害の可能性も考慮し調査が継続されています。

SCP-2389-JPの異常性は被験者がSCP-2389-JP終了後に該当家屋を離れたとしても発現し続け、該当家屋以外のどの様な地点においても深夜2時に到達した段階で被験者は足音を認識します。現在、SCP-2389-JPの発生、またはこれらの症状を緩和させる試みは成功していません。

補遺1

SCP-2389-JPは1998年8月11日に曰く付き物件の現地調査を行っていたエージェント・小林によって発見されました。当時、SCP-2389-JPの発生が確認されていた該当家屋は計23回の入居者の入れ替わりが発生している曰く付き物件と認識されており、現地調査を行っていたエージェント・小林自身による家屋内調査が実施されました。その際、SCP-2389-JPの発生を確認。結果、エージェントは3時間に及ぶ家屋内調査を行った後、日の出と共に意識を喪失。機動部隊により救出され、該当家屋も財団の管理下に置かれました。エージェント・小林に関してはサイト-81██の人型収容室に収容されており、現在もSCP-2389-JPによる足音を認識し続けています。

調査の結果、該当家屋の最初期の所有者は██ 玄六氏という人物であった事が判明しており、1980年から██氏が絶命する1997年11月██日まで居住していたと記録されています。なお、██ 玄六氏(当時35歳)は家屋を所有する以前の1972年2月██日までは妻:奈々子氏(当時33歳)と婚姻関係にあり、娘:京子氏(当時9歳)を含めた一家で外出中に交通事故に巻き込まれ、その際に██氏は両目を失明、妻と娘の2名に関してはその時点で死亡した事実が判明しています。現在これらの事案とSCP-2389-JPとの関連が調査されています。

補遺2

以下はD-22738が参加した実験の記録です。

実験記録2389-JP

対象: D-22738

インタビュアー: 岩場博士

付記: この記録はSCP-2389-JP発生中の観測を目的として行われました。なお、家屋内には合計10台の監視カメラを設置し、D-22738にも観測用のカメラを所持させています。

<映像記録開始,1999/██/██>

<再生>

岩場博士: 時間だ、D-22738。観測を開始してくれ。

D-22738: あ、ああ。

[10秒経過]

[D-22738が周囲を見回す]

岩場博士: どうした、D-22738。

D-22738:い、 今、足音が……横を誰かが……。

岩場博士: それは隣の廊下か?

D-22738: い、いや、本当に、直ぐ隣で……。[叫び声]

[D-22738が前方に転倒する]

D-22738: な、何だ今の……! ……誰だ!

[10秒間の沈黙]

D-22738: ……何が、どうなって……。

[D-22738が何らかの力で後方に引っ張られる]

D-22738: [悲鳴]な、何で……! 何で……!

[D-22738が部屋の隅に放り出される]

D-22738: [悲鳴]

[30分経過]

[D-22738が部屋の中心で身構えている]

岩場博士: D-22738。今の状況を詳しく説明してくれ。

D-22738: な、何人も……! 何人も周りにいるんだ……! 足音が周りで……! 走ってこっちに来てる……! 頼む、ここから出してくれ!

岩場博士: それは出来ない。その平屋の中をもっと詳しく調べてくれ。

D-22738: ふざけんな! 奴らがもうすぐそこまで来てるんだぞ! 今だって、女の子の声がそこら中から[悲鳴]

[D-22738が後方に転倒する]

D-22738: ああ、クソ! クソ!

[D-22738が立ち上がり窓を開けようと試みる]

D-22738: お、おい! 何で開かないんだよ!? お前ら、まさか……!?

岩場博士: いや、我々は何もしていない。D-22738。落ち着いて状況を報告してくれ。

D-22738: 来るな……! 来るな……!

[D-22738がその場で暴れる]

[D-22738の両足が何らかの力で引っ張られ、部屋の中央まで引きずられながら放り出される]

D-22738: 嫌だ……! 嫌だ……!

[D-22738がその場で頭を抱え蹲る]

[12秒間の沈黙]

D-22738: [D-22738が顔を上げる]……なんだこれ。

岩場博士: D-22738。どうした、何があった。

D-22738: ……見えるんだ。

岩場博士: 何がだ。

D-22738: 周りの様子だ。目を瞑っているのに、全部分かるんだ。でも、なんで……。ここは……何処だ?

[5秒間、D-22738は周囲を徘徊する]

岩場博士: 分かった、D-22738。では改めて、周囲の状況について説明してくれ。

D-22738: あ、ああ。……何か、古い日本家屋って感じだ。今は仏壇のある部屋にいて……(この時点で実際の屋内の様子と異なる)。何か妙に広く感じるし、足音も消えてるし……知らない場所だ。

[D-22738が移動を開始する。それと同時に屋内全てのカメラからD-22738が観測できなくなり、GPSの信号も消失する]

<D-22738が所有するカメラへ画面を切り替え>

[映像が暗転。3秒後、未確認の屋内の様子が映し出される]

岩場博士: 辛うじてこちらでも確認できるが正確な状況が分からない。そこはどんな様子だ。

D-22738: ここは……でっかい屋敷だ。廊下がそこら中に繋がってて、四方八方障子と襖で囲われてる。……まるで迷路だ。

[推定10m程直進する廊下が映し出される]

[2秒間の沈黙]

岩場博士: どうした。D-22738。

D-22738: ……誰か(以下、Unknown)、誰かいる。大広間みたいな部屋の真ん中に1人で……蹲ってるのか?

岩場博士: 接触できるか。

D-22738: いや、それは……。

岩場博士: D-22738。

D-22738: わ、分かったよ。やるよ。

[D-22738がUnknownに接触する]

[推定年齢80歳前後の男性の背中が映し出される]

D-22738: な、なあ爺さん。あんた、こんなとこで何やってんだ?

[3秒間の沈黙]

D-22738: おい、聞いてんのか? あんた一体どこの誰で……。おい。何だよそれ。何作ってんだよ。おい。……おい!

[2秒間の沈黙]

D-22738: ……それ、人形か?

[Unknownの手元に布製の着物を着た人形が握られている]

Unknown: 出してくれ。

D-22738: ……え?

Unknown: 出せ!

[Unknownの顔面が映し出される。眼球と下顎が消失し眼孔内には市松人形の顔面が埋め込まれ、口内からは複数の人形の腕が発生している]

[D-22738の悲鳴]

[D-22738がその場から逃走する]

岩場博士: D-22738。D-22738!

D-22738: ば、ばけもんだ……! 顔が、目が……! 嫌だ! こんな所もう嫌だ!

岩場博士: D-22738。逃げながらでいいから聞いてくれ。周囲の状況を正確に把握し、落ち着いて行動しろ。焦りは禁物だ。落ち着け。兎に角落ち着くんだ。

D-22738: そ、そんなこと言ったって……! あんた、あの爺さんがどうなって……! お、俺も……! 俺も同じように……!

岩場博士: D-22738……!

[直線の廊下が映し出される]

[D-22738の正面に立つ市松人形が映し出される]

D-22738: [沈黙]

岩場博士: ……D-22738。落ち着け。目を離さずに、ゆっくり後退しろ。

D-22738: ……嫌だ。

岩場博士: D-22738……!

D-22738: 嫌だ……!

[D-22738が逃走する]

[推定30人前後と思われる複数の足音と女児の笑い声が周囲に鳴り響く。]

D-22738: (通信障害による断続的な音声)はか……博士! 出して……ここから出し……ふざけ……出しやがれ! ふざけんな! こ、こんな所で……! ……奴らが、奴らが来る! 奴ら、親を捜して……来る!

岩場博士: D-22738! D-22738!

[複数の市松人形が観測される。画面外で常に増殖していると思われ、常にD-22738のいる方向を向いている]

D-22738: 来る……! もうそこまで、来てる……! 嫌だ! 助け……。

[D-22738の右側面の障子扉が突如解放される。内部は暗く観測不能]

[D-22738の足元にD-22738を見上げる形で上方を向いている市松人形が映し出される]

D-22738: ……嫌だ。

[市松人形が微かに動く]

D-22738: ……神様……!

[映像途絶]

岩場博士: ……D-22738。今すぐ応答しろ。……D-22738!

<終了>

終了報告書: D-22738との通信が途絶した直後、家屋から800m離れた道路上にて突如D-22738の死体が出現するという事案が発生しました。なお、死体は激しく損傷しており、眼球が潰れた状態でかつ腹部が破裂、腹部内部には計8体の市松人形が収まっている状態で発見されました。回収された市松人形に関しては何ら異常は確認されませんでした。

現在、D-22738が居住していた区画にてSCP-2389-JPと同様の現象が確認されました。この事から、D-22738と同様の段階に至った人間が存在した場合、その人間が居住していた家屋または区画にSCP-2389-JPが伝播する異常性が判明しました。その為、現在、行方不明となっている過去の居住者23名の捜索を行い、SCP-2389-JPの伝搬防止のためのプロトコルが制定されています。またこれによりSCP-2389-JPの起源が該当家屋以外に存在する可能性も浮上した為、調査が継続されています。

なお、実験記録2389-JP終了後にD-22738が証言した屋敷のマッピングを行い、SCP-2389-JPが発生する家屋を出発点としたD-22738の移動地点とD-22738が出現した地点とを照らし合わせた結果、位置関係が完全に一致しました。これらの事象から実験2389-JPで確認された屋敷は基底空間と同期している可能性が浮上した為、現在その規模の調査が行われています。


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