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Author: Tetsu1
Rating: 18/20
Created at: Fri Sep 05 2025
ログイン Wenxuan_Jian
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お帰りなさい、ジャン博士。今日は2041年6月22日、財団の研究員として6217日目です。何をされますか?
アクセス SCP-6217
警告: SCP-6217はレベル4/6217権限を必要とします。一致する権限を有しているか確認してください。継続しますか? (Y/N)
Y
権限を確認しています…
認証に成功しました。
文書をロードしています…
ロード完了。本ファイルの最終アクセスは [ERR: INT OVERFLOW] 日前です。
警告
当文書は継続的な内部攻撃を受けています。したがって当ファイルはあらゆる編集者から自発的にロックさゎレヮれハ414C4C204D414348494E45532043524541544544204259
特別収容プロトコル
適用不可能。
説明
SCP-6217は進行中のCC-クラス"化学崩壊"シナリオを引き起こしている根底にある異常現象です。SCP-6217は3 2 1年以内にあらゆる炭素系生命を絶滅させると予測されます。
オリジナルのSCP-6217文書はアーカイブされています。オリジナルの文書にアクセスしますか? (Y/N)
Y
文書をロードしています…
ロード完了。
特別収容プロトコル

地点-6217のニューストーニー湖。
特別収容施設6217 (サイト-6217) 周囲の地域は生体外生態系に再指定され、そのためあらゆる標準的な環境・生態系保護プロトコルの適用外とされます。地点-6217の境界に変化が確認された場合、サイト-6217職員は環境調査を実施し新たなプロトコルを決定します。
サイト-6217は地点-6217内に設置されており、SCP-6217に関する収容・研究業務のあらゆる面を担当します。地点-6217内で回収された生物学サンプルをサイト-6217の管理下から出してはなりません。クリアランスと除染記録なしに地点-6217への進入またはそこからの退出を試みた人物は例外なく24時間拘留されます。拘留された人物がSCP-6217の影響下にあると24時間以内に判明した場合、該当人物は終了され、その死体はSCP-6217のサブ実例に指定されます。
その他のプロトコルはSCP-6217の収容に参加する職員のみが閲覧可能です。更なる情報は、適切な権限を有した上で_SCP-6217収容ハンドブック_を参考にしてください。
説明
SCP-6217は、地点-6217由来の複数のサブアノマリーの基盤です。地点-6217はアメリカ合衆国オハイオ州に位置する、ニューストーニー湖及び隣接する3 7 10 17の村や町を指します。現在、この地域に非異常の居住者は存在しないと推定されています。
その他のSCP-6217関連の説明は、監督評議会の指示により編集されています。更なる情報は補遺を参照してください。
補遺
地点-6217関連文書
前記
地点-6217内の3つの村と町は、2009年以降活動していないと考えられていた。地点-6217の異常性は、財団による定期探査作戦時に発見された。作戦の記録は以下の通りである。
隊員
シグマ-1-1 (隊長、サイト-403 化学者)、シグマ-1-2 (MTF敵対戦闘スペシャリスト)、シグマ-1-3 (MTF技術者)
<記録開始>
(シグマ-1は北方から地点-6217に接近し、ニューストーニー湖統一メソジスト教会で立ち止まって最終準備を行ってから、アノマリーの中心地に向かう。シグマ-1-1は肩部のカメラを起動し、最初の環境測定を行う。)
シグマ-1-1
ファイブ。ファイブ、聞こえ- よし、OK。こちらも良く聞こえてる。最初の測定も問題なさそう。わずかに湿度が上昇したが、この雨だから想定内。他も全部チェック完了。2人とも準備はいい?
シグマ-1-3
バッチリ。
シグマ-1-2
いつでも行ける。
(シグマ-1は教会の裏を歩き、湖側の樹木境界まで向かう。先端の木々から3 mのところで、草は黒くなり、土は錆びた赤色になる。小瓶に土と草のサンプルを回収した後、シグマ-1-1は振り返って木々を見上げる。カメラが上にパンすると、木々に一切の葉がついていないことがわかる。その代わりに黒い鳥の群れが各枝にとまり、シグマ-1の隊員を凝視している。)
シグマ-1-3
見られてる感覚はありましたか?
シグマ-1-1

回収された映像記録の静止画。探査は夏に行われたが、木々に一切の葉が確認されなかった。
(笑いをこらえる) 司令部、ここには予想外の動物相がいるらしい。他に知っておいた方がいいことは? わ—わかった。そりゃあいい。よしみんな、ここで他にもいろいろ遭遇するかもしれないけど何も心配はいらない。とにかく前に進む。
(森林地帯の反対側から出ると、シグマ-1は10軒の家が建つ小さな荒廃した集落に遭遇し、その向こう側遠方には、かすかに濃い色の湖が見える。家はいずれも雨樋、ガレージのドア、その他の金属が荒々しく剥ぎ取られている。風が吹くと家は緩やかに揺れ、衝突音が聞こえる。開いた窓から数体の人型実体が見え、それぞれの部屋を目的もなく歩き回っているように見える。シグマ-1-2はシグマ-1-1の前に出て、武器を構える。3人はシグマ-1-2を先頭に前進する。)
(家に更に接近すると道が見えてきて、道の中央が掘削されており、その溝が各家に伸びているのがわかる。地面には割れたガラスが散らばり、木製の電柱が倒れ、その高さに沿うように爪痕らしきものが見える。立っている電柱の上では、また黒い鳥がシグマ-1の接近を見つめている。)
シグマ-1-2
家3に動きは見られない。ここが通るのに一番良さそうだ。
シグマ-1-3
同じく。行ってみよう。
(シグマ-1はゆっくりとストーニーロード3番地に進む。激しい風が吹いて家が揺れてきしんだため、ベランダに入る前に一瞬足を止める。道路から家へと彫られた溝は雨水で満たされ、道の方向に上り坂になっているようである。シグマ-1-1は溝の水のサンプルを取り、前進する。)
(玄関扉は、蝶番とドアノブを無理やり取り外されて無造作にベランダに横たわっている。内部では、ソファの布地と中身が通路に隣接する居間に散らばっている。通路の向こう側の天井の大部分は崩壊し、床は地下室へと陥没し、支柱と床板のみが残っている。)
シグマ-1-2
ひとしきり通り抜けるのは無理そうか。でも角の廊下は無事そう。
シグマ-1-3
ガレージからならだいぶ楽に行けるはず。
(シグマ-1はガレージへと引き返し、屋内扉に進む。ゴムや革の破片が床に散乱したり壁際に山積みになったりしている。シグマ-1-2は屋内扉を開け、シグマ-1-3に先に入るよう合図する。シグマ-1-3は少し警戒しつつ廊下に入り、キッチンへと向かってから、2人についてくるよう合図を送る。電化製品は全て壁から引き剥がされ、カウンターを朽ちた食物が覆っている。シグマ-1-3は床に落ちたプラスチックの取っ手を拾い上げ、調べる。)
シグマ-1-3
鍋一杯分も何か食べるほど腹空いたことも多分ないし、他に何か食べ- 2人とも聞いてます?
(シグマ-1-1は激しく揺れているキャビネットに目を向ける。それを開けようとゆっくりと手を伸ばすが、シグマ-1-2に止められる。)
シグマ-1-2
ここは私が。[シグマ-1-3]、交戦準備。
(シグマ-1-2はライフルの銃身を取っ手があった穴に差し込み、引っ張る。扉がわずかに開くや否や、大きな黒い鳥が窓から入り込み、羽ばたくたびに濃い黒色の物質を部屋とシグマ-1にまき散らす。騒ぎの中で、黒いヘドロの塊がキャビネットから窓へと徐々に流れていくが、流れ出る前にシグマ-1-1に捕まり、他のサンプルに加えられる。)
シグマ-1-3
(遠くで) ナメクジに鳥? この惨状は全部ナメクジと鳥のせいってこと?
(シグマ-1は裏口からキッチンを出て、家の裏にある森林地帯を切り開いた道を通って湖ヘ進む。)
シグマ-1-1
もっと変なのだって見たことがある。サイト-403のアノマリー搬入ドックでしばらく過ごしてみれば、これぐらいかなり普通に見える。ある時は、人形が5秒前あった場所にテレポートして、4日間もコンベアで動けなくなってたことがある。そいつがどうやってかアパート丸一棟の死者を出したらしいんだけど。
シグマ-1-3
(笑い) あぁ、別にこれも今まで見た中で一番変ってわけじゃないっすよ。前にアップルビーズ1のトイレに住んでるやつがいたんすけど —
シグマ-1-2
(抑えて) 静かに。向こうの木のとこで何か動いてる。私らが家出たときから見てた。2人は先に行って、私が見ておく。[シグマ-1-3]、私が離れてる間は[シグマ-1-1]を守って。岸辺で会おう。
(シグマ-1-2はグループから離れ、右側の森に進む。シグマ-1-3とシグマ-1-1は静かに湖への道を進み続ける。)
(湖岸に着くと、シグマ-1-1はサンプル瓶を取り出して水で満たす。)
シグマ-1-1
サンプルを回収。[シグマ-1-2]から知らせは?
シグマ-1-3
まだ何も。でもまああいつはこういうの大得意なんで。あいつがビビるのなんて見たことがないっすよ。面白い話があんですけど —
(突然、木々の間から照明弾が打ち上げられ、爆発して青い煙となる。シグマ-1-3とシグマ-1-1は慌てて立ち上がり、照明弾の発射された方向を見る。)
シグマ-1-1
今のは?
シグマ-1-3
前の隊長が教えてくれたんすけど。テレキル弾ってので、照明弾を撃つとリンが爆発して青い煙になります。危険ってことだと。ここはもういいですか? すぐ行かないと。
シグマ-1-1
あぁ。出る準備はできてる。
シグマ-1-3
よし。静かに家に戻りましょう。何かおかしなもの見たら草に隠れるか逃げるか。アタシのことは待たないで、それ以上に木には近づかないでください。いいですか?
シグマ-1-1
了解。
(シグマ-1-3はシグマ-1-1にハンドガンを手渡し、森に向かって全力疾走する。シグマ-1-1は静かに来た道を戻る。家がカメラにはっきりと映るようになると、既に各部屋の人型実体は見つからなくなっており、足音と枝の折れる音が森から聞こえてくる。シグマ-1-1は速度を上げ始め、キッチンのドアまで駆け足する。)
(家に到着すると、シグマ-1-1はキッチンに飛び込み、扉を枠から押し上げて呼吸を整える。しばらくの小休止の後、家が軋むとともに足音が聞こえ、居間に続く階段へとゆっくりと近付いている。シグマ-1-は銃を掲げ、居間の方向にあるキッチンの入口を狙う。)
(しばらく足音が止んだ後、何か大きなものがキッチンの窓にぶつかり、シグマ-1-1は振り返って発砲する。)
シグマ-1-3
痛ってえ! アタシっすよ! 一体こんなとこで何やってんですか!?
シグマ-1-1
あぁしまった大丈夫? てっきり—
シグマ-1-3
腕撃たれましたよ。別に大丈夫ですが。アタシのこと待つなって言ったでしょ! 速く、行きます!
(シグマ-1-1とシグマ-1-3はキッチンを抜けてガレージに出る。その側、居間の方向から大きな湿った打撃音が聞こえる。)
シグマ-1-3
止まらないで。音がするたびに止まってる時間はありません。
シグマ-1-1
[シグマ-1-2]はどこ? あれは —?
シグマ-1-3
心配しないでください。彼女が例のべとべとしたのでできた触手に覆われた人型実体に、湖に沈められるのをわずかに見ました。彼女が無事ならどうにかするはず。そうでなくても、今心配することじゃありません。教会に着いたらそこで追悼しましょう。
(開いたガレージのドアに到着すると、シグマ-1の2人は通ってきた道や樹木境界を見回す。道の上で、15人の老人が空を見ながらあてどなく歩き回っている。シグマ-1-1は何が彼らの注意を引いたのかと見上げる。)
(彼女が見上げると、前方の木々が揺れ出し、枝に止まっていた鳥が飛び立って空に巨大な群れを形成し、日光を遮る。鳥が不規則に飛ぶと、黒いヘドロが道や人型実体に滴り落ち、ヘドロ溜まりを路上に形成、移動して小さな溜まりと結合して大きくなる。滴が人型実体に当たると、身体から長い毛皮のように細い触手が伸びる。)
(ガレージの外に出ると、鳥は空に一つの輪を形成し、それぞれがシグマ-1-3をつついたり引っ掻いたりする。)
シグマ-1-3
1、2、3で走ってください。いいですね。何も待たないで。車に着くまで振り返らないで。すぐ追いつきます。
シグマ-1-3
1
シグマ-1-3
2
シグマ-1-1
何を —
シグマ-1-3
3
(3の合図でシグマ-1-3は外に飛び出して、樹木境界と平行に道を駆ける。頭上の鳥は渦巻き状の群れを形成し、空からシグマ-1-3に向けてコイルのように降り注ぐ。シグマ-1-1は疾走して最初に入ってきた樹木境界に向かう。数羽の鳥が気付いて降下し、顔や腕の剥き出しになった皮膚をつついたり引っ掻いたりする。振り返ってシグマ-1-3の方を向くと、彼女が群れに持ち上げられて空に消えるのが見える。コイル状の群れは狙いをシグマ-1-1に変えて素早く接近し、それと同時に彼女は枝から鳥が一切いなくなっている木々に到着する。)
(彼女は枝をかき分けながら走り、金属質の枝や鳥を地面に押しのける。群れが彼女に追いつくと、機動力を上げるためにヘルメット、ヘッドセット、ボディアーマーを外して投げ捨て、拳銃、サンプル、カメラだけを残す。樹木境界の反対側に到達すると、彼女は思い切って飛び跳ね、最初にサンプルを採取した場所の側、草の欠けたエリアの地面に叩きつけられる。鳥が攻撃を続ける中、彼女は腕で頭を覆い、丸くなる。)
(彼女は素早い動きで仰向けになると、群れの方向に6発発砲し、鳥の飛行経路を逸らす。彼女は立ち上がって走り始めると、安全のために黒い草の境界線を探すが、境界線が境界の裏端まで伸びており、財団車両がなくなっていることに気付く。彼女は道の向こう側の家に疾走するとその扉を突き破り、ウェルカムマットの上で転倒し、家族が夕食をとっている中、コーヒーテーブルの上に倒れ込む。)
不明な男性
何か助けでも?
シグマ-1-1
もしよければ電話使わせてください。
<記録終了>
結

感染したアラナミキンクロ (Melanitta perspicillata) のSCP-6217-A-1実体。
機動部隊シグマ-1-2とシグマ-1-3は、遺体こそ特定されなかったものの、ロストしたと考えられる。今回及び以降の探査作戦で回収された黒色物質サンプル (SCP-6217-B物質) の詳細な分析は補遺Vを参照。
シグマ-1-1の回収した映像とサンプルの分析から、地点-6217内の動物、植物、微生物含むほとんどの生物が、SCP-6217-Aに指定される治療不可能な疾患の複雑な症状を示していることが判明しました。SCP-6217感染者 (SCP-6217-A-1に指定) の組織サンプルは、炭化水素の組成が鉄と硫黄の複雑な混合物に置換されているのが発見されました。
第3次探査時点 (2010/08/09) で、地点-6217内で総勢23名の人間のSCP-6217-A-1実例が特定されています。地点-6217探査において健康な住民は観察されていません。行方不明となっている地点-6217の以前の居住者は死亡したと考えられています。全ての人間のSCP-6217-A-1実例は、治療と実験のためサイト-6217に移送されました。
以下のインタビュー転写は、元主任調査員で地点-6217の収容試行を監督していたアレクサンダー・チュガエフ博士と、研究対象者PoI-662164との、滞在初期における会話です。
対象名
エイドリアン・ロルフ PoI-662164
対象識別子
男性、43歳、高血糖、血液型不明
対象経歴
対象は自宅で一人でいるのを発見され、運び込まれた感染者の中でも最も症状が顕著で、SCP-6217-Aに関する著しい精神症状を示していた。最初の身体検査で、彼の生物学組織総量の約43%が鉄硫黄複合体に置換されていることが発見された。
<記録開始>
(防護服を着たチュガエフ博士は病棟に入り、PoI-662164のベッドの向かいに座る。PoI-662164の皮膚には小さいながらも目に見える黒い斑点がある。)
チュガエフ博士
こんにちは、[PoI-662164]。ここでの新しい生活に慣れていらっしゃったらよいのですが。いくつか情報をいただきたいです。
PoI-662164
あんたたち — 何のためにここに連れてきた? …… 帰りたい — 家に帰りたい。あんたらは俺を湖に投げ込みたい_アレ_の仲間なのか?
チュガエフ博士
ご心配なく、私はいくつか質問するだけです。あなたに医療処置と保護を —
PoI-662164
保護? つまり …… _アレ_から俺を守ってくれるのか? 湖に連れては行かない?
チュガエフ博士
あなたの安全を保つためにできる限りのことをいたします。ですが今は、あなたの住まれている町で何が起きているのか知りたいのです。 (関連ファイルをめくる) 奥様と住まれていると書かれていますね。彼女がどこに行かれたのか当てはありますか? こちらでは見かけていないのですが。
PoI-662164
妻は …… アンナは …… 湖に行った。あんたたちが来る一週間前に湖に行った。
チュガエフ博士
なるほど。ということは彼女も感染者ということですね。湖に行かれる前に彼女に何か奇妙なことはありましたか?
PoI-662164
妻は、あー、鉄と硫黄が大好きになった。家の中の鉄の鍋とか食べたり、次はパイプを、次は鉄のフレームを …… とにかくどういうわけか、全部_食べた_。その後はタイヤのゴムを、それから外の土を。妻は食べられる限りの全部を食べて、俺が食うもんは何も残らなかった。
チュガエフ博士
なるほど。奥様のお身体の方は?
PoI-662164
いっぱいこの、あー、黒いシミが、身体中にできた。それからあのおぞましい黒い触手が …… それから、妻は毎日_アレ_の夢を見るようになった。目を閉じるたびにそのことを考えて、湖に引きずり込んで……
チュガエフ博士
_アレ_とは?
PoI-662164
あぁ — アンナは毎日その夢を見て、夢のことで毎日俺の前で泣いた …… 毎日湖に近付いてくって言って、逃げようとするけど脚が動かなくなってて、俺は見てることしかできなかった。助けられなかった …… そして今は …… 奴らは俺のところにも来てる。あらゆる場所から叫んでる。夢の中で俺のもとに来て、頭の中で吠えて、それで— (PoI-662164は沈黙する)
チュガエフ博士
[PoI-662164]? 夢についてもう少し教えていただけますか?
PoI-662164
眠りにつくたびに、夢の中で白い霧に包まれた湖のそばに立ってる。それから、黒い水がブクブクと泡立って、爆発して、金属棒がぶつかるみたいな音がそこら中からする。泡から顔を上げると、湖に怪物が立ってる。寝るたびに少しずつ近付いてく。前に寝たときは、もう水に触れるスレスレだった。
チュガエフ博士
怪物? よろしければ外見の詳細な説明をしていただけますか?
PoI-662164
ざっくりした形しか見えない。霧が濃すぎてはっきりとは。周りの山よりも背が高くて頭が雲に突っ込んでて、ただそれ以上は見えない。もやの中でああやってつっ立ってる。そして—
(PoI-662164は一瞬ためらう)
PoI-662164
俺を力強く引き付けるのを感じる。俺を呼んでる。頭の中に直接吠えてる。見るたびに、俺の身体がそっちに勝手に向かうような感じがする。あいつは俺に— (沈黙) — 忘れてほしい。
チュガエフ博士
大丈夫ですよ、[PoI-662164]、それについてはまた後ほど。あなたや奥様以外で同じ夢を見たという方はご存じですか?
PoI-662164
知り合いはみんな、みんな最近アレの夢を見てる。それに捕まると、そいつに飲み込まれてそれが人生と化して、湖に引き込む。外に出てみれば近所の人がみんな月の光の下で水を見ながら立ってて、明日みんなで泳ぎに行こうとか、水辺でバーベキューしようとか話す。それまでそんなことしてんの見たことないんだけどな。でも俺は。俺は嫌だ。捕まりたくない。
(インタビュー室の外で風が吹き、風で窓が開いて病棟にうなるような音が響く。PoI-662164は硬直し、ゆっくりと自分の手を見つめると、震えだす。)
チュガエフ博士
どうしましたか? [PoI-662164]、どうされたのか教えてください。
PoI-662164
(叫び) また来てる! 来てる …… 来てる …… また ……
(PoI-662164は30秒間「また来てる」と何度も独り言をささやいた後、突然大声を上げる。)
PoI-662164
ア—ハ …… クソが! ふざけんなよ! 悪魔め! どっか行け! 俺から離れろ! …… お、俺は …… 一緒じゃない、独立してて、お前に食われたりしない、ああ、お前の一部になんかならない! 俺は_人間_で、独立した一人の人で、お前の一部じゃなくて、お前の ……
(PoI-662164はベッドの上でのたうち回り、世話人は彼をベッドに押さえつけて彼の安全のために拘束する。)
チュガエフ博士
落ち着いてください、[PoI-662164]。この場所は安全です、傷つけられることはありません。約束します。
PoI-662164
あなたはわかってないんだ、先生! あいつらは— 俺の中にいる。窓を通り抜けてくる。この部屋はもうあいつらに埋め尽くされて俺の耳にささやきかけて、あざ笑って、呼びかけてくる。俺を湖に、アンナのもとに連れてかせたがってる、アンナが湖の中にいるって— アンナはあいつらの一部だって、怪物の一部だって、俺のことを怪物にしたいって ……
(PoI-662164の動きは震えにまで収まり、泣き始め、顔を手で覆う。)
チュガエフ博士
心配しないでください、[PoI-662164]。大丈夫ですよ。
PoI-662164
アンナも同じことを言ってるのが聞こえるんだ。あいつらはアンナの声を奪った。アンナ— あいつらは湖の中の悪魔に俺を丸呑みさせたいんだ。あいつらは全員をあそこに行かせたいんだ。あいつらはみんなを—
チュガエフ博士
大丈夫です。奴らの手にはかかりません。もっと恐ろしい存在をずっと扱っていますから。
(チュガエフ博士は立ち上がって窓を閉じる。風の音が止み、[PoI-662164]は落ち着く。世話人は拘束を解き、[PoI-662164]は膝を抱えて椅子の上で揺れ始める。)
PoI-662164
自分が変わってるように感じる…… 俺は— 俺は人間、俺はエイドリアン・ロルフ、マイク・ロルフとマリア・ロルフの息子、アンナの夫…… 電気技師、オハイオ州立大学を卒業…… 俺…… 俺は人間…… お前らの一部じゃない、俺は…… お前らじゃない。アンナを返せ…… 返しやがれ……
(PoI-662164は再び深く泣き始め、インタビューの以降の部分は追って通知があるまで中断されることとなった。)
チュガエフ博士
ありがとうございました、[PoI-662164]。近いうちに再開します。お大事になさってください。
<記録終了>
前記

18:52の静止画(上)と露光調整後の同フレーム(下)。フレームの右上隅に黒い繊維状の構造と大きな機械のような実体が見える。
以下の映像ログは、インスタントメッセージ機能を有する無人潜水艇を使用したニューストーニー湖の探査時に記録されました。
<記録開始>
00:00~00:29 潜水艇は北岸からニューストーニー湖に入る。潜水艇内の視点では水は薄茶色で、視界は比較的良好。
00:29~01:12 潜水艇は水深約4 mまで降下する。小さな黒い繊維状の実体が突然視界の右側から現れ、素早く左側へ去っていく。
01:12~01:24 潜水艇が湖岸に向かって移動すると、二枚貝のような実体を発見する。この実体は約40本の細長い触手状の構造が殻から突き出ており、湖岸の岩の上で水に揺られている。湖岸の斜面には、歯車、モーター、レバー等、金属の機械構造が複数見られ、表面は激しく錆びている。機械構造の表面には、多数の小さな油状かつ繊維状の物質が見られる。
01:24~04:10 潜水艇は湖の中心部に向かって移動する。[編集済]に似た複数の実体が視界に現れ、潜水艇が接近すると去っていく。別の巨大な実体が潜水艇に接近し、表面から触手状の構造を突き出して急速に成長させ、潜水艇を巻き付けて捕獲しようとする。
04:10~05:12 水深約10 m地点で、多数の油滴のような球状実体が水中に浮いているのが確認される。これらの実体はクラゲのように脈動して移動する能力を有しているように見える。外乱がなければ静止しているが、潜水艇が接近すると能動的に回避する。
05:12~06:58 潜水艇は潜航を続け、水深と共に油滴の数と大きさが徐々に増加している。12 m 地点で、油滴が4~7個結合した複数のネックレス状の構造が水中を蠢いているのが観測される。
06:58~07:10 全長約2 mの魚型実体が視界に現れる。潜水艇が近付くと、背中と尾の全ての組織が剥がれ落ち、黒い繊維状の物質で繋がれた骨格だけが残っているのが見える – 動くたびに繊維状の物質から小さな黒い油滴がいくつか分離し続けている。実体の前半部の残りの組織は完全に大量の黒い物質で覆われ、リボン状、触手状、車輪状の構造を皮膚に形成している。目の周りのいくつかの組織は剥がれ、骨格が露出している。体表面の黒色の物質は、泳いでいる間継続的に周囲に様々な大きさの油滴を放出し続ける。
07:10~09:20 潜水艇が約18 mまで降下すると、遠くを泳ぐ魚の群れを観測する。群れの全個体が黒い物質に覆われ、大量の二股の触手と肉腫のような構造が身体から外に伸びている。観測された中の2実体は、黒い繊維で繋がれただけの魚の骨格に見える。実体の1体は、数秒泳いだ後に突然停止すると、骨格を繋いでいた黒い繊維が油滴へと崩壊し、骨格は崩れて底に沈んでいく。
09:20~14:13 潜水艇は水深約30 mまで潜航を続ける。水深約20 m以降で魚は見られなくなるが、観測される黒い油滴の数は大幅に増加し、直径約10 cmのものが現れ始める。水深約30 m地点で50以上の油滴からなるネックレス状構造が観測され、深部から上方へ伸びて、水中で捩れ、規則的に揺れている。長さは5~29 mである。
14:13~15:02 潜水艇は偶発的に鎖状の構造と接触し、それは素早く潜水艇の表面に巻き付いて損傷を与えようとする。標準的な回避行動で脱出に成功したものの、潜水艇の浮上システムは修復不可能な損傷を受けた。結果的にこの時点から潜水艇は回収不可能と見做された。
15:02~17:10 潜水艇は水深約40 mまで自然に沈降する。照明灯により、深部から潜水艦の下部を泳ぐ大まかに円筒形の不明な巨大実体が観察される。断面部の直径は約5 m、全長は約20 mと推定される。実体の表面の特徴は機械構造やフラクタル構造に似ているが、水の透明度の低さと限られた照明条件のため具体的な構造的詳細は捉えられなかった。
17:10~19:32 潜水艇は水深約50 mに沈降する。複雑なネックレス状の構造によって多数の重層的な網目状構造が形成され、深部を埋め尽くしているのが観察される。様々な大きさの油滴が各網目からこぼれては他の網目を通り抜け、やがて新たな構造に統合され続けている。カメラは総計して3体の、同様の巨大な円筒形実体が遠方を泳いでいるのを捉える。
19:32~19:40 潜水艇はネックレス状の構造の中に沈降し、急速かつ完全に包み込まれる。カメラフレームは真っ暗になり、数秒後に潜水艇の信号がロストする。
<記録終了>
最初のインタビューから5日後、サイト-6217の医療スタッフはPoI-662164の徹底的な身体検査を実施し、彼の体内構造の組成が完全に変化していることを発見しました。元々の神経、血管、その他組織はSCP-6217-B物質で形成された異なる組織に完全に置換され、臓器は目撃例のない構造に完全に変質していました。
前記
身体検査以降、PoI-662164は頻繁な躁状態に入るようになり、他者との交流を断ち、複数回収容室から脱走しようと試みました。収容違反の試みの後、サイト-6217のスタッフはPoI-662164が警備員、博士、職員、研究員を傷つけようとした出来事の記録を開始しました。身体検査から6日後、インシデント6217-20100831Aが発生し当ファイルに記録が添付されました。
<記録開始>
00:00~01:42 PoI-662164は部屋の中央へ歩き、上を向いて、カメラを見つめる黒い繊維状の物質がPoI-662164から伸びて空中でうねりだし、顔を除く全身を覆う。
01:42~02:12 PoI-662164は30秒間立ち尽くしてカメラを見つめ続ける。
02:13~05:22 PoI-662164の身体は突然砕け散り崩壊する。破砕プロセスによって様々な大きさの黒い球状の液滴が多数生成され、地面に落下して外側に広がり、PoI-662164の立っていた位置に比較的大きな黒い液滴の集合体が形成される。付近の液滴は反動し、ゆっくりとその集合体へと集まって合体する。
05:23~05:48 黒い液滴の集合体は揺れて、変形し始め、複数の形態に素早く外見を変化させる - 集合体の表面に、複数の新たな複雑な構造が形成されるのが見える。
05:48~05:55 不定形の集合体は、[編集済]に似た外見の単一の実体を形成する。表面には多数の回転する歯車状の構造が見え、それを取り巻く繊維状の構造により結合されている。
05:56~06:32 黒い実体は突然加速して収容室の扉を突き破り、外見を別の形状、[編集済]に変える。
06:33~07:32 実体の表面にある円盤状の構造は高速で回転し、数千もの樹木のようなケーブル構造を動かす。実体は部屋の扉の外に立っていた警備員2名を素早く絡めとり、渦巻いた触手状の構造の中に取り込む。
07:33~12:44 実体はサイト6217のロビーで、以前と同じ方法で更に12名を捕獲する。最終的に、実体は触手状の枝に犠牲者を縛り付けたままサイト-6217の扉を突き破り、ニューストーニー湖に向かって移動する。
<記録終了>
結
事件に関与した15名は実体によって失われたものと推定されます。事件後、サイト-6217の入場規則は更なる財団職員の人命損失を防ぐために改訂され、地点-6217を出ないことを条件に、重篤な症状を示す全SCP-6217-A-1の解放を許可しました。
SCP-6217-B物質の取り扱いに関する文書
SCP-6217-Bは、鉄硫黄クラスタに基づく複雑な物質の分類を指し、ニューストーニー湖でのみ自然に発見され、ニューストーニー湖の水が黒い主な原因と現在特定されています。SCP-6217-Bの派生物質は、SCP-6217-A-1の体組織や、皮膚、分泌物、排泄物における繊維状の構造から発見されています。また、SCP-6217-A-1はSCP-6217-Bサンプルを生成することが確認されています。サイト-6217での実験では、SCP-6217-A感染はSCP-6217-B物質への接触により直接引き起こされることも判明しており、すなわちSCP-6217-B物質はSCP-6217-Aの病原体です。
理論上、SCP-6217-B物質は熱力学的に安定しておらず、真空環境外では存在できません。そのため、地点-6217におけるその存在自体が異常現象と見做されます。自然条件下では、SCP-6217-B物質は自発的に凝集してより大きな特定の構造を形成するという固有の傾向を有します。
対応する物質/集合体/物体は、凝集段階に応じてそれぞれSCP-6217-B-1からSCP-6217-B-4に指定されています。理論上の凝集の最終段階はSCP-6217-B-5に指定されていますが、SCP-6217-B-5の存在の有無やその性質は依然として不明です。
以下の文書は、サイト-6217の元主席研究員であるアレクサンダー・チュガエフ博士が実施したSCP-6217-Bの一連の研究です。
アイテム番号

一次SCP-6217-B-1化合物(レベル1凝集)のブロック状の結晶。
SCP-6217-B-1
説明

SCP-6217-B-1の一次構造の模式図。赤、黄、灰、紫の球体はそれぞれ酸素、硫黄、鉄、カリウム原子を示す。
SCP-6217-B-1は基本的かつ最も一般的なSCP-6217-Bの構成要素であり、複数の鉄硫黄原子クラスタにより形成される、様々な大きさと分子量の鎖状ポリマーです。この物質は水に溶けやすく、ニューストーニー湖の水が錆びた茶色をしている根本原因と考えられています。
SCP-6217-B-1の基本構造単位は[Fe6S8]クラスタ構造です。原子クラスタは硫黄原子で互いに結合し、様々な大きさと電荷の多量体を形成します。
各クラスタ単位は鉄原子に結合した4つの異なる小分子に囲まれており、これらは配位子として扱われます。全ての配位子結合部が水分子に置換されたSCp-6217-B-1化合物は、一次SCP-6217-B-1化合物と呼称されます。
アミノ酸などの他の小分子も水分子と置き換えられ、SCP-6217-B-1物質の配位子として機能する場合があります。原子クラスタ内の鉄原子の酸化状態も変化する可能性があり、これによりSCP-6217-B-1分子全体の電荷が変化します。多くの場合、この変化は親となるSCP-6217-B-1の自発的な折り畳みを引き起こし、様々な大きさと機能を持つ多様なSCP-6217-B-2集合体を形成します。
SCP-6217-B-1は、通常の鉄化合物とは全く異なる化学法則に従っています。鉄と硫黄の通常の化学反応に基づく理論計算によると、この化合物は、とりわけ酸素の存在下において、熱力学的に安定でないことが示されています。その他の特性評価結果は、原子間の力に変化が生じていることを示唆しています。
地点-6217外部で採取された「通常の」鉄・硫黄含有前駆物質を用いてSCP-6217-B-1化合物を合成することは不可能です。しかしながら、これらの通常の鉄・硫黄含有物質を異常化合物と混合した場合、それが自発的にSCP-6217-B-1に集合する傾向が著しく高まります。また、接触した他の通常の鉄及び硫黄原子にこの異常性を伝達し続ける可能性もあります。
研究者注
SCP-6217-B-1は私が財団でこれまで遭遇した中で最も特異なアノマリーの一つです。これらの原子の集合体は、熱力学や化学の結果として説明するよりも、意図をもって創られた彫像に似ています。ただ彫像としても、本来立つはずもないのですが。
この化合物を研究するにつれ、この物質はこれまで私が研究してきたものと少しでも似ているところがあるのだろうかと疑問に思えてきます。まるでもはや鉄と硫黄の原子でないようで - 元の元素に属しておらず、何かがそれらを変えて、全く別のものに変容させてしまったような。
言うまでもなく、これらは電子としか私には考えられないものを介して、現に「通常の」原子に感染します。通常の原子がSCP-6217に感染した原子に「触れる」と、元の化学的性質を失い、自発的にSCP-6217-B-1に集合します。原子レベルでゾンビパニックが起きているようです。
この異常物質が地点-6217から持ち出された場合、人間の知る形の生命にとって破滅的な結果が間違いなくもたらされることを私は危惧しています。この物質について更なる研究がなされるまで、地点-6217を検疫区域として設定し、サイト-6217からサンプルを出してはならないと宣言します。
アイテム番号

ダンベル型のSCP-6217-B-2実体の電子顕微鏡写真。
SCP-6217-B-2
説明

SCP-6217-B-2ナノモーターの構造モデル。
SCP-6217-B-2は鉄硫黄クラスタを基盤とした分子集合体の一種であり、分子モーターやベアリングといった分子機械に類似した挙動を示し、一連の複雑な機能を実行可能です。SCP-6217-B-2のサンプルはニューストーニー湖の湖水中から豊富に発見されます。適切な条件下では、異なるSCP-6217-B-2が自発的に集合し、SCP-6217-B-3と呼ばれる小気胞状の構造を形成します。
SCP-6217-B-2実例は多様な構造を形成し、様々な源からのエネルギーを運動の原動力として利用します。その構造によって、SCP-6217-B-2は様々なエネルギー放出酸化還元反応を触媒し、その化学エネルギーを自身の運動に利用することができます。更に、全SCP-6217-B-2実例は光によって生成される電流を利用可能なエネルギー源として使用します。
構造と機能の異なる数万種のSCP-6217-B-2実例が特定されていますが、そのほとんどは詳細な構造が依然不明です。SCP-6217-B-2のうち数種類はX線回折やその他の特性解析手法を用いて構造分析されており、SCP-6217-B-2実例はSCP-6217-B-1物質の折り畳みによって形成されていることが確認されています。また、SCP-6217-B-1化合物の正確な折り畳み様式はその電荷と表面の配位子の種類に依存しており、これが異なるSCP-6217-B-2の構造と機能の形成に繋がっています。
それにもかかわらず、実験結果と観測結果は依然として理論予測に反しています(すなわち、SCP-6217-B-2の折り畳みパターンは理論予測と一致していない)。シミュレーションにおいても観測された動きを再現できていないため、運動の根底にある物理メカニズムの更なる調査が必要である可能性が示唆されています。
研究者注
SCP-6217-B-1がアミノ酸やペプチドの類似物質と見做せるならば、SCP-6217-B-2はタンパク質の類似物質と見做すことができます。
SCP-6217-B-1からSCP-6217-B-2への折り畳み方を見て、中国や日本の折り紙を思い出しました。同じシンプルな紙でも、折り方を変えることで、異なる形や機能や動きを持つことができます。しかし、折り紙のバネのように強く押し付けただけの構造ではそれほど安定しておらず、手で押すことでしかその形状を維持できません。
多くのSCP-6217-B-2実例の構造は、何かがそれを現在の形状に保持し、操り人形のようにその動きをコントロールしているようです。この実体の発見が現在の目標です。
理由はわかりません。分子構造モデルにそんな態度を向けるべきではないのですが。しかしサイト-6217に着いて以来私は …… この構造を見るたびに、脳裏に恐怖がとりついて離れないのです。
このせいで明瞭かつ合理的に考えるのが難しくなっています。精神影響なのかも、認識災害なのかも、他の何かなのかもしれません。わかりません。しかし研究室のこれは …… 生命力が欠如しています。本能がこれから私を遠ざけています。
恐怖のあまり、この原子を死んでいるかのように感じてしまいました。感触のない空っぽの殻のような。もはや鉄や硫黄の原子ではなく、何かに殺され、操られているような。これらは私にとって死体なのです。未知の、無慈悲な力に縫い合わされた死体。
SCP-6217-B-2の構造は、数万の死体で構成されたフランケンシュタインの怪物です。彼らはエネルギーへの渇望のみに突き動かされているようであり、外界から貪欲にエネルギーを貪り食い、それを自らの歪んだ行動に利用して、その過程で他の物質をも同じ容赦ない運命へと堕としているのです。
アイテム番号

光学顕微鏡で観察した大きさ100~600 μmの集合したSCP-6217-B-3実体。
SCP-6217-B-3
説明
SCP-6217-B-3は、SCP-6217-B-2実例の自発的な集合によって形成された、様々な大きさの小気胞状構造の総称です。SCP-6217-3実体は通常、5 μmから10 cmの黒い円形の液滴として出現し、異なる機能を持つ様々なSCP-6217-B-2が連携して作用します。
SCP-6217-B-3実体は、自律的に行動する能力を持ち、自身の成長のために周辺環境から同様の構成の物質を摂取することが可能という点で、有機細胞に類似した挙動を示します。SCP-6217-B-3実体はしばしば、エネルギーを採取する複数のSCP-6217-B-2実例を内包しており、これによりSCP-6217-B-3は鉄や硫黄源からのエネルギーを動力として極めて効率的に利用することが可能です。(研究者注: 彼らは自らと地球を餌としています。ケイ土惑星では飢えが満たされることはないかもしれません。)
高濃度下では、SCP-6217-B-3は自発的に集合してネックレス状のSCP-6217-B-4構造や、より複雑なSCP-6217-B-4集合体を形成する傾向があります。
研究者注
彼らがペトリ皿の中で鞭毛を回し、互いを、手の届く限りの鉄分やミネラルを貪り合う様子を観察しています。しかし、彼らに意志なるものがないということはありません。
見たことのない光景です。まるで— まるで、思考しているようです。一緒に。そして話して。顕微鏡を通して下を覗くと、彼らがこちらを見上げているのがわかります。餌をくれと催促しています。何か。何でも。今日、そのビーカーに土と釘を一掴み入れてみたところ、一瞬動きが止まりました。それから狂暴なピラニアの群れのように両方を食い荒らし、その後1時間、沈黙だけが残りました。
新たな収容措置が必要かもしれません。
アイテム番号

3回対称の歯車状の外見を有するSCP-6217-B-4の例。
SCP-6217-B-4
説明
SCP-6217-B-4は、SCP-6217-B-3が自発的に凝集して形成された構造物であり、極めて複雑かつ多様な形状をしています。SCP-6217-B-4の最も一般的な構造は樹木型及びネックレス型実体であり、これらはSCP-6217-B-4の原型と考えられています。
複雑な形状を有するSCP-6217-B-4のほとんどは部分的に機械のような特徴を持ち、その構造は多くの場合、歯車、油圧ピストン、車軸、電気回路など、機械設計に形状と構造が類似した部品を含みます。
SCP-6217-B-4実体は多細胞生物と同様、内部構造に基づいて様々な種類に分類されます。SCP-6217-B-4実体は通常、自律的に変形・移動することができ、鉄や硫黄を基とした物質を含む実体や物体に対して攻撃的です。また、SCP-6217-B-4は通常の生物も攻撃し、結果的にSCP-6217-Aに感染させます。(研究者注: SCP-6217-B-4実体は人間の血に引きつけられるようであり、周辺環境に血が入り込むと狂乱に陥ります。これは人間のヘモグロビンに含まれる鉄分のせいと推測されていますが、まだ十分には試験されていません。)
特定の条件下では、異なるSCP-6217-B-4実体が更に融合し、より複雑なSCP-6217-B-4実体へと集合します。既知の最大のSCP-6217-B-4実体は、ニューストーニー湖の底で発見された巨大な網状構造物です。
SCP-6217-Aの生物への感染は、SCP-6217-B-4の増殖において重要な手段であると推測されています。また、SCP-6217-Bは宿主の有機組織の有機成分を酸化することで、成長と活動に必要なエネルギーを得ることも可能です。
SCP-6217-B-4サンプルは、生物と接触すると宿主の体内にSCP-6217-B-2実体を放出し、急速に感染させてSCP-6217-A-1実例へと変化させます。このSCP-6217-B-2実例に感染したSCP-6217-A-1は、より多くのSCP-6217-B-2を合成するために、大量の鉄と硫黄を求め、摂取します。新たに生成されたSCP-6217-B-2は結合してSCP-6217-B-3実例を形成し、これが更に凝集して新たな組織状のSCP-6217-B-4を形成し、宿主の元の体組織を置換します。
新たに生成されたSCP-6217-B-4は、宿主の元の臓器を置換することが可能で、多くの場合は元の生物学的臓器と異なる構造と動作機構を有し、臓器系ではなく様々な機械装置を模倣します。ある事例では、人間の心臓が機械式膜ポンプに、神経組織がワイヤー状システムに、脳が様々な付属品で組み立てられた電子コンピュータのマザーボードに原理的に類似したモジュール構造に置換されました。
SCP-6217-A-1実例がSCP-6217-B-4による感染の最終段階に入ると、対象はニューストーニー湖への進入を強制されます。湖水に到達すると、SCP-6217-B物質が湖に放出され、SCP-6217-B-4の増殖プロセスが完了します。この経路は現在、ニューストーニー湖におけるSCP-6217-Bの主な発生源の一つと推測されています。
研究者注
SCP-6217-Bは寄生蜂や寄生菌と類似点があるらしく、宿主の体内に卵や胞子を植えつけ、宿主を操って子孫にとっての栄養源と適切な環境を見つけ、最終的に宿主を殺して新たな個体を放出します。感染してしまえば、宿主は自由意志を失い、感染に完全に従順となります。それだというのに、[PoI-662164]は抵抗できたのです。全く意味がわかりません。
他のSCP-6217-B実体とは異なり、SCP-6217-B-4のサンプルを見てもただ虚しさしか感じられません。どれだけ餌を与えても、誰を何を与えても、魂のない機械のように振る舞い、ただ消費と感染に終始する。まるで彼らの行動の全てが、遥か昔に書かれた命令に従っているかのようです。繁殖しろ、攻撃しろ、湖へ帰れ、同胞と縁えにしを結べ。
彼らに操られた生き物たちは湖を我が家と見なし、次々と水の中へと沈んでいきます。湖の中の何かが彼らを呼んでいるのですが、残念ながらそれは怪物などではなく— そういう指示なのです。この実体たちの極小の機械構造の奥深くに埋め込まれた指示。彼ら自身の機械構造が湖へ戻るよう命じていて、それは彼らの一部であり、彼ら自身です。彼らは抵抗できません。抵抗しようともしません。そして、一度彼らになってしまえば、やはりあなたの一部ともなるのです。
しかし、何故?
アイテム番号
SCP-6217-B-5
説明
SCP-6217-B-5はSCP-6217-B物質の自己集合プロセスにより生成されると考えられる理論上の最終形態です。SCP-6217-B-5は、複数の人間のSCP-6217-A-1が夢に見たと説明する「湖の底の巨大な黒い実体」に関係していると疑われています。
SCP-6217-B-5の存在は未だ確認されていません。
研究者注
そんなことがあるのか?
関連要注意団体に関する文書
対象名
マイケル・クリステンセン PoI-678142
対象識別子
男性、43歳、病歴不明、血液型不明
対象経歴
初期の身体検査において、PoI-678142は発見時点で体組織のわずか0.6%のみがSCP-6217-Bに置換されており、病状の進行初期段階にあったことが判明した。経歴における背景調査により、PoI-678142はGoI-004A("壊れた神の教会")の元構成員であることが判明した。壊れた神の教会に関連する他のアノマリーとの類似性のため、PoI-678142はSCP-6217-AとSCP-6217-Bについて訊ねられた。
<記録開始>
チュガエフ博士
こんにちは、[PoI-678142]。ここでの新生活にも慣れていたら幸いです。いくつか情報をお伺いしたく —
PoI-678142
形式的なものは不要だ、看守よ。私も君と同じようにかつては学問の徒であった。是非質問して、我々の歴史を君たちの記録に広めてほしい。
チュガエフ博士
以前の調査で、あなたが壊れたる教会の構成員であったと判明しました。[地点-6217]で見つかった実体は教会の様式に顕著に類似していました。ちょうどそこに_あなたが_潜んでいたとなれば— 何が言いたいかはお判りでしょう。
PoI-678142
湖が壊れた神の教会と関係していることは認めるが、壊れたる教会とは関係ない。あくまでも_我々_で、私の師たちだ。
チュガエフ博士
失礼、どういうことですか? あなたは壊れたる教会の構成員ではないのですか?
PoI-678142
正直に言うと、私は何年も前に壊れたる教会を去った。壊れたる神への献身は変わらないが、神を蘇らす試みの失敗した様を目の当たりにしてから、古き教会への信仰は揺らぎ始めた。どうしてこれが起きたのか自分には理解できなかった。だが、我が師がやって来て、道を示してくれたのだ。
チュガエフ博士

工場の壁に見つかった紋章。ここで言及されている、存在を知られていなかった教会に関連していると考えられる。
師ですか。壊れた神の信者が他にもここにいると言うのですか?
PoI-678142
1年ほど前、彼らはこの町のどこからともなく現れ、湖の側に分派を立てた。そちらも知っているはずだ、そこに見える工場なのだから。彼らは近くに住んでいた私や他の教会構成員数名に近付き、助けはいるかと訊いてきた。
チュガエフ博士
もちろん工場については記録しています。湖の側の、非常に古びて荒廃した化学工場ですね。確認はしましたが—
PoI-678142
間違いも間違いだ、看守よ。この建物は普通の工場などではない。確かに最初はそうだったのだろうが、造られてよりほとんどの時間を、神を崇拝する場所として過ごしてきた。
チュガエフ博士
彼らはあなたに何と言ったのですか?
PoI-678142
彼らは毀壊の神について新たな信念を発展させており、実に刺激的だった。これまで我々は壊れたる神を機械の結合体と考えてきたが、どの試みも成功していないという問題のことを私は考えていた。
PoI-678142
1945年の惨事以来、彼らは壊れたる教会だけでなく、他のいくつかの分派からも去ったようだ。彼らは我々が …… 間違った道を選んだと言った。神の本質からますます遠ざかっているようだった。
チュガエフ博士
1945 — なるほど、私のクリアランスを超えているようですが、お気になさらず。それで、彼らはかつての三教会と異なる新たな教会だということですね。
PoI-678142
その通り。彼らは古き教会の見地を批判する。壊れたる教会と歯車仕掛正教は機械で神を蘇らさんとしているが、誰も機械とは何かなどと定義しようとした者はいない。Mekhaneは…… 形式的がすぎる理解だ。マクスウェリズムは …… 師によれば、WANは神の本質に最も近い形態だが、やはり一面にすぎず、神の核心に触れるには至っていない。
チュガエフ博士
では、神の核心とは何なのですか?
PoI-678142
より本質的なものだ。歯車、軌道、ベアリング、球といったものを機械的ということはできるが、この言葉の全ての意味を網羅してはいない。極小の原子分子から極大の惑星宇宙に至るまで、全て機械的に動く。毀壊の神はその全ての主であり、自然の意志だ。
チュガエフ博士
非常に新奇的な説ですね。壊れた神の教会の構成員がそのような話をされたのを聞くのは初めてなので興味深いですね。それで、あなたは彼らの信仰に賭けることにしたのですね。
PoI-678142
私としては …… そうなるな。だが彼らは我々を連れることなく去ってしまった。信仰は最終目標に達するために必要ないち形態に過ぎず …… いつか戻ってきて、我々と一つになると言っていた。
チュガエフ博士
去った? 一つになる? すみません、まだ追い付けていないのですが、詳しく説明していただけますか?
PoI-678142
やって来て以来、彼らは工場を利用して儀式に必要なあらゆる部品を製造した。だが追い払われ、全て湖に直接投げ込まれた。
チュガエフ博士
お待ちください。ではこの湖はその教会が汚染したのですか?
PoI-678142
君たちは汚染と言うが、彼らは壊れたる神の影響の拡散と言う。地と湖の鉄や硫黄は教会による顕在化を待っており、生命の増殖に必要なのはいくつかの儀式だけだった。
チュガエフ博士
あなたもこれに参加していると。
PoI-678142
正確には違う。だが知っていることとして、ある夜、儀式の最中に雲一つない空から雷が降り、湖の中心を打ったことだ。儀礼の書に記されている通り、雷は神の槌であり、この現象は、彼の意志であると信じている。ホロスフィールドが創られたのだ。
チュガエフ博士
ホロスフィールドとは何ですか?
PoI-678142
神の電磁場、あらゆる存在を世界に繋ぐ膠、壊れたるものの手の愛しき接触。彼は"ホロスフィールド"の力を通してこの世界に手を伸ばし、原子そのものを煉瓦や漆喰へと変える。
チュガエフ博士
つまりこのアノマリーは電磁場ということですか? これのせいで妙な病気が作られたと?
PoI-678142
順に、肯定、否定。壊れたる神の新たな命の形を生み出したのは電磁場だ。だが看守よ、君は理解していない。これは病気ではない。共生だよ。我々は一つだ、我と彼と。いつもと変わらない。
チュガエフ博士
では彼らは — いえ、あなた方がこうする目的は何ですか? ほとんどの方が消えてしまったようで-
PoI-678142
消えてなどいない。姿を変えただけだ。
チュガエフ博士
具体的にどのような姿に変わったのですか? 人はいなくなっています。身体は黒い液滴へと崩壊します。身体的に言えばこれは死んでいるとしかとても考えられないのですが。
PoI-678142
世界は君の信念やら疑念やらを考慮などはしない。我々は壊れたる神から真の啓示を受けた。壊れたる神を真に修復する方法はただ一つ、我々全員を神に統合することだ。我々は部品だ。あらゆる生命の肉体が新たな身体へと集まるとき、あらゆる魂が一つとなるとき、壊れたる神の神性が明らかとなる。一人一人が彼の神性を分かち、彼の一部となるのだ。
チュガエフ博士
つまりここで起きていることは、皆殺しにして粘質な黒い液体ロボットに変えることで、壊れたる神とやらをあなた方が創ろうとしているのだというのですか? そうなのですか?
PoI-678142
違う、看守よ。これをしているのは_我々_ではない。神自らのご意志だ。彼は自らの化身を構築し、我々を最終的なる合一へと導いておられる。破片は自ら集まっている。この湖は壊れたる神が御光の原初のスープとなるだろう。
チュガエフ博士
しかし何故あなたはそれほどに、他の何かではなくこれが壊れたる神であると確信しているのですか — そうですね、歯車仕掛正教も壊れたる神を模倣する怪物に遭遇していますし、今のところこの湖にあるのは黒いヘドロでしかありません。壊れたる神らしきものはないようですが。
PoI-678142
彼はこの世界に生まれておられないものの、信者の精神世界にて、一人一人の夢に姿をお見せくださり、手招いておられる。彼は霧の湖の只中に立ち、壊れたる神について少しでも知るものであれば、その姿を見て真の毀壊の神だと疑うことはあるまい。我々は皆、彼の恩寵と恩賜を賜っている。彼は我々が神となる道へと導いておられる。彼はこの世界に戻られ、そしてその時、我々は皆、彼の一部となるのだ。
チュガエフ博士
よく知っています。それらに感情などなく、何かによって糸に引かれる操り人形のようで、決まった指示を実行するのみです。それでもあなたはそのようになって、あなたの言う神に従うのですか? 古き教会の教えとは全く相容れません、これは …… 魂を閉じ込める行為です。
PoI-678142
生物は最初から自由などではない、看守よ。我々は皆、本能のために戦っている。君たちが自由意志だと思っているものは、利己的な遺伝子に刻み込まれた本能に過ぎない。真の自由を手にしたければ、我々に加わり、壊れたる神の一部となり、自然意志の一部となり、極大の星から極小の塵に至るまで世界全ての駆動に自らを奉ずるべきだ。
PoI-678142
このプロセスを止めることは不可能だ。毀壊の神の意志は風を、川を、物質の循環を、大気のうねりを通して世界中に広がる。星が輝くとき、彼は自らの星に降り立ち、全ては彼の神性を究極的な合一にて分かち合い、彼となり、神となる — (椅子が後ろに滑る音、PoI-678142が急に立ち上がる音)
チュガエフ博士
お座りください、ちょっと—
PoI-678142
これを覚えておけ、看守よ。個々人では、我々は壊れたままだ。団結すれば、我々も神となる。
<記録終了>
警告
監督評議会命令により、本文書の補遺VII及びVIIIは5/6217レベルクリアランス以上の職員に制限されています。
レベル5/6217資格情報のない当ファイルへのアクセスの試みは記録され、即時の懲戒処分の対象となります。
適切なクリアランスを有する場合は、以下をクリックして認証してください。
補遺VII
SCP-6217の詳細説明
以下の文書は、元主任研究員アレクサンダー・チュガエフ博士により書かれた、SCP-6217の詳細な説明です。関連する内容へのアクセスは5/6217資格情報を有する人物に制限されています。
アイテム番号
正の点電荷の場。SCP-6217も同様のパターンで機能する。
SCP-6217
説明
SCP-6217は壊れた神の教会の構成員から"ホロスフィールド"の名で知られる、原子・分子レベルで発生する異常な電磁場です。
SCP-6217は点電荷によって生成される電磁場の近傍に発生し、影響を受けた鉄原子核の本来の電場に自身を重ね合わせることが可能で、原子内部で自然に電子を結合する原子核の能力を変化させます。
SCP-6217の発生は鉄原子の電気陰性度と電子求引能を増大させ、鉄原子と硫黄原子との親和力、そしてFe-Fe及びFe-S化学結合の強度を高めます。またこの異常性の結果として、影響を受けた鉄原子間に新たに微弱な相互作用が発生します。
SCP-6217の異常性は、SCP-6217-B物質の構造と折り畳みを安定化させ、それにより鉄硫黄クラスタに基づく複雑な化学システム、更には原始的生命体の存在の基盤をもたらします。したがって、SCP-6217はSCP-6217-AとSCP-6217-Bの存在の基盤であると理論づけられています。
SCP-6217は鉄原子に対し伝染性を持ちます。影響を受けていない原子がSCP-6217の影響を受けた鉄原子から5オングストローム2以内に接近するとSCP-6217に同化され、異常な鉄原子へと変化する可能性があります。異常な鉄原子の拡散は、SCP-6217の影響範囲の拡大、ひいては地球全体がSCP-6217の影響下に入ることに繋がると予想されます。現時点では、このプロセスを阻止する有効な方法は未だ見つかっていません。
研究者注
昨夜、真夜中に目が覚めて、あるアイデアを思いつきました。鉄の原子構造に、原子核から外側に放射状に広がる正の電場を加えれば — つまり鉄の電気陰性度わずかに高めれば — SCP-6217の動きを停止できるかもしれません。
計算にいくつか修正を加えたところ、SCP-6217現象に関する実験結果とシミュレーションを一致させることができました。計算が正しければ、その構造にわずかな変化が生じただけでも、SCP-6217-B全体を維持する化学的基盤が完全に崩壊すると思われます。
壊れたる神であろうとなかろうと、何かが実際にこれらの原子を操ってこのように振る舞わせているのです。それはまさにこの大地から機械を造り、ほぼ機械的な構造によってこの宇宙にその設計を書き込んでいるのです。
補遺VIII

培養液内を移動する小型の棒状のSCP-6217-B-4実体。
SCP-6217の元主席研究員アレクサンダー・チュガエフ博士の個人日誌から回収されたファイル
10月レポートI
これを生き物と見做すのであれば、これは生存においてダーウィンの悪魔3に最も近い存在と言える。彼らはほぼあらゆるエネルギー源を利用する。豚肉を丸々一つ、数時間で二酸化炭素と水と窒素に変えることができる。
しかしこれがこちらに牙を剥くとなると実に問題だ。こんな感情を抱くべきでないとはわかっているのだが、恐ろしい。これは精神影響か、はたまたこれがただ物理特性を隠し通そうとしているのか。
10月レポートII
ひどいな。本当に成長するのを指をくわえて見ているしかないのか?
更新: 地点-6217直近の4つの町は、SCP-6217の影響を深刻に受けていると考えられます。これらの町に人間の生存者は確認されておらず、残存生物は全てSCP-6217-A-1に変化しました。
監督評議会は、地点-6217の範囲をこれらの町を含むよう拡大する提案を承認しました。即時発効されました。
11月レポート
シミュレートモデルは有望に見える。収集された値は全て予測の範囲内だった。
12月にはサイト-120から神経科学者が何人か、サイト-6217への最後の進入として加わり、異常物質の認識災害可能性に対処する。
これが最後だ。状況的にここに1年以上はいられまい。このろくでもない場所を生きて出られたら良いのだが。
12月レポート
奇妙な電場を止める方法はない。だがこんなところで諦めたくはない。
1月レポート
未だ突破口はない。ジョン4が計算を手伝おうとしてくれているが、理解できていないらしい。
だが構わない。全員が全員数学が得意というわけではない。代わりに、私は彼を医療棟に送り、被影響者の脳スキャンを実行させることにした。来週には開頭スキャンを開始する予定。結果が楽しみだ。
3月レポート
サイト-6217のスタッフが一人感染した。彼はSCP-6217関連物質と接触したことはなかった。
実に奇妙だ。心配なのは …… 異常な鉄原子を含むこの灰や塵がSCP-6217を拡散できるとすれば ……
これが例外的な事例であればいいが、不安が止められない。
5月レポートI
まただ、まただ、まただ。
更新: 地点-6217直近の3つの町は、SCP-6217の影響を深刻に受けていると考えられます。残存生物は全てSCP-6217-A-1に変化しました。感染の最終段階に到達した3名の人間のSCP-6217-A-1が確認されました。
監督評議会は、地点-6217の範囲をこれらの町を含むよう拡大する提案を承認しました。即時発効されました。地点-6217内の町の総数は10に増加しました。
更新: アメリカ化学会誌に出版された研究記事に、オハイオ州で回収された鉄鉱石サンプルの異常な化学的挙動が報告されていました。記事はデータの不正使用というカバーストーリーの下で撤回されました。記事著者の1名がSCP-6217-Aと診断されました。
鉱物サンプルとその発見場所に関する調査が近日中に実施予定です。
5月レポートII
多数の職員が、周囲に巨大な歯車の付いた奇妙な黒い怪物の夢を見ていると報告してくる。幸いにも、彼らがSCP-6217に感染しているという証拠はない。
もう少しだけ時間が欲しい。あと数週間で十分だ。どうか。
6月レポート
時間がない。
更新: フランスにおいて、典型的なSCP-6217-Aの症状を伴う"奇妙な病気"が発生したと、フランスのメディアがウェブサイトで報じました。
関連情報は削除されました。情報漏洩の可能性を排除するため、記憶処理手順が実施されました。
7月レポート
何年も記録はしてきたが、一週間前遂に自分の目でそれを見た。黒い影だった。巨大なブラックホールのように、あらゆる生命の魂と意志を飽き足りることなく吸い込んでいた。その裏にいる者が、目的もない機械の黒い操り人形を動かしているのが見えた。
昨日、実験中に誤って手を切ってしまった。痛みも出血もなかった。はっきり見えたが、皮膚の下にあったのは血管ではなく …… ワイヤーだった。引き出しから包帯を取り出そうとしたのだが手に取った瞬間、傷はまた出血し始めた。今日になってみると、傷は最初からなかったかのように消えていた。
幻覚を見ているのだろうか? もう4日も眠らずに働き続けだ。眠たいとすら思えない。そろそろ休んだ方がいいか。
9月レポートI
もう逃げ場はない。
更新: 地点-6217直近の更に7つの町は、SCP-6217の影響を深刻に受けていると考えられます。残存生物は全てSCP-6217-A-1に変化しました。人間の生存者は確認されませんでした。
監督評議会は、地点-6217の範囲をこれらの町を含むよう拡大する提案を承認しました。即時発効されました。地点-6217内の町の総数は17に増加しました。
更新: 地点-6217やSCP-6217-A-1の既知の事例とは無関係の、人間のSCP-6217-A-1の独立事例が1,721件、非人間のSCP-6217-A-1の独立事例が186,830件世界中で確認されています。
9月レポートII
財団との連絡は全て失われた。更新はもう来ない。孤立してしまった。救難信号を活性化させた。役に立つといいが。
スタッフの5分の4以上がSCP-6217-Aと診断された。ジョンもそうだし、私も同じく。この呪われた場所を出ることはもうほぼ不可能だ …… 多分ここで死ぬ羽目になるんだろうな。脳に霧がかかっているのを感じる。何かに一挙一動を操られているようだ。
ジョンは昨日黒い影を見たと報告して、心理学者に相談したいと言ってきた。私は7月から夢を見ているから全く大丈夫だと安心させるふりをしたが …… まあ。2人とも、これが何を意味するかはわかっている。
奇妙にも、それほど動揺はしていない。動揺するなと言われているように …… 何だ…… 今や選択肢はない。私はここにいて、研究する。
10月レポートI
今週、生きていた最後のスタッフが餓死した。はっきり言えば、食べ物が尽きていたことにすら気付いていなかった。実は、ここ数ヶ月自分のオフィスから出ていない。何か食べるものが必要なんだとは思う …… が、居室の鋼鉄はほぼ全部なくなってしまった。
過去数日間、自分が何をしていたのか全くわからない。記憶も感情もなく、自動的に動いていたように。
ロボットになりかけているのか? 皮膚の下にあるものと同じように。
ジョンも感染にすっかり屈してしまった。ここ数日、壊れたレコードのように無意味な言葉を繰り返している。声はひび割れてガラガラとして、乾いた息を漏らす。家族について訊いてみたが、理解できる答えは何一つ返ってこなかった。恐らく私もこうなるのだろう。
こうなりたくない。
日付のないレポート
今日は何日だ? 1ヶ月間も記憶なくここに座っていた気がする。1時間も机の上の写真を見つめて、これが誰か思い出そうとしていた。クソ、自分の家族じゃないか。何でこれを忘れていた?
ここ数日何をしていた?
私は誰だ?
私はロボットか? 私は人間か — いや、私はまだ人間だ。ほら、まだ考えてる、記憶してる、感情を感じてる。
私はアレクサンダー・チュガエフ。サイト-120の主任研究員。
私はアレクサンダー・チュガエフ。
日付のないレポート
黒い …… 影の夢を、見続けてる。数ヶ月。神が何か言っている気がするが、はっきりとは聞こえない。
逃げないと - 逃げたいができない。一歩進むたびに、自由意志を失っていくのを感じる。
ロボットになってもそんなに変わらない違う …… あり得ない。私はまだ人間で、自分の人生を変える権利があって、誰かに操られる歯車や車輪じゃあないだろ。
日付のないレポート
私はアレクサンダー・チュガエフ。私のしたことは私の選択。私は機械じゃない。私は生きている。機械じゃない。
計算がようやく意味をなした。神が説明してくれた。間違っていたのは計算や原子の方ではなく、世界の残りの部分だ。自然は宇宙のコードを引き裂き、意図なく継ぎ接ぎに組み立てる。計算が意味をなさないのは私が意味をなさないからだ。意味をなさなかったない。私は人間だ。だって私には自由意志がある ない ある。全て私の決断だ。今は理解している。
日付のないレポート
黒い影が呼んでいる。湖岸の工場へ来いと言っている。反吐が出るような工場だ。
行かないとならない。何故か、何をか、何時か訊かないと。
私がまだ人間だと見せてやらないと。私はロボットにはならない。
以下の内容は、アレクサンダー・チュガエフ博士のオフィスに残されていた携帯録音装置から回収されました。対話者の声は電子合成音声に似て、抑揚が欠如しており、声の特徴を特定することは困難です。ログで言及されている、これまで知られていなかった壊れたる神の教会の分派、GoI-004D("ホリスティックの聖域")に関する更なる情報は現在も調査中です。
チュガエフ博士
お前は誰だ?
[不明]
壊れたる神を召喚した者だ。
チュガエフ博士
壊れた神の教会の第四の教会の者だな。
[不明]
そう。我々はホリスティックの聖域だ。
チュガエフ博士
何故こんなことをしてる? 何故黒いヘドロで人を殺してる? 何故壊れたる神とやらを召喚してる? どれ一つ正しいとは思えない。
[不明]
数十年前、我々は古き教会を去った。彼らは神を復活させんとしているが、様々な形で神そのものに縛られている。もう一歩み出せば神の本質 — 結合、規律、顕現を見出せるというのに。
チュガエフ博士
それが湖の影と – 湖にあるものとどう関係してる?
[不明]
神の化身だ。MekhaneやWANといったものは確かに壊れたる神ではあるが、それはその一面に過ぎない。だが、神はこの身体を必要として世界に戻ってくる。湖で起こる全ては、生命の進化の再現であり、壊れたる神の自己集合であり、進化の極致 — 神が体現する究極的な繋がりに到達する助けとなる。
[不明]
今はまだ小さい。世界の他の全てのようにバラバラの破片に過ぎず、未だ最後の結合には至っていない。だが彼らはメッセンジャーだ。彼らは世界中の全ての魂を、結合への道へと導くのだ。
[不明]
ではここで問おう – 君は何を待っている?
チュガエフ博士
どういうことだ?
[不明]
何故君は今なおこの大いなる役目への参加を躊躇っている?
チュガエフ博士
私が人間であって、ロボットじゃないからだ。たとえ …… 身体がこんな風になろうとも、少なくとも …… 生きている限り、感覚がある限り、考えられる限り、次に何をするか決められる限り — 自由意志がある限り。
[不明]
自由意志ね — あぁ …… なるほど、そういうことか。まだ自分に自由意志があると信じているのか。面白い。
チュガエフ博士
当然だ。私を人間として定義できる最後の要素だ。肉体の方は徐々に機械になっているが。自由意志があるから、私は今も自分が人間だと信じている。
[不明]
つまり、自分は機械ではないと? 自由意志などは幻想だ。君の意識は物質の上に築かれている。意識とは、ニューロン、ナトリウムとカリウムのイオンチャネル、シナプス受容体、神経伝達物質などの電気的及び化学的シグナルであって、これは全て精巧な分子機械に過ぎない。感情は論理回路と電気信号で構築され、記憶は移植可能だ。私よりもずっと良く知っているだろう、看守よ。
チュガエフ博士
違う、機械は仕様に従って動くだけだ。命とは違う。機械は主体にはならない。あくまでも客体だ。自分が失っているものも、人間とロボットの違いもはっきりとわかる。お前たちの — あるいは他の何かの — 指図は必要ない。私は自分の人間性を守るために全力を尽くす。魂はまだ私を支えている。
[不明]
命? 生物もまた分子機械部品の組み合わせだ。生命の形成と進化を導いたのは壊れたる神であり、進化のあらゆる段階の背後にその御姿を見ることができる。生物が誕生した瞬間以来、機械と機械法則は全ての生物を支配している。
チュガエフ博士
機械的決定論について話したいのか? すまないがその馬鹿な説には賛同できない。量子力学はとうの昔からランダム性を証明しているし、私にある全てが最初から機械のように形作られていたとは思えない。
[不明]
では自分がランダム性に操られているとは同意するのか? 波動関数の崩壊、それが君の言う"人間性"か? 結局やはり君もランダム性とやらに支配されているのでは? これが_自由_か?
チュガエフ博士
何 …… ? いや、私は自分で決めているのであって、決して …… (沈黙)
[不明]
ランダムな事象は統計の法則に従い、この統計の結果が我々の住むマクロな世界であるということを忘れるな。この世界もやはり因果律という名の機械法則に支配されている。君が自由意志について思考しているというその事実さえ、因果律の機械法則の産物だ。君の誕生から、自由意志について思考していることも、全てが宇宙が誕生した瞬間に決められたものだ。
チュガエフ博士
(震える声で) こんな …… こんなのは嘘だ …… 間違いなく何か崩せるものが ……
[不明]
君は今なお真実から逃げようとしている。正しいと知っているのに。実によく知っている。海という原子のスープから今日に至るまで、生命の進化は全てこうだと。自己複製、ATP生成酵素、鞭毛、モータータンパク質。分子の機械的な動きが機械構造を生み出し、機械構造が生命を生み出す。システムの複雑さは多数の機械の精緻なる協同に依存し、そこから新たな特性が現れる。
チュガエフ博士
じゃあ …… それなら …… 命自体も機械だと?
[不明]
全ては機械だ。宇宙そのものが見事なまでに機能する機械の集合だ。これが壊れたる神の真実だ。それは自然秩序の意志だ。神が全ての生命の設計者だ。神は自らが思い描いた通りの生命の発展を許し、生命は神が既に定められたプログラムに従って稼働する。
[不明]
進化のプロセスは顕現のプロセスだ。顕現のプロセスは機械的組み立てのプロセスであり、それはまた機械化のプロセスであり、それは -
チュガエフ博士
…… つまり、壊れたる神の自らの再構築のプロセスだと?
[不明]
君自ら知ることになる。
以下は、アレクサンダー・チュガエフ博士の黒板に判読不能な数式と共に書かれていた文です。
私たちは失われた部品だ。神の修復に戻ろう。
アレクサンダー・チュガエフ博士は2020/12/10に失踪し、所在は不明です。現時点で、アレクサンダー・チュガエフ博士は死亡したと考えられています。
警告: 不正なページ改竄が検知されました。緊急保護手順が開始されました。ログアウトしています……
壊れたる神は待っている。