SCP-5946

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収容違反を起こした際のSCP-5946。その後再収容されました。

Author: sinornis
Rating: 6/8
Created at: Sat May 16 2026
収容プロトコル: SCP-5946はサイト-33の人型実体収容セルに収容されます。収容セルから2メートル以内に最低7個のSRA1ユニットを配置し、常に稼働状態を維持してください。これらは対象の現実改変能力を低下させると考えられています。

SCP-5946には、クラスD記憶消去剤を封入したタイプIII遠隔操作皮下ポンプが装着されています。これは標準的な行動パターンからの逸脱が発生した場合に起動されます。SCP-5946が記憶処理剤に対する耐性を高めるのを防ぐため、タイプIII記憶処理インプラントの埋入数は最小限に抑えてください。SCP-5946に有効な他の薬剤は発見されていませんが、代替となる封じ込め手順が開発中です。

SCP-5946との会話は承認されたインタビューを除き最小限に留めるものとし、いかなる収容違反事象中であっても収容チャンバーへ戻るように誘導してください。
説明: SCP-5946は体重約 86 ㎏の準ヒト型コウモリ類生物です。

SCP-5946はかつてGoI-5917、通称「堂守連盟」の一員であり、“製図家”として"多元宇宙の地図"2の作成と管理、およびGoI-5917の構成員が探索可能な新たな次元への通路創出を担当していたと主張しています。

SCP-5946はGoI-5917に加入する以前は門番として働いていたと述べていますが、その職務内容に関する詳細な説明を行うことは拒んでいます。3

SCP-5946は、記憶処理剤に対する耐性の自然獲得(以前に消去された記憶の回復を含む)、認識災害性物品の製造能力、瞬間転移能力、急速な細胞再生能力などを含む複数の異常な能力を示しています。

当該実体の記憶は多数の現実・次元歪曲能力にも関連していると推測されていますが、これらの能力に関する研究は進行途中です。

再生能力を有しているにもかかわらず、SCP-5946の頭部には外科手術の痕跡があり、しばしば混乱や見当識障害を起こしています。

SCP-5946は財団に投降した際に「ロト」と名乗り、自身が収容されるべき存在だと主張しました。

収容違反記録 2021/02/27:

SCP-5946は12階の清掃用物置の隅で、翼を体に強く巻き付けた状態で発見されました。サイト-33の警備員がミーム防止バイザーを着用して接近し、以下の会話が記録されました。

ブランシュ警備員: SCP-5946、収容セルに戻りなさい。

SCP-5946: すまない……、すまない……

ブランシュ警備員: SCP-5946、必要なら私は実力行使もできる。セルに戻るんだ。

SCP-5946: 本当に……私はひどい父親だ、すまない、パルティス……

ブランシュ警備員: SCP-5946、自分がどこにいるか分かっているか?

SCP-5946: 私は──ああ、申し訳ない……戻るよ。

SCP-5946は転移して収容セルに戻りました。発作中に話していた内容に関して尋ねられた際、対象は返答しませんでした。

施設外部侵入記録 2021/03/15:

SCP-5946はサイト-33に隣接する森林地帯内で発見されました。自身の爪で上腕部を切りつけており、その過程で大量に出血していました。

財団の警備隊が接近した直後、対象は彼らに対し「なぜ私は生き残った?」と問いかけました。

実体は問題なく収容セルに戻されました。以後のインタビューにおいても、その質問の意味については詳しく説明していません。

SCP-5946の血液が接触したサイト-33外部の植物性物質は即座に腐敗し、血液に晒された土壌は通常の植物生長の兆候を示しませんでした。血液サンプルを採取し、植物試料および土壌試料に塗布しましたが同様の効果は観察されていません。影響を受けた土壌の調査は現在も継続中です。

余剰次元侵入記録 2021/03/15:

SCP-5946は、第7セクターのクローク室内部にある小型余剰次元空間で発見されました。その余剰次元は小さな木造建築物に類似しており、初期青銅器時代の中東でよく見られる織物の絨毯が敷かれ、蝋燭が灯されていました。

それはバラッカー博士によって発見されました。即座に応援を呼ばなかった理由を問われた際、バラッカー博士は自身が身体の制御を失い、ある記憶を実際に追体験しているかのような感覚に陥ったためだと説明しました。以下は余剰次元内で発生した出来事です。記録されていた以下のやり取りは、古代ヘブライ語から翻訳されています。

SCP-5946: イディスか? ま-また会えて嬉しいよ。

バラッカー博士: 驚いたみたいね。私が来るのを待っていたかと思っていたわ。

SCP-5946: ああ、たくさんの人が君を……まあいいか、お腹は空いてるかい? ちょうど焼きたてのパンがあるし、蜂蜜も──

バラッカー博士: ロト、私の気を惹こうとそんなに無理をする必要はないのよ。

SCP-5946: わ-私はただ、私が君のことを気にかけていると知っておいて欲しいんだ。

バラッカー博士: ……町の皆はそのことを分かってくれないから?

SCP-5946: そうだね。その気持ちも分かるよ、本当に。夜ごと影に潜む怪物が増えていくように感じるんだ。商人は私達を不道徳だと言うが……街の人たちは皆、できる限りの方法で人生を楽しんでいるだけなんだ。彼らを咎める気はない。結局、私たちの誰も来年を迎えられるか分からないだろうが、私はせめて未来を思い描きたいんだ。

バラッカー博士: ロト……私はあなたのことをずっと見てきた。旅人たちや商人たちとどんな風に話すかも知っているし、星々を見て物語を紡ぐ姿も知ってる。あなたは未来ある世界を望んでいるんでしょう。その考えを……ここから立ち去るつもりだということを咎めるつもりはないわ。賢いあなたならきっと道を見つけられる。

SCP-5946: 私はどこにも行かないよ。私がいる限り、あの忌まわしい肉共は私たちから逃げ回ることになる。

バラッカー博士: ロト……。

バラッカー博士は、この時点で自身がSCP-5946の頬に手を当て、その直後にSCP-5946の目が大きく見開かれたと回想しています。

SCP-5946: ……君は彼女じゃない。

バラッカー博士がよろめきながら後退する音。

バラッカー博士: わ……私に何をしたの?

SCP-5946: 違う! あれはただの記憶だったんだ、私は──

バラッカー博士が無線機器を手に取る。

バラッカー博士: セキュリティ、今すぐ応援を! SCP-5946が──

SCP-5946は自身の収容セルに転移する。

セキュリティ記録 2021/05/20:

巨大な三つ目のハゲタカに類似した未知の実体が、サイト-33の魔術的防衛網の脆弱部分にテレポートしてセキュリティを突破し、SCP-5946の収容セルへ侵入しました。実体は、高度な奇跡術と思われるものを用いて未知かつ異常な半透明の障壁でセルを覆いました。

以下の会話は、セキュリティチームが侵入者の制圧を試みていた間にセル内の記録装置によって録音されたものです。音声のみが復元されました。

SCP-5946: 地球の第2代堂守⁉ 正気か!? 何をしているんだ!?

不明実体: 助けに来てやったんだ! 何だってこんな所にいる? 皆がどれだけ君を探したか分かってるのか?

SCP-5946: 第2代堂守、早くこの場所から離れろ。君の安全を保障できない……私は本調子ではないんだ。

不明実体: でも君は生きているじゃないか! あんなものと対峙した後でそう言える者は他にいないぞ。さあ行こう。君をここに縛り付けていた哀れな連中の電源は切ったから──

SCP-5946: やめてくれ、2代! 私はここに留まらなければいけないんだ! 君が正気の私に会えたのは本当に幸運だった、だが……最近の私は私ではない。

不明実体: それなら君を治療できる! 少しの包帯を惜しむほど沢山の製図家がいるわけじゃないし、それに──

SCP-5946: 君たちに私を癒すことはできない! 君らは分かっていないんだ、あれがやったことは……取り返しがつかない。私は彼女の魂を救えなかった。私はあれに触れた自分の一部を取り除くことしかできなかった。何千年分の研究も、かき集められたありったけの魔法も……かろうじてあれを怯ませることしかできなかった。

不明実体: ならまた挑めばいい。俺たちにできるすべてを注ぎ込む、ここの盲いた愚か者共も一緒にだ! 頼むよ………どうか帰ってきてくれ。

SCP-5946: ンドゥグ、止めるんだ。

一時的な沈黙。

不明実体: お前……私の名前を口にしたな。今すぐそれを浄化しないといけないぞ、どうして──?

SCP-5946: 君を息子のように愛しているからだ。だからこそ危険に晒すことはできない。さあ、帰ってくれ……そして私たちを生みだしたこの忌まわしい場所から遠く離れなさい。

沈黙。

不明実体: いつかこれを解決してみせる。知識が獣共の手に堕ちることはない。

機動部隊が障壁を突破できた時点で、不明実体は発見できませんでした。

インタビュー記録 2021/05/20:

聴取者: ハロルド・バーンズ博士

対象: SCP-5946

<インタビュー開始>

バーンズ博士: こんにちは、ロト。セキュリティを破った存在についていくつか質問させていただきたいのですが。

SCP-5946: 彼はもうあなた方に迷惑をかけることはないでしょう。

バーンズ博士: 音声フィードであなたがあの実体を制止しようとしていたのを聞きました。それについてですが、あなたは何らかの戦闘中に頭部の傷を負ったのですか?

SCP-5946: 戦闘ではありません。あれは救出作戦でした。失敗に終わりましたが。

バーンズ博士: 誰を救出しようとしていたのですか? あなたの──

SCP-5946: それは関係ありません。勝ち目などなかったのです。サーキックは真の神を有している……私はただのごっこ遊びをしていたんです。

バーンズ博士: ……。

以後の調書記録は、セキュリティクリアランスレベル5以下の職員の閲覧が制限されています。

拡張インタビュー記録 2021/05/20:

聴取者: 中村サイト管理官、バーンズ博士代理

対象: SCP-5946

<インタビュー開始>

中村: さあ、話すんだ。

SCP-5946: 安全では──

中村: 芝居はやめろ! お前が戦ったあの実体は私の優秀な兵士を数百人もズタズタにしてきたんだ、その馬鹿馬鹿しい心神喪失の真似事に構っている暇はない!

SCP-5946: ……演技ではありません。自分を見失ってしまうんです。時々、何もかも思い出せなくなる。

中村: 節穴の目で私の仕事は務まらないことが分かっていないようだな。虚偽でこそないかもしれないが、お前はこの上なく大袈裟に振る舞っている。そんなことより重要なのはお前があれと対面した事実なんだ。さあ、話せ!

SCP-5946: あなた方は自分たちが何を弄んでいるのか理解していない……

中村: そんなことは財団の通常業務だ、だから何だ? お前はあれと対峙した唯一の存在なんだぞ。ヤル──

SCP-5946: その名を口にするな! まさか、我々が遊び半分で肩書をつけていると思っているのか?

中村: 君はかなり簡単に本当の名を教えてくれたように思うがね。

SCP-5946: 私がそれだけの報いを受けるべき存在だからだ!

一時的な沈黙。

SCP-5946: お前は私に辿り着いた未熟な学者の何万番目だと思う? あれに何かを、どんなものでもいいから代償として支払わせることができるならあらゆる犠牲に価値があると信じているのか? 自分たちだけは、破滅が決まりきった探求に挑んだこれまでの奴らとは違うのだ、とでも?

中村: ……。

SCP-5946: この場所で私が何よりも厭わしく思っているものが何か分かるか? お前たちの目に宿っている、その希望だ。心のどこかで自分たちならあれらを収容できると思っている。賢い方々だ……。

<SCP-5946は自身を指差す>

SCP-5946: これがあなたの未来ですよ、管理官殿。

バーンズ監督官がインターホンを鳴らす。

バーンズ: 中村管理官。緊急の連絡が来ています。

中村: 忙しいと伝えてくれ。

バーンズ: 管理官、O5評議会からです。

中村: ……分かった。

中村管理官は立ち上がり、SCP-5946を睨みつける。

中村: 言っておくが、ここはお前のための煉獄ではない。

SCP-5946: ……ええ。


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