SCP-5364 : 君は真に僕の一部

2007/8/23、自宅の裏庭に埋められた身体部位が発見された後、SCP-5364は警察に逮捕されました。SCP-5364は拘留中に吐出イベントを起こし、翌日、近隣の警察署に潜入していた財団職員によって確保されました。

記録開始

もし何か弁明すべきことがあるなら、今がその時でしょう。

_弁明_なんかねえよ。俺は人食いじゃねえ。ここ数週間ずっとこうなんだ。前はこんなんじゃなかった。

“ずっとこう”とは具体的にどういう意味ですか？

数時間おきに人肉の欠片が喉につっかえるんだ。何度か寝てる間に窒息死しかけた。大きさは色々だ、大抵はかなり小せえけどな。有難いことに。

で、あなたはそれが全く以て正常だと思ったのですか？

誰かに話すべきだったとでも言いてえのか？ こんなことが多少なりとも起こり得るのは、俺が_人を食った時_だけだぜ、先生様よ。_誰に_打ち明けろってんだ？

オーケイ、では、あー、あなたの家の裏庭から見つかったものは？

どうやって捨てりゃいいか分かんなかったんだよ。

…成程。

(SCP-5364は指を1本上げてヘイワード博士の話を遮り、苦しげに顔をしかめる。)

… うっ。

(SCP-5364はテーブルの上に前屈みになる。数分後、血液で覆われた1本の歯が、SCP-5364の口からテーブルに落ちる。SCP-5364はヘイワード博士を見上げ、彼に向かって歯を押しやる。ヘイワード博士はたじろぐ。)

おらよ。今日で5本目だ。

(SCP-5364が咳込み、顎に小さな血痕が付着する。)

歯は一番小せえから助けるけどさ。

… すると… 大きな場合は？

これまでで一番デカかったのは片手だな。数日前。

ジーザス。

あの後_何日も_メシが喉を通らなかった。バスタブの中でうずくまってよ、口から出るまで6時間近くかかった。ゲロが何度か込み上げてきて、でも通り道が塞がってっからどうにもなんねえし…

ま、最終的には出てきたけど。

(SCP-5364はおざなりなサムズアップのポーズを取る。)

薄情に聞こえるかもしれませんが… 私たちがその手を回収できる見込みはありますかね？ 指紋は貴重な手がかりです。

悪ぃね。他のと一緒に裏庭に埋めちまった。

あちゃ。ともあれ、私たちの下には優秀な医師がおりますので、怪我のことはご心配なく。

心配するよ。

私の部門はこのような未解明現象の訓練を受けています。もう大丈夫ですよ。

(SCP-5364は顎を手で拭った後、手をズボンで拭い、更にズボンをパーカーで拭う。)

ありがと。

記録終了

補遺5364-1: SCP-5364-1実例ログ

2007/8/25

人差指

実例はSCP-5364がサイト-303の食堂で昼食を摂っている最中に出現した。SCP-5364による呼吸困難の訴えは当初、食事によるものと誤認されたが、後ほどSCP-5364-1実例が原因だと判明した。SCP-5364は約8分かけて実例を吐出した。

食事を続けるように促されると、SCP-5364は食欲を失ったと述べた。

2007/8/26

歯5本

特に無し。

2007/8/29

舌

指定された自由時間中、SCP-5364は食堂の近くに配置された警備員に近寄り、未知の物質で口を満たしたまま、繰り返し「クールなもん見てみたい？」と訊ねた。警備員が躊躇いがちに同意すると、SCP-5364は警備員の目の前の床に人間の舌を吐き出した。事件後、この舌はSCP-5364-1実例であり、SCP-5364自身の舌は無傷で繋がっていることが確認された。

問い質された際、SCP-5364は“この状況の面白さ”を見つけ始めたと述べた。

2007/9/1

片足

不自然な角度が原因で、足は食道内に引っ掛かり、空気の流入を妨げた。SCP-5364はパニックを起こし、激痛を訴えた。足を除去するには食道内で細かく切断するのが唯一の方法だと判断された。SCP-5364は泣き始めてヘイワード博士の手を握り、博士は感情的支援を提供した。

足の除去作業中には、SCP-5364の喉を小さく切開し、呼吸を確保する必要が生じた。5時間後、足は3分割されて無事に取り除かれた。SCP-5364は喉に重傷を負い、現在回復中である。

補遺5364-2: 事件5364.1

2007/9/3

人体

SCP-5364は深夜に目覚め、収容室のドアを必死に叩き始めた。ヘイワード博士と医療スタッフが間もなく到着した。SCP-5364は床に倒れて身悶えしており、明白な発話・呼吸困難に陥っていた。口から1本の手が突出しており、数本の歯が折れていた。SCP-5364の身体は著しく肥大し、顕著に大柄な体格になっていた。

医療スタッフが分析を完了する前に、SCP-5364は死亡した。検死解剖では深刻な外傷と内出血が確認された。SCP-5364の消化器系からは全裸の中年男性1人の遺体が丸ごと発見された。SCP-5364の胃、食道、肺、肋骨、心臓は完全に断裂し、その中に潰れた遺体が収まっていた。

SCP-5364はNeutralizedに再分類された。

死亡以前にSCP-5364が吐出した身体組織のDNAを解析した結果、[編集済]町で互いに比較的近接して住んでいた3人の人物との一致が認められました。特筆すべきことに、この町には現在、SCP-5364の双子の兄であるジョン・メンドーサが居住しています。

3人はいずれも数週間前、SCP-5364の異常性が最初に発現したのとほぼ同時期に失踪していました。SCP-5364の兄の調査に続いて、ジョン・メンドーサはこれら3人を殺害し、人肉食を行ったと結論付けられました。

医療記録によると、ジョン・メンドーサとSCP-5364は腹部結合双生児として誕生し、生後間もなく外科手術で分離されていました。