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Author: Simaenaga
Rating: 5/5
Created at: Wed Mar 25 2026
特別収容プロトコル
財団は現在、サイト-96の非電子式施錠機構を備えた高セキュリティ収容セルに、2体のSCP-4064個体を別々に収容しています。いかなる職員も、サイト管理官代理の許可なく収容セルに立ち入ることは禁止されています。SCP-4064個体とのコミュニケーションの試みが必要な場合、収容セルに設置されているデジタル音声中継システムを介してのみ許可されます。プリズム式監視孔を通してSCP-4064個体を視認することができますが、使用しないときは監視孔を閉じておく必要があります。
残りのSCP-4064個体の所在は不明です。この事実は、完全な収容だけでなく、SCP-4064による財団及びその他の要注意団体に関する情報のこれ以上の収集を防ぐためにも、極めて重要です。
新しいSCP-4064個体またはその対象者が発見された場合、SCP-4064に対するあらゆる監視行為は即座に停止され、プロトコル"ウールコート"が発動されます。プロトコル"ウールコート"発動中は、SCP-4064個体の最新の目撃地点及びその対象者の現在の居住地へ、機動部隊が派遣されます。
更新
2015年7月13日現在、SCP-4064-Aは別のサイトに輸送され、 標準非敵対性人型収容セルへの収容や財団職員との接触機会の増加など、より大きな自由が認められています。SCP-4064-Aは自身へのオブジェクト指定を解除し、「ジェーン」と呼称されることを要請しています。この要請は却下されました。いかなる状況でも、SCP-4064-Bにこの変更が実施されたことを通知することは禁止されています。
説明
SCP-4064は6つの異なる身体に宿ることができる集合意識です。 SCP-4064個体は、仮面1を着用した色白の女性として現れます。それぞれのSCP-4064を着用した宿主(以下、対象者)自身には異常性はありませんが、対象者は仮面と生物学的レベルで相互作用をする異常性を共有しています。仮面を着用することで、SCP-4064個体同士が神経インパルスを共有できるようになります。反射神経や運動能力はSCP-4064個体それぞれによって異なりますが、接続したSCP-4064個体は同時に発話し、周囲を認識します。SCP-4064の自己保存に次ぐ目的は、「アナトリア」と呼称される神格に奉仕することです。2
仮面はSCP-4064対象者以外にも影響を及ぼす、さらなる異常性を有しています。仮面は対象者の声に影響し、その発話に力強さと迫力を与えます。対象者の発話を直接聞いた者は、対象者による説得に抵抗することが極めて困難になります。
補遺01
2014年2月22日、サイト-96所属のオジッド博士が、SCP-4064に関する情報を数週間に渡り隠蔽していたと報告しました。オジッド博士は当初、オブジェクトについての情報の隠蔽を理由として懲戒処分を受けましたが、SCP-4064の異常性が発見されて以降、その処分は取り消されました。以下は通話の音声記録です。
もしもし、こちら…こちらはヘンリー・オジッド博士です、所属はサイト-96で担当は一般研究と収容、セキュリティクリアランスはレベル3、職員コードH-373701。現在未収容のKeterクラスオブジェクトの発見を報告するために通話しています。それは集合意識体で、6人の女性で、武装していて危険で、いや武装はしてないけど危険で…金色の仮面をつけています。それで本当に…本当に美しい。息をのむほどに、それで…くそ、失礼、報告として形になっていませんね。
発見したのは…私がはじめて彼女たちの一人に会ったのは9月…5日。2013年の9月5日だったと思います。ベック・アベニューの「クリーブランド・ガーデン」というバーにいました。彼女はそこにいて、金色のマスクをしていたのですが、なぜか…なぜか変な感じはしなくて、ただのアクセサリーみたいで。なんて言えばいいのかはわかりませんが。それで、彼女はちょうど一人で、私が話しかけて、彼女は本当に興味深そうに、私が話すことすべてに、心から興味を向けてくれているように見えて。はじめてでした、あんなほどに私に興味を向けてくれた人は。彼女は、彼女の声は…、ただ…彼女が話すことすべてを、もっと…もっと聞きたくてたまらなくて。その後、外で話そうと聞いてきたので、路地裏に立ち入って、ただ…ただいろんなことを話しました。もちろん勤務先は「サムズSam's・カウンティCounty公園Park」と嘘をついて、私たちはひたすら話し続けて、本当に心地よかった、気まずくなくて…まるで私が私じゃないみたいに感じられて。私の心が…温かく包まれたみたいで…そこで、彼女が好きだと気づきました。
そこからしばらく歩いて…そこからのことはよく覚えていないんですが、彼女は…そのお姉さんたち、妹さんたちを連れてきて、紛争中の国から逃げてきて?そんな感じの理由で?泊めさせてくれって、彼女たちは私に頼んできました。私は「もちろん、なんでもする」と答えて、それから一緒に暮らし始めて…くそが、5ヶ月間も一緒に暮らしていたんだ。すぐに姉妹たちの異常性に気づいて、まるで…そう、さっき言った通り集合意識体みたいなものだったけど…よくわからない。危ないからって、彼女のことを誰にも話さないって約束させられた。いや、そうせざるを得ない状況に追い込まれていたのだと思います。ああ、もう、彼女がSCPだって、あるいはそれになるもので、報告しないと、とわかっていたのに…断れなかった、彼女の声に…クリームみたいな声に柔らかく包まれて…
くそが、正直まだ混乱しています。ええと、すみません、どう言えばいいか…あんなの初めてで…うん…ええと、気づいたときに電話したかったのですが、多分これはミーム的な…マインドコントロール…相手を恋にオトすみたいな異常性だから、言えなかったのだと、そうです、ミーム的なもので、100%、完璧にそうっていう確信はないけど、そうはっきり感じていて、だから私のせいではないんです。まあとにかく、調査には協力します…くそ、いったいどうすれば…とにかく、月曜日、職場でまた報告します。
補遺02
オジッド博士はSCP-4064に関する詳細な説明と、自身の記憶の範囲内でのSCP-4064との関係における主要な出来事を、その日付と場所とともに提供しました。最初の報告から2週間後、SCP-4064個体がクリーブランド・ガーデン・モールの防犯カメラに視認されたことから、機動部隊イータ-17("ラバーボーイズ")が周辺地域に派遣されました。その結果、全6個体のうち2個体を確保しました。これらの個体(以下、SCP-4064-A及びSCP-4064-B)は、近隣の財団サイト-96へ移送され、インタビューが実施されました。オジッド博士はインタビューへの参加を要請しましたが、SCP-4064との関与があったことから却下されました。インタビュアーはサイト-96管理官のローラ・ナイト博士が担当しました。
[記録開始]
ナイト博士: こんにちは、私はローラ・ナイトです。あなたとあなたが所属しているグループについて、いくつか質問したいのですが、よろしいでしょうか?
SCP-4064-A: いや! 嫌です!お願い、ここから出して!お姉ちゃんたちに会わなきゃ、お姉ちゃんたちを探している最中なんです!
ナイト博士: 「お姉ちゃん」?それは一体誰のことですか?
SCP-4064-A:お願い!お願いだからやめて、やめてください!集中できない、集中しなきゃ!もう耐えられない、集中!集中!!!
ナイト博士: 「集中」?どういう意味でしょうか?
SCP-4064-A: 仮面を返して!集中するのに必要なの!お願い…お願いですから…
ナイト博士: すみません、今は仮面の着用を許可することができません。ですから-
SCP-4064-A: なんでそんなことするの?ここから出してってば、私は何もしていませんてば!集中…集中しなおさないと。それが私の存在意義なんです!
ナイト博士: ここからあなたを解放するにはまず、私の質問に答えていただかなければなりません。
SCP-4064-A: そうすれば仮面を返してくれるのね?
ナイト博士: いいえ現時点ではそれもお約束できません。
SCP-4064-Aは突然泣き出した。その後は、彼女はインタビュー中にナイト博士の問いかけに一切応答しなかった。
[記録終了]
[記録開始]
ナイト博士: こんにちは、私はローラ・ナイトです。あなたに関わるグループについて、いくつか質問したいのですが、よろしいでしょうか?
SCP-4064-Bは沈黙し続ける。
ナイト博士: 聞こえますか?
SCP-4064-Bは沈黙し続ける。
ナイト博士: いずれは話してもらわなければいけないのですよ、私は一日中ここで待っていても構いません。
SCP-4064-B: 私は何年でもここで待てる。きっと私の妹たちは必ず私を見つけ出し、この牢屋から救い出してくれるだろうな。所詮お前たちSCPの虫共には、私たち姉妹から私を引きはがすことなど不可能だ。
ナイト博士: 「妹たち」とは誰のことでしょう?
SCP-4064-Bは沈黙し続ける。
ナイト博士: 私たちはあなたとあなたの妹さんのために収容セルを準備してあります。すぐに解放するつもりはありませ-
SCP-4064-B: 待て、私の「妹」と言ったか?私だけではないのか?お前らは私たちのうち何人を捕まえやがった?
ナイト博士: すみません、それは-
SCP-4064-B: 会わせろ!話したいんだ、さあ!
ナイト博士: 残念ながら、あなたたちを会わせる訳には-
SCP-4064-B: 私の妹と会わせろ!
SCP-4064-Bは椅子から立ち上がり、ナイト博士の頭部を蹴り飛ばした。ナイト博士は地面に倒れ込み、意識を失った。部屋にいた警備員2名がSCP-4064-Bを拘束し、収容セルへ再収容した。
[記録終了]
その後、数日の間追加のインタビューが行われましたが、新たな情報は得られませんでした。インタビューの試みは無期限に中断されました。
補遺03
2015年7月12日(SCP-4064-AとSCP-4064-Bの収容から約4ヶ月後)、アノマリーの収容セルの定期監視中、SCP-4064-Aがプリズム式監視孔に向けて合図をし、注意を促す動作をしていることが確認されました。警備員は収容セルに設置されたデジタル音声中継システムを起動し、SCP-4064-Aがインタビューを求めていることが確認されました。協議を経て日時が設定され、SCP-4064-Aとナイト博士の間でインタビューが実施されました。
[記録開始]
ナイト博士: SCP-4064-A、あなたがこのインタビューを希望したとのことですが、間違いありませんか?
SCP-4064-A: 間違いありません。それと、ジェーンと呼んでくれませんか。
ナイト博士が窓越しに警備員 ウェリストン・ジェレマイアに目を向けた。ジェレマイアは肩をすくめた。
ナイト博士: わかりました、ジェーン。さて、あなたがインタビューを受けるにあたって…条件を、提示しているのも承知しています。
SCP-4064-A: はい。これから従順にしますから、皆さんには…私を本当の人間のように扱ってほしいんです。本物の食事と、本物の人間同士の交流。私はもう…怪物じゃありません。
ナイト博士: できる限り、あなたの要望に沿えるようにします。では、始めましょうか?
SCP-4064-A: ええ、大丈夫です。
ナイト博士: といっても、質問は一つだけです。いや、どちらかといえば要求ですね。アナトリアの"娘たち"について、できる限りのことを教えてください。
SCP-4064-Aは深くため息をつき、10秒間自分の足元を見つめた。
ナイト博士: ジェーン?大丈夫ですか?
SCP-4064-A: 大丈夫です、何から話し始めればいいか悩んでいるだけです。
ナイト博士: わかりました。ゆっくりで大丈夫です。
SCP-4064-A: いやいや、わざわざ難しくはしたくありません。
SCP-4064-Aは一つ深い呼吸をした。
SCP-4064-A: 私のいちばん古い記憶はせいぜい数年前ほどのものですが、少なくとも20代後半ではあったはずです。正直なところ、"娘たち"について私はあまり知りません。ただその1人だったというだけです。実は私が一番年下で、私たち…"シスターズ"も、"娘たち"の中で最も若いのです。私たちの母なるアナトリアは、私たちを…なんて言えばいいか、働き手?として作り出しました。ただし、普通の人々が養われるのとは違う方法で。
SCP-4064-A: 例えば私たち、あなたと私が食べ物や栄養を糧とする一方で、アナトリアは…別の物を糧とします。感情です。彼女がどうやって感情を集めているのかはわからないけど、たぶん仮面と関係があるのでしょう。私とお姉ちゃんたちは…苦痛を集めます。私たちの仕事は恥ずべきものですが…他者を恋に落として、フッて、その人の心を粉々に壊す。そこから得られる苦痛を、アナトリアは糧としているんです。
SCP-4064-A: 他の娘たちについてはあまり知りませんが、知っているのは他に2つの…グループが、あることです。"寮母たち"は2番目に年長のグループで、5人いて、アナトリアのために恐怖を集めます。もちろんあの人たちの行動は道徳に反した、間違ったものです。が…私はここにいた短い間に気づきました、私たちの誰も正しい行動なんてしてないことは。"寮母たち"は、人々を誘拐し、拷問することでその人に恐怖を募らせます。しかし、殺しはしません。それは…"笛吹きたち"の仕事です。
SCP-4064-A: "笛吹きたち"は"娘たち"のなかで1番の年長です。メンバーは3人だけで、私は見たことがありません。彼女らは…殺すんです…なんの罪も侵していない人々を、善良な人々を、すべては…悲嘆を、集めるために。 アナトリアは強いネガティブな感情を糧にしていて、中でももっとも強いのは純粋な悲嘆の感情です。
SCP-4064-A: 残念だけど、私が教えられることはこれで全部です。仮面がないと、集中できなくて、集中ができないと、お姉ちゃんたちがどこにいるかもわかりません。だけど、ここ数ヶ月…私はあの部屋に閉じ込められていたけど、実は、ちゃんと人間になれた感じがしていたのです。とても…とてもいい気分です、自分の考えとか感情があって、集中していたときにはそんなことありませんでしたから。
SCP-4064-A: これで充分でしょうか?
ナイト博士: はい、ありがとうございました、ジェーン。非常に助かります。私の上司にかけあって、あなたの生活環境がよりよくなるよう努めると、お約束しましょう。
SCP-4064-A: ありがとうございます。それと、もう一つ。私が告げ口したって、本当の人間になりたいって言ったなんて、お姉ちゃんには伝えないで。お姉ちゃんはそういっても聞かないと思うけど、それでも私はお姉ちゃんを愛してるから。洗脳されたとか、何か恐ろしいことをされたとか、そんな風にお姉ちゃんに思われるなんて、耐えられない。隣の部屋に同じ痛みを分かち合う誰かがいるって思えば、お姉ちゃんにとっていくらかの慰めになるでしょうから。
ナイト博士: わかりました。SCP-4064-Bにはあなたの状況を知らせないようにします。
ナイト博士は部屋の外の警備員に合図し、警備員はSCP-4064-Aを拘束し部屋に連れ戻した。
[記録終了]
補遺04
2019年4月23日(収容から約5年後)、SCP-4064-Bに顕著な身体的変化が見られ、通常は黒色の頭髪の中に灰色の毛が1本確認されました。この発見以降も特別収容プロトコルは更新されていません。