Information
Name: 大いなる積載
Author: C-Dives
Rating: 5/5
Created at: Sat May 20 2017
アイテム番号: SCP-2596
オブジェクトクラス: Euclid (元Safe)
特別収容プロトコル
SCP-2596は、聖遺物サイト-25の、排水フローリングと透明なプレキシガラスの天井を備えた改良済み収容チャンバーに保管されます。排水溝は収容チャンバーの下部にある保管チャンバーに接続されています。週に1回、この保管チャンバーは空にします。
SCP-2596の上に少なくとも1分間継続的に乗った被験者は、SCP-2596から降りる際に創傷の治療を受けることになります。通常の状況下では、被験者はSCP-2596の上に2.5分間継続的に乗った時点までで降りなければいけません。被験者をSCP-2596の上に少なくとも3分間継続的に乗せる実験には、プロジェクト主任/2596からの承認が必要です。
説明
SCP-2596は表面積が2.4m2の木製の筏です。対象は完全に、接着剤で貼り合わせられた木材の破片のみで構築されています。にわか作りの外見の都合上、SCP-2596には全体的に不規則な形状の穴が見られます。実験2596/04の出来事に続き、これらの穴は非異常性の真水を1秒あたり100mLの一定速度で分泌しています。したがって、SCP-2596は水による被害を顕著に受けています。
SCP-2596に乗った人間(以下、“対象者”とする)は即座に幻視・幻聴を体験します。対象者は一貫して周辺環境を、雲に覆われた高輝度の場所であるかのように知覚します。幻聴は主に対象者の第一言語で語られる言葉から成っており、忘れる/引き返すことを促します。[データ削除済]明らかな類似性にも拘らず、対象者は幻聴の呼びかけに従わないことを選択するのに十分な自意識を保持しており、[データ削除済]との接点は全て表面的または偶然のものと見做されています。
対象者がSCP-2596の上に留まり続けると、穿刺傷が両掌・両足に出現し始めます。穿刺傷が現れている間に対象者がSCP-2596を離れた場合、上から降りた時点で傷はそれ以上進行しなくなります。
3分間以上連続してSCP-2596上に留まった対象者は、即座に消失します。衣服や付属品(宝飾品・インプラント・ピアスなど)はSCP-2596の上に残ったままです。さらにSCP-2596の穴からは対象者の血液が分泌されます — 唯一既知の例外は実験2596/03で発生した出来事です。対象者は、望むならば消滅前にSCP-2596を降りることができます。
SCP-2596は2005/██/██、“真正十字異端派”ヴェラ・クルス・ヘレシー1のセーフハウスとして使われていた、レマン湖の近くにある私有地の地下で発見されました。以下は当該宗派の構成員たちが回し読みしていた、2005/██/██の集会に参加することを促すパンフレットの抜粋です。
真なる十字架は一体となった。欠片は最早、思慮無き偶像崇拝に依存していない。レマン湖へ来たれ。我らは天の船へ乗り込み、主との交わりに到るであろう。
これを受けて、当該物件への襲撃が機動部隊アルファ-26(“暁を貪れ”)によって行われました。襲撃において、真正十字異端派の構成員1名が激しく抵抗し、セーフハウスの地下室に機動部隊が踏み込むのを阻止しようと試みました。最終的に、この構成員は財団職員によって終了されました。
真正十字異端派の他の構成員は発見されませんでしたが、地下室からは着衣や私物が見つかっており、屋内にいたことが確証されています。SCP-2596の近くから採取された血液サンプルは構成員のものだと考えられており、彼らはSCP-2596を使用したと仮定されています。
境界線イニシアチブから収集された情報は、真正十字異端派が“鉄槌計画”2によって、レマン湖近隣のセーフハウス襲撃後に無力化されたことを示唆しています。しかしながら、前述の襲撃が行われた際、鉄槌計画のメンバーは現場に存在していませんでした。
補遺2596-1
実験ログ抜粋 — 実験ログの完全版リストは文書2596-アルファを参照。
D-8376は以前のSCP-2596実験と一致する幻覚を報告している。1分後、掌と足首に創傷が出現。3分後、D-8376は自発的に消失し、D-8376と一致する血液がSCP-2596から分泌される。GPS装置と対象者の衣服はSCP-2596の上に残っている。
この実験から約3時間後、SCP-2596は異常性の無い真水を定常的に分泌し始める。追加メンテナンスの必要性が生じたことから、オブジェクトクラスは後にEuclidに格上げされた。
補遺2596-2
2006/██/██、MTF A-26はロシアのアストラハンにある鉄槌計画の拠点を襲撃しました。本拠地において捕縛された人物たちの中から、上述の実験で消失したD-8375に似た人物が発見されました。彼の身柄は後ほど、有効な識別タトゥーで本人と確証され、後日尋問を受けることになりました。
回答者: D-8375
質問者: エージェント アーマッド・ビン・イブラヒム
序: 以下のインタビューは、実験2596/03の出来事に続く回答者の行方に関する洞察を得ることを目的として、アラビア語で実施された。
<記録開始>
エージェント アーマッド: D-8375よ、君に平安があらん事を。君が失踪して以来しばらく経っているな?
D-8375: 俺は消えちゃいねぇ。アンタたちが例の木切れに俺を乗せて遠くへ飛ばしたんだろうが。
エージェント アーマッド: 私の同僚と共に行った最後の実験について思い出せるか?
[D-8375は手を上げ、包帯が巻かれた両の掌を見せる。]
エージェント アーマッド: あの傷の治療を受けたようだな。
D-8375: アンタたちに対する感謝の言葉なら無いぜ。 [溜息]
エージェント アーマッド: あれは意図的では無かったと請け合おう。我々は当時、あの現象についてあまりよく理解できていなかった。実のところ今も同じようなもので、情報を必要としている。我々を助けてくれ。君が今日我々の下へ戻って来てくれたのは神の御意思だ。
D-8375: [溜息] 神の御意思か。 [沈黙] いいだろう、何が知りたい?
エージェント アーマッド: 君が筏から消滅した後、何処へ向かったかから始めてほしい。
D-8375: 正確に何処かは分からなかったが、気が付いたらもうあそこに居たんだ。でもって、最初に目に入って来たのはAK-47で武装した6人のキリスト教徒とイスラム教徒だった。
エージェント アーマッド: どうやってそれを推測したんだ?
D-8375: 連中の大半は間違いなくクリスチャンだった — 斜めの線と垂直線が交差してる妙な十字架3を付けてたからな。他は確実にムスリムだ。言ってみれば、俺には同じ文化圏の奴らは見分けられるみたいだ。
エージェント アーマッド: オーケイ。彼らは君が現れるとどう反応した?
D-8375: 俺は命乞いをした。アンタも俺の立場だったらそうしただろうさ! いいか、俺は全裸で、他の行動を取れるような状態じゃなかった。だが幸い、連中は俺に危害を加える気が無いことに気付いて、羽織るものをくれた。運が良かったよ。出現した時はもう俺を撃つ用意が整ってる様子だったからな。
エージェント アーマッド: 彼らが何故君を見逃したかは分かるか?
D-8375: 多分、慈悲を垂れたつもりじゃないか? とにかく、その後で尋問された。俺が生きたまま天国に行くあれこれについて何か知ってるかとか、俺が何処から来たかとか—
エージェント アーマッド: 我々について話したのか?
D-8375: 俺は嘘が吐けるような立場じゃなかったんだよ。
エージェント アーマッド: 君が出現した場所は? 目立った特徴はあったか?
D-8375: 俺は木材の上に立ってた。でも、連中の指示でそいつは処分した。
エージェント アーマッド 連中?
D-8375: 俺が到着した時に“お出迎え”してくださった奴ら。あれ以来、俺は連中の基地で手伝いをしてた。主に下働きだ。
エージェント アーマッド: その下働きについてもう少し詳しく頼む。
D-8375: あー、肉体労働系だ。連中は時々、本拠地の清掃をするように頼んできた。俺の最初の仕事は、灰が詰まった袋を幾つかヴォルガ川に捨てるのを手助けすることだった。
エージェント アーマッド: その灰について何か詳しい事を知っているか?
D-8375: そいつらは天国に入れると思い込んで死に突き進んでいった愚か者だから、そいつらの魂のために祈るような真似は一切するべきじゃないって言われたよ。
エージェント アーマッド: 成程。では、それ以来、問題の団体のために働いていたという訳だね。
D-8375: 他に選択肢は無かった。だって見ろよ、俺は見知らぬ土地で立ち往生してるアラブ人なんだぜ。それは別としても、連中は神に仕える仕事をしてて、連中を助ければ間接的に俺も神に仕えることになるんだって聞かされてたしな。今までの人生でやってきた事を考えると、俺にはそれが必要だった。
エージェント アーマッド: それで、彼らは何故、木材を廃棄しているかを君に教えたか?
D-8375: もう必要じゃなくなったからだと伝えられた。こう、俺が木材を鋸で切った後、いきなりそこが血塗れになったんだ。それで、床に肉の切れっぱしが落ちてた。少なくともタトゥーはまだ読み取れた。
エージェント アーマッド: それはどういうタトゥーだった?
D-8375: アンタたちが俺に付けたのと同じやつだ。 [身振りで識別タトゥーがある胸と手首を指す] 数字は俺の1つ後だったけど、実際そいつと顔を合わせたことは無かったな。とにかく、連中からは全部焼くように指示された。
エージェント アーマッド: 木材も含めて?
D-8375: そうだ、その後で灰の袋はヴォルガ川に投げ捨てた。まだあそこに沈んでるだろうな。
エージェント アーマッド: 成程。他に何か伝えたいことは?
D-8375: ある。俺を連中から遠ざけてくれ。連中は多分、アンタたちの襲撃を俺が手引きしたと思ってるかもしれん。また見逃してくれるとは限らない。
エージェント アーマッド: 君のために掛け合ってはみるが、約束はできんよ。
D-8375: 神の加護あれ。
<記録終了>
結: エージェント アーマッドは、D-8375が過去にSCP-2596に影響されたことと、鉄槌計画に関して知識を有する可能性を理由に、彼にEクラス職員身分を適用する案を提出しました。承認は保留中です。
補遺2596-3
2006/██/██以降、SCP-2596から分泌される水は、真水と(非常に高い割合の)ヒトの唾液の混合物であると特定されています。後のメタ解析では、SCP-2198の二次的実例を介して得られた降雨サンプルとのDNAの一致が示されました。これを受けて、ハムリン上級研究員は、SCP-2596とSCP-2198二次的実例に影響された地域の間には何らかの空間異常が存在するという仮説を立てています。
[データ削除済]を使用して気象データが相互参照され、ロシア中央部のおよそ100ヶ所がSCP-2596の潜在的な退出点として選定されました。
SCP-2596を使用すれば、財団職員が上記退出点の正確な座標を特定することは可能だと仮定されています。しかしながら、優先度が低く倫理的な懸念があるため、現在のところ実施は中止されています。