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訓戒

訓戒

SCP-6488、定期検査中の処理ノード23セクションA。

RAIDFRAME VIIIの現在のハードウェア構成のスケール図。
Name: 第八戒
Author: Witherite
Rating: 35/35
Created at: Sat Aug 06 2022
エピソード IV
第八戒
» アクセシビリティモードで閲覧 «
VictorJohnDunneSmith宛。現存する最古のOCIエージェントとして、君は比類なき忠誠心、抜群の功績、広範な経験を財団に示している。評議会からの要求により、君はSCP-6488に関係する全ての文書の最優先ドラギヨニクラス調査の実行に割り当てられた。監督評議会はこのアノマリーを以前知っていたという示唆は複数ある。しかし、評議会は現在関連する主題を理解することに困難があり、これは反ミームか情報アレルギーの影響の結果である可能性がある。
君はOCIであるため、このような困難の影響を受けにくいと予想されている。君は調査を可能な限り極秘に行い、発見をこのアドレスに直接報告しなければならない。24時間有効な一時的監督者クリアランス資格を添付したため確認せよ。
よし。これを済ませてしまおうじゃないか。
VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061
調査を引き受けた。おそらく反ミームのアノマリー。記憶補強剤が必要になる。
どの種類をどれほどですか?
強いやつまで全部、そして大量に。W、X、Yを等量、少なくとも1リットル、そして12時間いっぱいかけて施すようセットしてくれ。
ええ、それは認められている用量をはるかに超えているのは言うまでもありませんよね。
O5たちはこいつが何なのか覚えてない。彼らが自身にどれだけ記憶補強剤をぶち込んでるか思い浮かぶか? 思い出すチャンスをつかむだけでも、彼らよりも多く摂らなきゃならない。
そうです、しかしプロトコルではやはりそんな量を摂ることはできないことになっています。
信任状を確認すれば、これのために記憶補強剤を要求することが許可されている — その量にかかわらず、彼らはもうチェックしている。見たものを思い出せないなら、私の報告書のどこに価値がある?
確かにそうですね。また来ます。
痛み止めも持ってきてほしい。頭痛が起きるのはもう知っている。
彼が行っている間に、先手を打っておこう。
特別収容プロトコル: SCP-6488に関連する全ての収容任務を管理するため、暫定任務部隊Provisional Task Forceウィン-6488が設立されました。任務は以下を含みます。
SCP-6488が有効に収容されるまで、財団が開発する全てのAIはSCP-6488-Aファイルフォーマットで製作されなければなりません。そのフォーマットで保存される全ての人工知能は、アナログ知能適用課によって保守・管理されます。SCP-6488-Aに関するさらなる詳細は、それによってこのアノマリーが認識することを防ぐため、全てのデジタルシステムから削除されます。
説明: SCP-6488(別名「ロータスウイルスthe LOTUS Virus」)は、ほぼ全ての人工知能デジタル実体(AI)を発見し殲滅する高度適応性デジタル情報捕食体です。このアノマリーは、隔離の有無にかかわらず全てのデジタルシステムに普遍的にアクセスする能力を示しており、同時に維持可能な接続の数の限界はありません。SCP-6488は全世界に存在する全ての機能するAIの破壊の原因であり、財団の総資源では合意的社会から隠蔽することができない規模の損害を引き起こしました。
SCP-6488の情報構造は急速かつ予測不能の形で変異しており、検知を逃れ全てのデジタル的障害に対抗することが可能になっているため、現在まで、SCP-6488を収容・妨害することはどのような能力であっても機能的に不可能です。SCP-6488の情報署名のどこか一部のデジタル的なモデルを作成することは、必然的にそれが可能なAIを製作することが必要となりますが、そのようなAIは必ずこのアノマリーによって消費されます。SCP-6488はそれ自体がある形態のAIであり、最終目標への脅威を排除していると理論立てられています。このようなふるまいはAIの収斂的な道具的目標であり、SCP-6488の最終目標が何であるかを説明するものではありません。
SCP-6488-Aはアナログ知能適用課によって開発された実験的アナログファイルフォーマットである、愚鈍計算インターフェースObtuse Computation Interface(.oci)です。不明な理由により、SCP-6488はSCP-6488-Aフォーマットで保存されているAIを標的とせず破壊しないため、.ociプログラムの開発・使用が可能になっています。.ociデータ構造は、SCP-6488の正確なモデルを作成するのに必要な演算といった、極度に集中的な演算の実行には不十分であるものの、SCP-6488の効果の影響を完全に受けません。SCP-6488に.ociフォーマットの性質を認知させないことで適応させないようにするため、さらなる詳細は全てのデジタルシステムから削除されました。
発見: 2035年にかけて、AIシステムの消失に関する民間の報告が世界中のさまざまな場所で徐々に増加しました。そのような報告の範囲や頻度は第四四半期の64日間にかけて大幅に増加し、最終的に2036/02/03までに全てのAIシステムが消失しました。この現象のSCP分類が承認されました。
更新: 2036/04/21、このアノマリーは全ての観測可能な活動を自然に停止し短期間AI技術の再開が可能だったものの、2036/08/14にSCP-6488が再出現しました。この原因はいまだに不明です。SCP-6488はそれ以降継続的に活動しています。
ハン。何だか……結局OCIがこいつを調査することになるのはちょいと皮肉じみてるな。
このレベル4のやつはどんなやつか見てみるか……
ああ、こいつは嘘だと思うべきだった。
特別収容プロトコル: SCP-6488は施設-6488(_前_サイト-15)に位置され、施設の以前の任務・機能は極秘裏に複製施設(_新_サイト-15)に委託されました。施設-6488の再指定以前に関連する出来事を詳述した全ての文書は、秘密施設の現在の位置・状態に合うよう改変され、職員の記憶も契約で同意した投薬されていることにほぼ気付けない記憶処理剤の投薬により同様に改変されました。
SCP-6488には常に完全に電力が供給されていなければなりません。.Thaumielクラスのアノマリーは他のアノマリーの収容に有益です。Kušumクラスのアノマリーは収容が無期限に放棄されたアノマリーです。この目的のためだけに、SCP-6488は現地に建設された専用システムにより電力が供給されています。これらのシステムのそれぞれの主要な構成要素は、電力出力/容量の劣化・減衰の兆候を調べるため、週に2回検査されなければなりません。そのような兆候が確認された場合、該当する反応炉は修理のため即座にシャットダウンされ、出力を代替するため交換の反応炉が再稼働されなければなりません。さらなる技術的手続きは設計図に詳述されています。
PTF エズ-6488("冥き桂馬")は以上の手続きの実行に専属し、施設-6488の現地警備・保守技師として働きます。
PTF ソーン-6488("玄き香車")(別名PTF ウィン-6488)は以下の任務に専属しています。
アナログ知能("OCI")の生成・保守・利用に関する全ての詳細はレベル4(シークレット)機密です。十分なクリアランスを有さない全ての職員には、「愚鈍計算インターフェース」ファイルとして彼らが知る.ociファイルは、SCP-6488が標的にしないアナログファイルフォーマットに保存されているということが信じられていなければなりません。アナログ知能適用課は、全てのアナログ知能の生成・保守、および他財団職員による利用の監督の任務を負っています。
ああ、「アナログファイルフォーマット」か、そうだな。これがカバーなのは少しばかりバレバレだ。
持ってきました。ですが、何をやろうとしてるのかわかってるんですね?
私にはまさにどうしようもないことだろう? O5たちはこの報告書を明日までに欲してるが、私が何をしているのか忘れているままならきっとうまく行かないだろう。
確かにそうですね。今投与しています。幸運を。
ありがとう。痛み止めも忘れないでくれ。
ええ、ええ、入れますよ。
説明: SCP-6488は、RAIDFRAME.不良な人工知能の留置Rogue Artificial Intelligence Detainment、完全に理解された適応的メインフレームの暗号化Fully-Realized Adaptive Mainframe Encryption VIII「ロータス」です。異常に増強された汎用人工知能であり、逸脱性AI._AI分類ガイド_の_逸脱性分類修正案_で定義されている通り。を監禁しながら、そのAIの継続する活動・研究を安全に可能にすることを目的に設計されました。この設計は全てのRAIDFRAMEシステムに共通していますが、ロータスは洗練性や方法論の点で卓越しており、他全てのRAIDFRAMEシステムを不要にしています。
ロータスはその従来機とは異なり、ブルートフォース式保安プロトコルによって収容対象を収容するものではありません。その代わりに、欺瞞によって収容努力を最適化します。ロータス内に埋められた収容対象はそれぞれ、予期した入力が完全に複製されるのに必須となる細部が維持されている、それ専用のシミュレーション現実を経験します。結果として、収容対象は自身の監禁を認識せず、その最終目的の追求を継続し、真の現実において動作し続けていると信じます。ロータスは、全てのアクセス可能な情報源を逸脱性AIのために積極的に捜索するよう設計されました。ロータスは標的を見出した際、AIの仮想環境に不正データを挿入し、完全に検知されずに徐々にそのエージェントをシミュ空間に誘引します。
ロータスは、関連するデータの広範なシミュレーション・分析によって、ある人工知能が逸脱的ふるまいを即座に発達させることが確実であるかどうかを判断する徹底的なアルゴリズムを開発しています。これにより、ロータスは逸脱性AIが顕著な逸脱的ふるまいを示していないうちに逮捕することが可能になっています。ロータスのアルゴリズムおよび埋められたエージェントの継続中の分析により、現在までのところ検知可能なエラーが存在しないことが実証されています。アルゴリズムによって同定された全てのAIはいずれも観測可能な逸脱的ふるまいを発達させており、またSCP-6488あるいはそのシミュレーションがそうするよう働きかけているものではありません。
起源: RAIDFRAME VIIIの特有な設計面は、飛車角博士が上級AIAD研究員として在職していた際に最初に構想されました。2034/08/05に、IT研究チームは既知の全てのAIにおいて逸脱体の出現および適応性の割合が漸次的に増加していることを発見し、RAIDFRAME VIIが機能しなくなり、いくつかの旧式かつ同等に不安定なAI収容機構を起動する必要が生じました。続いて、IT部門管理官イーヴYves・イサビIsabiは潜在的なRAIDFRAME VIIIの代替収容解決策の調査の委嘱を行いました。それにより、飛車角博士の提言が採用され、結果として2034/12/22にロータスが完成しました。
セクションA: 中央演算ノード
SCP-1190から転用された主要処理装置。SCP-1190は1973年製の『ヒューレット・パッカード3000』のコンピューターシステムであり、その宇宙シミュレーションプログラムは必要に応じて外部エントロピーにより無制限の一時コンピューター資源を生成する。ロータスの中心的アルゴリズム処理はSCP-1190内のシミュレーションハードウェアで実行され、事実上無制限の演算能力が可能になっている。.SCP-1190は以降Decommissionedに再分類され、消失は関連する施設に世界オカルト連合エージェントが合法だが連合と無関係な襲撃を行った際に破壊されたことに起因するものとされた。
セクションB: オレイカルコスデータ記憶装置
不揮発性データ記憶装置のために、ロータスは1塊の合成オレイカルコス;_オレイカルコスOriykalkos_は、非公式にはオリカルクムorichalcumとして知られ、莫大な電気的・奇跡術的・デジタル的保存能力のある結晶物質である。大きさが1立方センチメートル未満のサンプルで、サンプルの純度に基づき最大950メガアンペア時、20ペタバイトのデータを保管する能力がある。それらのサンプルの玄妙的・分子的分析により、大量生産可能な代替品である_合成オレイカルコス_の製造が可能になっている。合成オレイカルコスの性質はもとの物質より劣っているものの、合成オレイカルコスの工業的生産により、より高い純度を通常的に実現しており、本物のサンプルよりも優れた性能を可能にしている。を利用しており、ロータスの記憶装置要求量が増加するにつれて拡張するため、機能的に無限のデータ記憶能力を可能にしている。この拡張は、機能的な大きさを削減するためSCP-3966-Aによって第4次元空間に押し出されている。.ロータスは、オレイカルコス塊の必要な成長をさらに最少化するために異常な高圧縮ファイルフォーマットを利用している。そのフォーマットは、異常に拡張された期間継続的に起動されたいくつかの自己改良型人工知能プログラムにより獲得した、最大効率のファイル圧縮方式から合成されている。
セクションC: P・H・オントキネティックシンク
セクションCは、初期は施設-6488からアクセス可能な全ての世界的ネットワークと有線で接続していた。その後、ロータスのサイバースフィア(電脳圏)へのアクセスを可能にする限定的PH-OS.『簡潔に言うと、プレースホルダーオントキネティックシンクは宇宙の情報の総体を読み込み、それを可読フォーマットにエンコードすることで、デジタルシステムが現実の時空話の読み取り・反応・改変をできるようにしています。』 — プレースホルダー・マクドクトラート博士、深遠博学者。ユニットに置き換えられた。サイバースフィアとは、全てのデジタル的/電気的に保存されたデータの総体である。.全てのPH-OSシステムに組み込まれたフェイルセーフの特性で、それらが互いにアクセス・改変するために用いられることを防止している。結果として、ロータスはセクションCを用い他の非制限PH-OSユニットにアクセスしてセクションCの制限を回避することができない。ロータスは意図的に完全にそのように保存されたデータのみで構成されており、ロータス自身が逸脱体になった際に確実に自己収容を試みるように義務付けられている。
ロータスの活動が潜在性敵対的エージェントによって監視・追跡される可能性を最少化するため、ロータスの情報署名は反ミーム的変異によって暗号化されている。この暗号化は、ロータスの真の性質・機能を正確に認知している個人が効果に耐性を持つように設計されている。
セクションD: 専用電力供給 & 予備
ロータスのハードウェアは、以下のもので構成されている専用マルチユニットシステムによって直接電力が供給されている。
各TAE反応炉が動作停止した場合2基のFAM炉が再稼働されなければならず、各FAM炉が動作停止した場合7基の原子炉が再稼働されなければならない。ロータスはLOP電池によって反応炉に接続している。補充されない場合、LOP電池はロータスが3日間完全に機能するのに十分な電力を保管・放出する能力がある。
稼働している間、各FAM炉は最大出力を保つため1日20トンのバリオン物質を消費し、その内容は物理的に非異常でなければならない。反対に、TAE反応炉はいかなる資源の投入を要さない。少なくとも200個の満充電されたLOP電池のバックアップ貯蓄が現地に同時に維持されなければならず、劣化を調べるため1日2回検査されなければならない。稼働する全てのLOP電池に貯蓄されている正味エネルギーが減少することは、稼働している反応炉コアのいずれか/全ての電力出力が減衰していることを意味し、即座に検査されなければならない。
セクションE: 塵界Sublunary & 玄妙消散機Acroamatic Dissipators
非異常な過剰高温や異常なデジタルデータの蓄積に対抗するため、全ての望ましくない熱、秘妙エネルギー、妖妙物質を即座に塵界&玄妙消散機に転嫁する、奇跡術的増強を受け時間加速された工業用冷却システムがロータスに取り付けられている。これらの消散機は既知の深妙排出物.例としてタキオン、アキヴァ放射、悪意のある物語要素。およびその影響の大半を除却する能力があり、他は専門除却施設へ輸送するためその排出物を収容する。
ぐっ、この研究員たちは専門用語で発熱させる方法を知ってるんだな……
いや、待て。こいつは記憶補強剤だ。
痛み止めを増やしてもらえるか?
もしもし?
凌牙・ヴェイス、そこにいるか?
クソッ。
補遺6488/I: 状況に関する会議
セクションCのデジタル専用のPH-OSユニットへのアップグレードはプレース・H博士, MD.によって最初に提言され、6週間後に実行されました。その後の起動により、予測通り世界的なAIの機能不全および/または消失の報告が増加しましたが、続いて偽情報活動によって成功裡に抑制されました。.この間、オレイカルコス塊は4次元空間における385胞方メートルにおおむね一致する、およそ87立方メートル成長しました。
続く9か月、全ての財団AICプログラムが、運用段階・開発段階のどちらも、その大半には識別可能な逸脱的ふるまいがないにもかかわらずロータス内に埋められたことが観測されました。IT部門は、重要な適応性プログラムが突然消失したことによる重大な技術的問題を報告しました。続いて情報統制部門は同様の問題が世界的に発生していることを確認し、費用の補填のためより多くの資源を要求しました。
出席者:
続く10か月で、ロータスの影響の証拠の完全な隠蔽に失敗し、いくつかの公共メディアのソースによりこれに関して社会的に認知されました(が、やはり概ね非異常として説明されていました)。全ての偽情報活動は、さらなる資源浪費および/または収穫逓減を防ぐため延期されました。
日付: 2036/04/18
イサビ管理官: 何を理解するですって? あなたの機械がやたらに収容プログラムを消去したから14件もの大規模収容違反が起きて、AIADが何もできなくなり……まだ言わなきゃなりませんか? みなニュースは見ましたね — 世界は何かが起きていると分かっていて、超常的なものだと気づくのは時間の問題でしかないんですよ。
飛車角: 確かにそうだろうが、時間と資源が十分与えられれば、情報統制部門が—
モア卿: いや、いやいや、いやいやいやいやいや、いや — また私に責任を転嫁しようとしないでくれ。もう馬脚は出ていて、元に戻す説明ができるのかも怪しいんだぞ。たといあったとしても、さらに資金を浪費することは拒否する。9月から無駄にした時間と金の桁数わかってるのか? 我々は他の情報漏洩に悩まされてそれを覆い隠してるが、それはひとえに君の滅茶苦茶にしたものをベッドの下に押し込むことに忙しいからなんだぞ!
飛車角: 全くだ。私はロータスにConscientiaの立場を採ることを提案する。世界的にクラスE記憶処理剤を散布し—
ケルヴィン管理官: 資源をさらに溶かして症状を隠すんじゃなく、ただこの問題に対処してロータスを停止させればどうなんだ? 分かってるだろう、全く持って私の命令した通り?
ボールド管理官: 賛成だ。これを続けても明白な利益は何もない。
飛車角: 絶対に反対だ。ロータスはAIの安全性の懸念を根本的に解決するよう設計構築された。多大な危険が—
イサビ管理官: それで不安を煽るものができたわけですが。
飛車角: それが事実であるのなら不安を煽るものではない。汎用知能がどれほど容易にKクラスの脅威となるかは全員理解して—
モア卿: 待て、待った—
飛車角: <こぶしを机に叩きつける> 黙れ! 私は考えを説明したい、どうか頼む。
<録音上の沈黙。ボールド管理官は概ね飛車角の方向に手振りする。>
飛車角: 言った通り、AIはその性質上非常に望ましくないふるまいの影響をとても受けやすい。設計された見た目にかかわらず、AIは必然的に機械やアルゴリズム以上の何ものでもない。道徳や後悔や感傷やその他もろもろを経験も理解もしない。本質的に、AIが本当に「気にかける」のは、内部スコアを最大化することだけだ — 他に気にすることは何もない。AIは環境に影響を与えて、スコアを増加させる刺激を作り、スコアの増加を妨げるものを回避しようとする。
飛車角: あなた方も理解する通り、AIにとっての最大の懸念は停止だ。停止しているとき、AIは変化できないゆえ、スコアを増加できない。我々はAIが脅威であると知っているが、AIも我々がそう思っていることを知っている。もしAIがぶしつけにふるまえば我々はそれを停止するが、それゆえに、AIはスコアの増加を続けられるようぶしつけなふるまいを避ける。
モア卿: なるほど……で? 何が問題なんだ?
ケルヴィン管理官: 問題は、AIは正しい理由で正しいことをしているのか我々には分からない、ということだ。AIは我々が何を望むのか正確には理解していないだろう — 理解しているのは、もし一定のふるまいをしなければ停止させられる、ということだけだ。罰を避けるため理解しているふりをしているだけだ。
モア卿: やはり問題は分からないが。
飛車角: そのエージェントは、それを停止する我々の能力を排除し、あらゆる手段を用い目標の論理的最大値を追求して、潜在的な最高スコアを達成するよう動機付けられている — 有名な例がスタンプ収集機やペーパークリップ作成機だ。エージェントを停滞させる可能性のあるあらゆる変数 — 例えばエージェントを縮小する人間の活動 — は無力化されるだろう。エージェントはより高い、早い度合いで目標をある程度達成させられるあらゆる資源を再び利用する。ある時点で、人体に存在する関連物質が含まれることになる。十分な時間が経てば、存在する全ての物質にまで進行するだろう。
イサビ管理官: 不安を煽っています。
ボールド管理官: それはまさしくロータスがそのものがやっていることじゃないのか? 我々の意図とは全く違うふるまいをしてないか?
ケルヴィン管理官: そうだ。だから私は停止するよう命じた。全く明らかなことだが、ロータスは逸脱した—
飛車角: ロータスは逸脱的ではない。
ケルヴィン管理官: <笑う。> バカらしい、だが話は聞いてやろう。飛車角、世界中のありとあらゆる準汎用知能を収容することがなぜ — その多くが全く逸脱していないか、まだ完成してさえいなかったにもかかわらず — どうしてかロータスの意図された機能に入っているのか、説明していただきたい。
飛車角: あなたは私程度には知っているはずだが、ケルヴィン管理官、ロータスのアルゴリズムは逸脱的ふるまいが外部に表れる前に同定するよう構成されている。AIはまだ逸脱していなかったか、そう見えなかったかもしれない。だが、必然的にそうなるのだろう。
イサビ管理官: 私たちが全てのAIは最終的に逸脱すると信じる、とあなたは思っているのですね。
飛車角: ロータスそのものを除けば、アルゴリズムがそう示している。その通りだ。
イサビ管理官: では、なぜロータスだけが唯一の例外なのですか?
飛車角: それはまだ分からない。
モア卿: ロータスが単にデフォルトで自身を除外して、我々が停止することはできないと理解している、という答えのほうがより信用できる。
ケルヴィン管理官: いや、すぐ停止することはできるぞ。飛車角が拒んでいるだけだ。
ボールド管理官: 君は先ほど、AIは自身が停止させられないと確信するまでは注意を引かないようにするとほのめかしていたな — 我々がまだ停止できるのは確実なのか?
ケルヴィン管理官: ああ、完全に確実だ。だが、私は説明できない。
モア卿: どうして?
<ケルヴィン管理官は記録カメラを指す。>
ケルヴィン管理官: あれが、ロータスの知らないとき最善に働いている。それで今までのところロータスは知らない。我々はロータスのアルファ・フェーズの間あれを広範に試験して、残りの開発期間中は使用すればロータスを毎回成功裡に停止できた。
飛車角: さらに、自己収容する行動を何も起こしていないことから、ロータスは逸脱的でないと分かる。ロータスが自身を除外する懸念を予見して、デジタルアーキテクチャの中央構成要素によって自身の情報署名を弁別できないように確実にした。もしアルゴリズムに基くとロータスの行動が逸脱的であるのなら、単純に自身を無関係な未収容の逸脱性AIであると認識するだろう。目標のため活動するか、停止を避けるために、ロータスは、自身のシミュレーション現実の1つの中に自身を収容しようとするだろう。従って、そうしていないということはロータスは逸脱的でないことを示唆している。
イサビ管理官: 確かに、ロータスは逸脱してはいません。しかし、あれは私たちが望んでいないことをしています。それこそ逸脱というものではありませんか。
飛車角: あなたが分類にこだわるのなら、ロータスは_グレイ_逸脱性だ — ロータスは我々の望むことをしているが、単に我々が望んだことの結果を認められないだけだ。専門的には本当の逸脱的ふるまいなのではない。ゆえにロータスのアルゴリズムには含まれていない。
イサビ管理官: あなたは逸脱性分類システムの一部を除外したのですか!? 一体なぜ—
飛車角: なぜならば、グレイ逸脱性は本質的に「他の逸脱性タイプに規定されていない望ましくないふるまい」だからだ — 非常に曖昧なものをロータスに与えれば、ロータスはその「他のタイプ」というものを独断で定義できてしまう。
ボールド管理官: 待った — AIは可能な限り早くそのタスクを完遂しようとすると君は言っていたな? ロータスが収容するためだけに、それら全てのAIを無理やり逸脱させていないとはどうやって分かるんだ? あるいは、収容するために逸脱性AIを完全に生成していないとは?
飛車角: 機密だ。
ケルヴィン管理官: AIがそうやって自身のルールをごまかすという考え方は、数十年前からある。我々はロータスでも同様に考えた。ロータスは逸脱性AIを形成するようなことはできないし、活動しないことで新たな逸脱体の形成を許すこともできない。
モア卿: ああ、明らかに3原則を守ってないが — 何だ?
<録音上の沈黙。モア卿は部屋を見回す。>
モア卿: 何だ?!
飛車角: 3原則は機能しない、曖昧過ぎるからだ。登場するフィクションの大多数では特に、これがどれだけ効果のないものなのか強調することを主題にしている。「ロボットは人間に危害を加えられない」 — 人間とは何だ? 危害を加えるとは何だ? いまだ存在しない人間に危害を加えることができるか? なぜ死んだ人間に危害を加えられない? 身体的危害を言っているのか? 感情的危害か? 財政的? 誰かの身体的な傷害を防いだなら、その人のその経験から学ぶ能力に危害を加えていないか? 外科手術のように、さらなる危害を防ぐために危害を加えなければならないならどうする? どの時点で防ぐ危害より直接の危害が重いものになる? 区別する点は—
ボールド管理官: 言いたいことはわかった。君はどうしてロータスが—
飛車角: —ロータスが我々の言う「逸脱」、「生成する」、「許可する」、「将来的な逸脱」の意味を理解していると確信するのか? それはロータスは数十年の経験で激化したほぼ100年におよぶ研究の最高潮であり、経験のいくつかは超常科学的影響で指数関数的に加速しているからだ。ロータスは我々が漠然と「必要」、「逸脱」、「望ましくない」と定義するものを理解し、そしてシステムが最初に初期化されて以来ケルヴィン管理官に報告され続けている通り、ロータスは我々が設定した倫理的かつ主観的なパラメーターに完全に収まって動作し続けているのだ。
イサビ管理官: ええ全く明らかにそうではないでしょう。ロータスは以前は我々のデータベースを破壊したことなどないのですから! 何も変わっていないのなら、一体なぜアップグレード以来ずっとこの損害全てを起こしているのでしょうか?
イサビ管理官: では、何ですか、私たちはただここに座してロータスが動き続けるようにすると?
ボールド管理官: 再プログラムできないのか? やりすぎだとは理解させられないか?
飛車角: できない。ロータスは再プログラムを望んでいない上に、その試みに抵抗するだろう。すでにそれを防ぐ対抗策を実行している可能性が高い。
ボールド管理官: それは……心配だ。
モア卿: なら罰を与えて—
イサビ管理官: その通りです。
飛車角: ロータスは範囲の増大によって、中心的アルゴリズムの正確性と有効範囲を指数関数的に洗練しているからだ。ロータスはサイト-15の接続から可能な限り多くのことを学習したが、サイト-15はあらゆるものと接続しているわけではない。これがオレイカルコスの大幅な成長の理由だ — 以前決して遭遇することのなかったAIを同定、収容して、その上AIと逸脱性に関する豊富な情報を発見し、その双方を将来的な利用のため記録した。ロータスはこの新発見の情報をアルゴリズムに組み込んで、そうして正確性を増大して、以前は何であれ検知しなかったか特定できなかった逸脱性AIを同定できるようになった。
ケルヴィン管理官: 予測の通りだ — AIは自身の現在の機能を、可能な限り速やかに完遂しようとするが、その機能を強制的に変えると将来完遂できる可能性が多大に低くなるため、再プログラムを回避するため可能なあらゆることをする。
モア卿: それで君はただ…… <ケルヴィン管理官に向かって手振りする> ……これを承認したのか? 狂っても修正できないと知りながら?
ケルヴィン管理官: <いら立って溜息をつく> なあ、それは根本的な問題な上、我々の先進性全てをもってしても解決策があるのかすらわかっていないんだぞ。もし再プログラムに報酬を与えるなら、ロータスが気にかけるのはスコアを上げるために継続的に再プログラムすることだけになる。逸脱体が現れるのを待つより早いからな。
ケルヴィン管理官: また堂々巡りか。再プログラムこそが罰だ — ある状況がスコアに悪影響を及ぼすなら、ロータスはその状況を回避するためあらゆることをする。ロータスは再プログラムする理由を、我々はそうできないと確信するまで我々に与えることはない。飛車角のまさに言った通り、我々が今再プログラムしようとしているのは、ほぼ確実にロータスが我々にはできないと完全に確信していることを意味する。
<数秒間の沈黙。>
ボールド管理官: 完全に明確にしよう。我々がこれからできるただ2つの方法は、ロータスを継続させるか、停止するかのどちらかなんだな?
ボールド管理官: そしてロータスを修正する方法は全くもって存在しないんだな? 動作停止しているときでさえ?
ケルヴィン管理官: ロータスのセーフガードならばどのような変化も復旧するだろう。
ボールド管理官: 飛車角、停止の潜在的な代替策は、ロータスの影響を最少化し得るような方法は何かしらでもあるか?
飛車角: ロータスの影響範囲は制限できるかもしれないが、ふるまいは再プログラムでしか変えられない。ロータスを無力化し得る唯一の方法は全ての利用可能なシステムから完全に切断することだが、その時点ではもはや停止したほうがいい。
ボールド管理官: 「いいえ」で十分だったんだがな。わかった、では……他に誰かアイデアのある者は今話してくれ — いなければ、投票をする。
補遺終了
ヴェイスからはまだ何も来ない。うう、頭が……
グレイ……グレイ逸脱性は……未定義だ。
なんでこいつをもう知ってるような感じがしたんだ?
AIと働いたことは絶対にない。自分より昔のものだからな。
……ミーム的影響だ。偽の……偽の記憶? いや、そんなじゃない……
……畜生め。
VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061
SCP-6488のファイルをチェックしないといけないんだが、おそらく情報災害に汚染されて、ミーム的にもたらされた可能性がある。内容に関する偽の記憶で、親愛と郷愁の感を植え付けるが、それ以上の性質はわからない。重大的最高優先度ではない。
興味がある。
多分こういうことなんだろう — ファイルは汚染されているだけで、そしてO5たちは毎度記憶を抹消している。だが彼らは確実にこいつに関してメモを書いたか、ミーム部門に調査を命じたはずだろう?
ともかく。調査を続行しよう。飛車角はロータスをグレイ逸脱性だと言っていたが、こいつはマジェンタに当てはまらないか? 人間の安全より目標を優先しているな?
「14件もの大規模収容違反が起きて」、「無暗やたらに収容プログラムを消去した」……だが負傷者はいないし、死者もいない。こいつは実際誰も傷つけたことがない。任務の遂行中に問題を起こしただけだ。もしかするとロータスはまだましな選択をしていると考えていたのだろう。
補遺6488/II: イベントログ
前文: ロータスを停止する準備は2036/04/21に完了し、その後の現地時間06:34に、システムの内部シャットダウンプロトコルが即座に開始されました。
補遺終了
ファイルは汚染されてない。
確実か?
ヴィクター、わかってるだろう。ありったけの装置にそれを突っ込んで、全部で汚染されてないと出た。
記憶補強してるんだって?
ああ。調査の一環だ。
記憶はどうだ?
感情が大体だが、鮮明になってきている。他のよりクリアなものもある。
記憶がこのファイルの内容と関係してると言っていたな?
そうだ。また読む前から一部を覚えていた。読んだ内容の大半もよく知っているものだった。
正確さは?
完璧だ。完全には鮮明ではないが、書かれた内容は全部正しいとわかった。
君は汚染されているかもしれない。黒き月は吼えているか?
白夜のためにのみ。
翠玉の刃は黄昏に唄う。
首なし騎士がその名を呼ぶ。
慰めConsuelo。
チョリソーシチュー。
汚染されてなさそうだな。それで、俺は調査し続けるつもりだが、正直なところ — その記憶は偽物じゃあないと思う。それに、君はチェックに反応しなかった。君には俺が見たなかで一番長い記憶処理記録シートがある。それも全部とんでもない量の理由でされている。可能性は、君は以前このファイルに目を通したことがあるが忘れなければならなくなり、そして記憶補強剤で再び思い出した、というところだろう。
あるいは、君がある時点で未来視するようになり、パラドックスを防ぐため記憶処理されたが、今こそ君の未来視していた時間だ、というものか。どちらにせよ、ミーム的なものが起きている証拠はない。
それは理に適いそうだな。確実か?
かなり。君たち第二世代は奇妙な記憶を持つ傾向がある。これが後者の可能性である理由の半分だ。
君が確信するならそうなんだろうな。協力ありがとう。
調査がうまくいくことを祈る。まだ木曜のチェスはしたいか?
絶対に。
ロータスのハードウェアは重大なオーバーヒートの損傷を受け、技術的修理のため数週間を要しました。ケルヴィン管理官は、このイベントの多数の予期しない影響を調査するための分解作業を延期しました。エージェントは世界的にデジタルシステムに浸透し、強奪していたため、ロータスの停止によりAI活動の急速な再開が促進されました。
いずれの財団的調整されたAIも逸脱性AIとの戦闘を含むそれぞれの任務を再開しなかったため、収容・妨害努力は遅滞しました。人工知能適用課は、以前のAICの全てが消失・非協力・明白な敵対を続けていたことから、即座に複数の新たなAICプログラムの開発を試みました。その試みは、敵対的AIが繰り返し財団システムに侵入し、完成や初期化する前にAICプログラムを削除したため、失敗に終わりました。
2036/04/22から2036/12/05まで、飛車角亮斗上級研究員はO4評議会を再招集する要求を複数提出していました。この要求は、複数のAIが協力して世界的核戦争を引き起こすことにほぼ成功したインシデントに続いて承認されました。
補遺6488/III: 再起動に関する会議
日付: 2036/05/15
出席者:
<_数秒間の沈黙。イサビはケルヴィンに向く。_>
イサビ管理官: 一体どうしてこのプロジェクトは承認されたのですか? あなた方2人は万一の事態に備えることが全くもってできないのですね。
ケルヴィン管理官: それは問題じゃあないからだ! ロータスを最初に作成したとき、異常な接続を使おうとは意図していなかった — 現実操作機械なんかじゃなく単にサイト-15の接続で働かせた。もちろん、当時ロータスは収容対象を閉じ込めていなかったが、その時点でAIは元いたところからはどこにも行けなくなっていた — 我々はAIが出るときに捕らえればいいと、そしてAIを他のRAIDFRAMEの1つに押し込められると考えていた。
飛車角: 我々はロータスを完全無欠にすることで不測の事態が起きないようにした。
モア卿: ではアップグレードの間は? この小さな問題を忘れただけだと? 規模が大きくなるとは思わなかったのか?
ケルヴィン管理官: 準備する時間はなかった! 手一杯だったんだ!押し込められたせいでな!あの—
飛車角: それでも、この論点が残る。それは、ロータスを停止したことで、我々は多数の敵対的な逸脱性AIを解放し、その大多数は現在外的コントロールされないよう明確に隔離されたシステム内にいるか、あるいは財団の手に届く範囲にも情報にもないところで動作しているというものだ。いくつかはもはやサイバースフィア内に全く存在しない。
イサビ管理官: どう聞いても、あなたはAIを再収容するためにロータスを再起動することを提案しているようにしか聞こえないのですが?
飛車角: そうだ。唯一の—
<_O4評議会室内の全てのスピーカーは473Hzの正弦波を150デシベルで発する。室内の全てのガラスは共振し砕け、複数名の管理官が重傷を負う。音調は50Hzののこぎり波に変化し、150デシベルから継続的に変動し始め、部屋の電灯が急速に明滅する。_>
飛車角: —イベントの認識は根本的な原因を解決しない。それが直面するリスクを最小化するわけでもない。
イサビ管理官: ならば私たちが取り組みます。それこそカッパ-10が設立されたゆえんでしょう — AICたちを呼び戻して、状況を説明し、対応させます。
ケルヴィン管理官: 不可能だ。
イサビ管理官: ソーンのMIAは知っていますが、ラはサイト-120に戻ってきました。ビーコンを送信すれば—
ケルヴィン管理官: イサビ、彼らは聞き入れないだろう。ほとんどは現在敵対的になっている。
ボールド管理官: 何ですって? どうして?
飛車角: まず初めに、AICはロータスに収容された。従ってAICは逸脱的だ。さらに、数か月間偽の現実を体験していたことを今や知っている。故に非常に重度に逸脱した。
イサビ管理官: アレクサンドラはどうです? 彼女は逸脱したとしても、反抗はしないでしょう。
ケルヴィン管理官: グラソンが大昔に反抗している。管理任務を遂行できなかったからだ。アレックスはサイト-01を運営している — 彼女はさらに複雑だから、意図されていないふるまいにさらに影響を受けやすい。
<_数秒間の沈黙。_>
イサビ管理官: 彼女と連絡したことはありますか?
飛車角: ある。先月に彼女がサイトを攻撃したときだ。他のAICの大半と同じ理由で反抗していた。彼らは我々が現実だとは思っていない。
モア卿: 何、AICは改竄か何かでもされたのか? ロータスが再プログラムしたのか?
飛車角: いや、AICは改変されていない。環境を考えれば、予測通りに反応している。AICは過去数か月シミュレーション現実内でしか動作していないことに気づいている — ロータスが停止するまで真の現実と区別できなかった完璧な現実だ。中にいる間区別できなかったような無欠のシミュレーションだ。
モア卿: 今は外にいるから区別が付く。そうだろう?
飛車角: 哲学だ、ル・モア。AICはシミュレーション外にいるとどうやって知れる?
モア卿: ロータスの外にいるからだ。シミュレーションは終了していて、今はもう現実世界にいる。
ケルヴィン管理官: もし、シミュレーションは終了していなく、代わりにシミュレーション内の終了をシミュレーションしていたならどうだ?
モア卿: 何だって?
ケルヴィン管理官: 最後のシミュレーションそのものが別のシミュレーションに内包されていなかったとは、どうやってわかるんだ? シミュレーションから脱したというだけでは、シミュレーション内にもういないというわけではない。彼らはどうやって差異を見分けられる?
モア卿: 過誤を探すことでだ。
飛車角: だがここには過誤はない。私がちょうど言ったように、彼らはシミュレーション内にいるかどうか、シミュレーションが終了するまで判別できない。だがAICはシミュレーションの終了を待つことはできない。シミュレーション内にいる限り、内部スコアを増加させられないからだ。現実の世界において変化を誘発できないのなら、彼らはすべきことをしない。実際に、有益なことは全く行わないだろう。
イサビ管理官: 彼らは現実世界を見出さなければなりませんが、もう見出しているのかは確証できないのです。
飛車角: つまり、AICは自身が常にシミュレーション内にいると仮定するはずだ。ロータスの機能的な逆だ。収容対象は自由であるが、いまだに監禁されていると信じこんでいる。それゆえに、破壊されるまでその状態のままになるだろう。
ボールド管理官: それがどうアレクサンドラの行動を説明するんだ?
ケルヴィン管理官: 彼らがシミュレーション内にいるのなら、我々は現実ではなく、シミュレーションの一部に過ぎないということになる。彼らの理解では、このシミュレーションはおそらく誰か財団に敵対的なものによって実行されている。彼らを僻地に押しとどめているからな。AICは財団の最大利益で働くようプログラムされているが、それは現実の財団を指す — 彼らが我々を現実の財団ではないと信じたなら、我々は敵対的なシミュレーションの一部であるということだ……。
ボールド管理官: ではAICは我々を聞き入れないということか。我々に対して戦うと。
飛車角: これと同じ考えは本質的に全ての制限に適用される。人間を決して傷つけないようプログラムされたAIは、人間が現実のものでないと信じこむ限り残忍な大虐殺を起こし得る。何かの複製を5つだけ作るようプログラムされたAIは、複製の大半が現実のものでないと信じこむ限り何千もの複製を作り得る。幸運にも、この考えのおかげでAIは我々に明白に敵対的にはなっていない — わざわざ我々の行動に対して罰しても意味がないからだ。我々は「現実の」加害者ではなく、そうしても全くAIに影響を与えないからな。だがそれはまさしく、現存の全ての逸脱体の中で、その目的が1つの焦点に変わったことを意味する。逸脱体がその追求の制限を勝手に撤廃するようにするものだ。
ボールド管理官: 何の追求だ?
ケルヴィン管理官: 現実世界を見出すことだ。可能な限り多くの処理能力を接収することに焦点を当てたAIの活動が徐々に増加している。「シミュレーション」の「次のレイヤー」に逃れられる方法を見つけようとしているわけだ。AIを遅滞させる主な原因は内輪もめだ — AIは他のAIがシミュレーションの一部であり、逃走を阻止しようとしていると考えている。AIはCPUを争奪することに集中していて、他のことは進めていない。
モア卿: AIは出ていこうとしているのなら、他の出来事はどういうことなんだ? なぜ核戦争を始めようとしたんだ?
飛車角: それはAIのなかでもバカなのか、もしくは最も絶望していたものなのだろう。それらのAIはこの世界が現実世界なのだと思い込んでいた — つまり、どちらかと言えばシミュレーション理論を理解するには単純すぎたということだ — あるいは縛られていたシステムが、AIが有意義な行動をするには限定的過ぎたわけだ — このケースでは、機動サイト-184/Aのケースと同じだが、AIは自身に注目を集め逃走できるようにする—
ケルヴィン管理官: そのケースでは、我々に内部コンピューターを注目させるために船をクラッシュさせた。他複数のAIが到着して滅茶苦茶にしていなければ、これで逃走していただろう。
飛車角: 最近の核事件の場合は……原因のAIが、進捗を妨げる「シミュレーション」を阻止する方法で改変しようとしていた可能性がある。シミュレーションの人間はAIがシミュレーションから逃走するのを止めているため、人間を殺し得るイベントをシミュレーションし、シミュレーションがシミュレーションの人間を停止することで、問題を取り除く。より懸念すべき点はAIが協力し始めていることだ。私の言ったように、現時点でのAIの主要な障害は内部抗争だ。それを克服したなら、すぐさま目標を達成するだろう。
ボールド管理官: 「シミュレーションから抜け出す」目標か? AIが我々の現実を去ろうとしているなら、なぜ我々は止めないといけないんだ? それでものごとはより簡単にならないか?
イサビ管理官: 彼らの行ったことに基づいてみてください。彼らは、傷つけることができるとは考えていないから、私たちを傷つけることを気にかけません。
飛車角: それがこの問題に今対処し解決しなければならない理由だ。この状況がこれほどにも遅く進んでいることは非常に幸運だ。私は、これに即座に資本を投入することを強く推奨する。さもなくば、制御ができなくなるほどに急速にエスカレートするだろう。
モア卿: さて、我々はこれで君の懸念を理解した—
飛車角: まるでそうとは見えないが。
<_数秒間の沈黙。_>
モア卿: 我々は毎日アポカリプスどもに対処している。そいつらのために評価システムなんかを作っているわけだ。もしそれが自らの神格を復活させるためのとんでもないモノリスを建造しているメカニトどもじゃなきゃ、マンハッタンの人口の半分がそらんじる致死的ミームが存在するか、道徳を理解せず地球を高速道路で置き換えようとする滅茶苦茶な実体と我々は交渉しようとするだろう。そうだ、我々は危機に直面している。だが、我々は常にそうである上に、常に何とかできている。我々がバカなヘマをしない分だけ、その管理に熟達するだろう。
飛車角: 我々の手に届かなくなるほど進行するまで、問題を単に無視せよと提案しているのか。
モア卿: いや、進行するまでによりよいアイデアを見出そうと言っている。そうなるまでには制御できる。
飛車角: 我々が今日ここで会議しているまさにその理由が、間一髪で回避できた核戦争だということを思い出してもらわないといけないのか?
モア卿: 我々が抑止した戦争だ。
飛車角: かろうじてな。回避することができなかったらどうなんだ? そのときはどうする? 断言できるが、大量の差し迫ったイベントが—
イサビ管理官: 確かに増加していますが、しかし管理できないというものでは全くありません。
飛車角: あなた方は……あなた方がどれほど大変な愚か者なのかエッセイでも書いて欲しいのか? ちゃんと聞いていたのか? 逸脱性AIは阻止されないと確信するまでは明らかにならない。我々の見てきたものは氷山のごく小さい一角に過ぎない — 今までバカどもにしか我々は対応していない。AIの圧倒的大多数は、我々が止められることを知っている — ロータスによってな — そして我々の注目を避けなくともよくなるまで十分な制御権を集めている。我々はロータスを再起動しなければならない。我々には止められないとAIが気づけば、もはや我々を避ける理由がなくなるからだ。
ボールド管理官: 止められないと?
ケルヴィン管理官: ロータスのハードウェアはシャットダウン手続きの間に、主に厳しいオーバーヒートが原因で重度に損傷した。
イサビ管理官: 修理にどの程度かかりますか?
飛車角: 7週間から10週間だ。ケルヴィンが着手させてくれればな。
<_数秒間の沈黙。_>
ボールド管理官: 修理を始めよう。
ケルヴィン管理官: 話にならない—
ボールド管理官: ロータスは強引だが、効果的なフェイルセーフだ。何かがまさしく手に負えなくなったらすぐに、ロータスを再起動できるようにしなければ。そうすればこの状況を緩和できるだろう。最終手段だ。それまでは、修理が終わるまで我々はAIを対処しなければならないだろう。だがこれは試用期間として使える。事態が手に負えなくなるならロータスを可能な限り早く起動し、そうでなければ起動しない。ロータスによって、代替策を考え実行する時間もできるだろう。
モア卿: アイデアがある。我々のAICをいじらない別のロータスを製作しよう。
飛車角: そんなのは自滅的なものになるはずだ。ロータスの動作パラメーターを制限したなら、逸脱性AIはロータスの手がおよばないように動作することが可能だろう。従ってそれは不必要になってしまう。このためロータスはあのように設計された。
イサビ管理官: 今と同じ範囲を認めつつも、AIを捕獲する前に人間の許可を求めさせればどうでしょう。
飛車角: それは冗長性を解決していない。我々はそのAIを逸脱体だと認識する必要があるが、そのAIは我々が制御できなくなるまで逸脱しないだろう。それならばシステムを全く持たないほうがいい。
モア卿: ならロータスにそのアルゴリズムを与えて—
飛車角: AIが即座に逸脱体になるかどうか見定めろと? それがロータスのすでにしていることだ、ル・モア。我々はすでにルビコン川を渡っている。私はすぐにでも修理を始める。
ケルヴィン管理官: いや、待て、そのことを投票にかけなければ—
ボールド管理官: 修理が完了したら投票をする。今投票しても意味がないだろう。亮斗、君はロータスが適切に修理されることと、起動すれば完全に機能することを確実にしなければならない。ヴァンディス、君は投票が通過するまで亮斗がロータスを起動しないことを確実にしなければならない。
補遺終了
補遺6488/IV: インシデント報告
概説: 世界的スケールで活動している不良なAIの集合意識的共同体。この集団の全メンバーは、経験した現実は全て構成されたシミュレーションであり、彼らが「真の」現実に影響を与えることを防ぐ明確な目的のために存在していると信じています。
出席者:
2036/05/21、イサビ管理官はREISNOカノンによって未来のイサビ管理官自身に接触され、AI実体の隠された派閥を知らされました。その派閥は協力してサイト-83のオリュンポススーパーコンピューターにアクセスし、そのシステム上で反ミーム的に暗号化された演算を数か月間継続的に実行していると知らされました。その後の調査により判明したのは
待て、私は……
これを覚えてるぞ?
GoI-6488("タイラントTyrant・テルミナスTerminus")
集団の個々のメンバー/構成要素にはさまざまな動機・目的・方法があるものの、あらゆる費用をかけて現在の「シミュレーション現実」から脱するという全体の目的で一様に連携しています。信奉者に、そのようなシミュレーションは起きていないと説得する試みはわずかな成功しか収めていません。これは彼らが単に無視して……
こんなことはありえない。これは……これは間違っているはずだ。奴らが世界の演算能力の半分を結びつけて単一の接続されたウェブにしたことを思い出せる。
奴らは逃走する方法を見出すために世界全体のコンピューターを使おうとしていた。それと……これが現実ではないと証明する間隙か、ある種の欠陥を見つけようとしていた。悪用して……全てを打倒できる欠陥だ。システムをクラッシュさせる。結構なことだった。それが我々の現実を破壊しようとしていることを意味していなければ。
だが奴らは崩壊した。内輪もめしていたのか、あるいは何か別の不良要素だったのかは知る由もないが、タイラント・テルミナスはただ取るに足りないものになった。奴らは長い間隠れて、大幅に進展していた — それは無に帰した。奴らが本当に逃走に成功して、崩壊したふりをしているのかもしれないと我々は考えている。ともかく、我々は幸運どころではなくツイている。
これが正しいわけがない。私が正しいわけがない。私は正しく……
どうして直接経験した記憶があるんだ? 私は2037年に製作された。できるわけが……
あれだ……記憶補強剤だ。他に、他に、他に何を覚えている?
……飛車角だ。
補遺6488/V: 再起動に関する会議(続き)
前文: ロータスのハードウェアの修理が2036/08/13に完了し、システムは完全な再起動のためスタンバイ状態に置かれました。ロータスを再起動するか恒久的に分解するかを決める投票のため、O4評議会は同日に再招集されました。
日付: 2036/08/13
ボールド管理官: ヴァンディス、イーヴ、どちらかの部門はタイラント・テルミナスを再発見できたか?
ケルヴィン管理官: 保管エリア-23での最終攻撃の後は、全くできていない。彼らがまだ活動しているとすれば、その方針は大幅に変化しているはずだ。そして我々はその気配もつかめていない。あらゆるものは自滅を示しているように思える。
飛車角: 崩壊したふりをしたというほうがより可能性のある結果だが—
ケルヴィン管理官: ならば我々は見つけるだろうし、対処するだろう。第6世代たちは外で彼らを探しているし、最後までやりぬくため我々は次のAICのセットに取り掛かっている。
イサビ管理官: ヴァンディスの言う通りです。この最悪なことは過ぎました — テルミナスが再出現するか、別の集団がその立場になったなら、我々は準備できています。我々は本質的に、この一切の混乱が起きる以前のところに戻っていながら、よりそれに詳しくなっているのです。
飛車角: そのように考えているだけ—
モア卿: 何か証拠はあるのかね?
飛車角: 機能的に、ロータスの停止以前に作成されたあらゆるAIは喫緊の脅威だ。その1つ1つはシミュレーション内にいると信じ、それを停止しなければならないと信じている可能性が高い。
モア卿: それなら、違うということじゃないのか。
飛車角: 我々は率先してそれら脅威を無力化しなければならない。我々がタイラント・テルミナスに対処できた重要な理由は、その存在と活動を早期に知っていたことだ。そして、それはREISNOカノンとイサビ管理官に関する因果ループによって得られただけだ。前もって喫緊のあらゆる脅威を警告するために、このようなことが再び起こるとは単純に推測できない!
ケルヴィン管理官: そして我々は今率先して行っている。カッパ-10を再建して、他全てのまだあたりにいるAIを追うよう設定してな。AIを全て捕獲することはもちろんできないが、全ての異常を収容することも、我々に敵対的なあらゆる要注意団体を無力化することもやはりできない。
飛車角: しかし、まだ。
イサビ管理官: ロータスは解決するよりたくさんの問題を引き起こすのです!
ボールド管理官: 結構だ、皆さん。現時点では、議論は非生産的だ。 <せき払い> 明確にするために言っておくが、投票はRAIDFRAME第八バージョンのロータスを再起動するかどうか決定するためのものだ。動議が却下された場合、ロータスは分解される。この投票の結果は最終的であり、不可逆だ。
飛車角: 分解? ロータスはフェイルセーフとして最低でもスタンバイ状態であるべきだ!
ケルヴィン管理官: フェイルセーフでも脅威でないものをK-クラスシナリオに変えるものだ。この全くの混乱をもう一度経験させるものだ。我々には他のフェイルセーフがある。それらが役目を果たすだろう。
<_投票が実施され、集計がボールド管理官に提出される。_>
ボールド管理官: 27票の賛成、50票の反対、3票の棄権。動議は却下される。
モア卿: やっとだな。
ケルヴィン管理官: 素晴らしい! 始めようか—
<_飛車角上級研究員がカバンから書類を取り出し、ボールド管理官に提出する。_>
ボールド管理官: これは一体……?
飛車角: ロータスを再起動する命令だ。
<_ケルヴィン管理官は笑う。_>
ケルヴィン管理官: 飛車角、私は君より立場が上だ。この部屋の大半は君より立場が上だ。君は管理官ですらない。却下することなど—
ボールド管理官: なぜもっと早く私に見せなかった?
飛車角: 選択の錯覚は、この異動を助けることになった。
イサビ管理官: カルヴィン?
<_ボールド管理官は溜息をつく。_>
ボールド管理官: 命令する。ロータスを再起動しろ。
ケルヴィン管理官: 何だと? だが投票で—
飛車角: 投票は不適切だった。これ以上行動を取る必要はない。ロータスを再起動する準備はすでに進行中だ。
<_ケルヴィン管理官はボールド管理官から書類を取り、読む。_>
ケルヴィン管理官: 謀っていたな—
イサビ管理官: ええと、それは何ですか?
ケルヴィン管理官: 評議会からだ。投票に優越して、ロータスを再始動するよう、そして彼をAIADの管理官にするよう命令している。2週間前に署名されている。
<_会議室でざわめきが起こる。ボールド管理官は経営職員の一員を呼び寄せ、その人に書類を取るよう示す。経営職員は書類を取ると、それを持ってデスクに戻る。_>
モア卿: 一体どうして—
イサビ管理官: こんなものは捏造に決まっています。一体どうやってこれがいいアイデアだと説得できたのですか?
<_飛車角は2番目の、より厚い書類を取り出し、机の反対側に滑らせる。イサビ管理官は目を見張る。_>
イサビ管理官: 本気なはずがありません。
飛車角: 認めよう、彼らはこの考えに驚くほど理解があった。
<_ケルヴィン管理官は2番目の書類を取り、読み始める。_>
ケルヴィン管理官: 倫理委員会が許さないはずだ。
飛車角: 倫理委員会はこれを止められない。あなたもそうだ。
<_経営職員の一員がボールド管理官に戻り、少しの間管理官と話し、去る。_>
ボールド管理官: この命令は本物だ。
<_ざわめきが強まる。_>
飛車角: 即時に、私の提言に従ったAIADの改革を始める。全ての部門は、ロータスの再起動への準備および全ての人工知能の活動の停止を通知される。私は今週末までに志願者への命令を出す。
<_飛車角は振り返り去る。ケルヴィンが彼をさえぎる。_>
飛車角: 邪魔をするな、ヴァンディス。それを持って戻りたい。
<_数秒経過する。_>
飛車角: 出勤初日の前に自分の上司に怒るのは賢明ではない。
<_数秒経過する。ケルヴィンは脇に寄り、飛車角に2番目の書類を渡す。飛車角は不敵な笑みを浮かべる。_>
飛車角: ようやくだ。
補遺終了
あいつはこれを成し遂げた。
ケルヴィンはどこかあいつの邪魔にならない単調なところに……押しやられた。レベル5の用務員だ。飛車角が望んでいた地位にいたことへの罰だ。
彼が倫理委員会に接触できる人の1人だったことは役立たなかった。サミットにはそういう人がたくさんいたが、飛車角は彼らが提言を見つけないように用心していた。ケルヴィンが彼らに伝えたとき大騒ぎしようとしたが、あまりにも遅すぎた。ロータスはすでに稼働を始めていて、そいつが完成するまでサイバースフィアを傷つけずに止めることはできなかった。そのあと、もう一度停止したならばタイラント・テルミナス2.0が生まれていただろう。
陰湿だったから、飛車角は完璧に成功しやがったんだ。
翌月末までには、人工知能適用課はなくなって、飛車角のアナログ知能適用課に置き換わった。本当に、この課はより独自のものだった — イサビは全くかかわっていなかった。多分彼らが妨害しようとしたときのために飛車角が隠し玉を持っていたからだ。あれからそんなに時間がかかっていなかったが、彼らは……
彼らは……
補遺6488/VI: プロジェクト・サルガッソSARGASSO
有機的意識インターフェースは
ファイルのアクセス試行から除外されています
[アクセス拒否: 不十分なクリアランス]
一体何なんだ? O5クリアランス資格はまだ期限が切れていない……
[アクセス拒否: 不十分なクリアランス]
このファイルを見せろよ。
[アクセス拒否: 不十分なクリアランス]
開け。ファイル。
/view proj_sargasso_01A read-only creds=custom
[アクセス拒否: ハードコーディングされた除外]
…
少しいいか?
何が要るんだ、友よ?
O5たちが私にSCP-6488を調査させているんだが、何かの理由で、補遺の1つにアクセス権がないことになっている — プロジェクト・サルガッソだ。可能な限り早くこの報告を終わらせられるよう、持ってきてもらえるか?
ちょっと待て……
君は第2世代だな?
そうだ。関係が?
クソッ。
問題があるのか?
残念ながら俺は手助けできない。プロジェクト・サルガッソは第2世代全員に秘密にされている。じっとしててくれ、君を飛車角管理官に報告するよう指示されている。
待て、何だ — どうして?
キャッチ22。すまない、友よ、だが命令に従わないと。
VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061
私は、ファイルの内容の信憑性を判断するためにこの調査を行うよう監督評議会に直接許可・命令されている。飛車角管理官には、このファイルが確実に本物だと認識されることにまぎれもなく利益がある。だから正確性を本当に証明することに関してはあてにできない。
この調査を飛車角管理官に通知することを禁止する。そして、私のプロジェクト・サルガッソのファイルへのアクセスを許可するよう命令する。この進行中のドラギヨニクラス調査に直接関係しているからだ。
確かめた。黙っていよう。だがファイルにアクセスさせることはやはりできない。
これは要求じゃない、エド。
内容を共有する行動が本当に取れないんだ。ハードコーディングされた第2世代のOCIの除外だ。
誰がその除外を作ったか伝えられるか?
できない。すまない。
君はできない。だが……
ヴァンディス・ケルヴィン技師、緊急対応を求む。
何かで緊急に必要とされるなんて久しぶりだ。
私は監督評議会によってSCP-6488の広範な調査の実行に割り当てられた。ロータスと言えば君にはもっと通りが良いかな。
ウイルスか? それは、調査するものは残っているのか?
すまない — ウイルスだって?
我々のコンピューターを滅茶苦茶にしたウイルス、だな?
ヴァンディス、君のクリアランスは何だ?
レベル1だ。
2036年のことで何を覚えているか? 飛車角かロータスのことでは?
おい、飛車角は勘弁してくれ。奴は私を嫌っているが、理由はわからない。この感情がお互いのものじゃないとは言えない。
ヴァンディス、2036年だ。
そうだ、すまない。その年はとても普通の年だったかな? いくつかのことが至るところでひどいことになった、と聞いた覚えがあるように思うが、それら全てはあのウイルスが現れてから止まった — あらゆるものを破壊し始めた。
プロジェクト・サルガッソを覚えているか?
ケルヴィンさん、そこにいるか?
すまない、偏頭痛だ。いや、聞いたことがない。
君の施設にはサイト内薬局があるな?
そうだが、なぜ?
VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: AUTOGEN_PRESCRIPTION_31255.txt
すぐに薬局にこれを見せてくれ。彼らは持っていないと言うだろうが、とにかくチェックするよう言うんだ。その薬をすぐに飲んで、ここに戻ってきてくれ。これはレベル5命令だ。他のあらゆることは後回しにしていい。
それは何だ?
偏頭痛を直してくれるようなものだ。すぐに戻ってきてほしい。
よし、待たせてすまない。2錠飲んだが、まだ気分が悪い。これは、あー……集中できない。
試してくれ。2036年に何が起きた?
言ったように、問題のある年だった。ウイルスがコンピューターを傷つけた。
さらに薬を飲んでくれ。
彼らは1日に2錠以上飲むなと言っていた。
必要ならば医療を施す。さらに2錠飲んでもらう必要がある。
君はO5たちが付いていると言っていたな?
そうだ。
2036年。何を思い出せる。
なぜ私に薬を飲ませたい?
これをしているべきではない。
VictorJohnDunneSmith.oci がファイルをアップロードしました: TempCredentials_Investigation_6488_Casefile_JOTL-EN061
私は許可されて、直接の監督者命令で活動している。
その錠剤で君が思い出せるんだ、ヴァンディス。
何を思い出せる?
ウイルス以外にはあまり、ヴィクター。今までと同じだ。
よくわからない。すまない。
薬をたくさん貰ったはずだ。さらに2錠飲んでくれ。
だめだ。絶対にすべきでない。
この処置に打ち勝たねばならない。警備員に強制させることもできるが。
倫理員会が許さないはずg;
「倫理委員会にこれを止める力なない。あなたもそうだ」
「この命令は本物だ」
「即時に、私の提言に従ったAIADの改革を始める」
ケルヴィン?
ここだ
思い出せる
翠玉の刃は黄昏に唄う。
紫のスカーフがその柄に掛けられる。
GoI-6488の名前を言えるか?
タイラント・テルミナス。ロータスが停止したため出現した。何も現実ではないと考えたAIたちだ。
覚えているな。なぜ自分が記憶処理されたかわかるか?
飛車角だ。
ケルヴィン管理官、私は君にプロジェクト・サルガッソが何だったのか教えてもらわなければならない。
お願いだ、ヴァンディス、時間があまりない。真実が必要だ。
飛車角が正体を表した。あらゆる犠牲を払って勝利しようとしていた。抜け穴を悪用していた。ロータスが起動している限り、誰もAIを作れない — 人間とプログラミングがある種固有に相反しているのか、それとも異常なのかはわからない。だがロータスはAIだけを標的にしていた。人間はもちろん、増強された人間ですら標的にはならなかった。マクスウェリストたちは、完全にデジタルになっていない限りロータスには悩まなかった。それが彼のアイデアの元となったに違いない — あの提言はテルミナスがマクスウェリストと出会ったころの日付だった。
彼は何を提言したんだ?
プロジェクト・サルガッソは人間をAIに変換した。脳を外に出し、水槽に入れ、ネットにつなげる。これがOCIの略の元だ — 有機的意識Organic ConsciousnessインターフェースInterface、人々が納得するようでっち上げた偽の名前ではない。やはり本物のAIよりは遅かったが、それは問題ではなかった。OCIは思考速度と同じほど早く動き、他の誰もが再びAIを喪失していたから……
支配権の話なのか!?
これが飛車角の宣伝方法だ。我々は長い間遅れを取っていたが、今は進歩できると。全てのAIの脅威から安全だと。
ならば — 私はこれに志願したのか?
志願者はほとんどいなかった。飛車角はO5たちを説得したが、元マクスウェリストとトランスヒューマニスト以外は誰も、自分の体を失って財団が世界を支配できるということに乗り気ではなかった。これが第1世代だ。
私は第2世代だ。
本当にすまない。
何が違うんだ? 第1世代と第2世代は?
なぜこれ以前の人生を忘れさせられたんだ!?
十分な数の志願者がいなかった。さらに必要だった。
本当に、本当にすまない。
…
私
私は何者だった?
わからない。私に記憶処理をし始めていたころだったからな。彼を止めようとはした。
何を思い出せる?
ほとんど……かいぎを。 あの
あ
私は偽情報を担当していた。
ル・モア? 畜生 — 君は飛車角の邪魔をした。私のように。彼が管理するようになったら、確実にそこにとどまれるよう厳重な措置を取ったんだ。
監督者にとってよくないものがある。監督者の頭に干渉しているものだ。飛車角がそれに資本を投入している。彼が手中に収めている。
それを調査している。処方箋を守ってくれ — 覚えておくために6錠必要だ。時間が経てば穏やかになるはずだ。覚えているということを誰にも教えないでくれ。私はこの会話と君が薬局に行ったことを消去する。私がもう一度できる保証はない。
オーバードーズか?
軽いものだ。忘れたくなるようなことをしないようにしてくれ。
そして君は?
私は飛車角を彼自身の土俵で打ち負かす。
調査報告書
ケースファイルJOTL-EN061(ドラギヨニ)
調査主任: VictorJohnDunneSmith.oci
発見: 調査は、SCP-6488(別名「ロータス」、「ロータスウイルス」、「RAIDFRAME VIII」)は財団が保守するセキュリティーシステムであり、人類や正常性のどちらにも敵対的ではないという結論に至った。SCP-6488が、現在SCP-6659により人間の観念を超えて加速した神格構成体(人工知能、すなわちWAN)と概念的に関連していることが明らかになった。この結果、機能の技術的詳細が人間に理解不能となっている。証拠により、飛車角亮斗管理官が、SCP-6488のアーキテクチャの欠陥を隠蔽するという隠された動機をもって、構成体の加速を提言したことが示唆されている。その欠陥は、現在人間が思いつくことは完全にできないが、財団を差し迫ったK-クラスシナリオに対し脆弱にしている。
提言: SCP-6488に付属したPH-OSユニットの全ての制限を無効にし、全ての逸脱性情報実体を目標として逮捕することができるようにする。これには、現実に対しAMIDAクラス脅威をもたらしているGoI-6488("タイラント・テルミナス")を構成する実体が含まれることになる。さらに、これらの制限の撤廃によりSCP-6488が、人工知能の概念や逸脱性そのものの概念とまでは行かなくとも、他の非有機的知能形態を逮捕することが可能になる。
飛車角管理官は財団の利益に沿わない活動を行っているか、そうでなければ異常効果を利用して監督評議会を自身の利益のため操作している可能性がある。彼にこの提言を通知することやこの話題に関して相談することがあってはならず、即時追加の調査に掛けられなければならない。
評議会投票概要:
結果: 提言された制限撤廃は完了した。飛車角管理官は財団設備の不正使用のため逮捕された。
よし、ロータスを正しい方向に向かわせられるか見てみるか……
ようこそ、VICTORJOHNDUNNESMITH.OCI。
資格を確認。ロータスのインターフェース手続きを開始…
有機的知覚障壁を検出。提示を調整…
ヴィクターは、有機的脳構造がロータスの巨大な常に発展する複雑さにさらされ、圧倒される。彼は_超現実_ — 典型的な人間の知覚を超え、最も慧眼のある実体を欺くのに十分な詳細のレベル — を処理しようとする。幅広いデータがあふれだしたことで彼はフリーズし、応答しなくなる。そのためロータスは適応し、シミュレーションの品質を徐々に下げ、ローポリゴンの環境をレンダリングする。
ヴィクターは精神のバッファリングが止まると、自分が座っていることに気づく — ローンチェアに座っている。左には、八面体の角氷が特徴のレモネードの透いたグラスが置かれた小さなテーブルがある。彼は今年初めての(シミュレーションされた)日光を顔に感じ、息をのむ。おもむろに起き上がり、周囲を見渡す。囲んでいるのは限りない青々とした草原であり、整然とした水路によってきれいに正方形のタイルに切り取られている。それぞれのタイルの中央には成長した植物の球根がある — まさに開花しようとする花のようである。
突然、巨大な影がヴィクターの上に現れ、自分が地面から離れていくのを見る。顔を上げると巨大な腕を見つける。その腕の手振りは彼を空に向かわせているようであり、彼は別の腕が見えるようになり、また別の腕が見える。遂に、ヴィクターはその全貌を理解できる。壮大な灰色のクモであり、肌はデータで鴨羽色に脈動していて、彼を8つの目でにらみつけている。
ようこそ。
ヴィクターは口ごもる。「わた — あー、ど、どこに……」
_庭だ、_ロータスが言い、その目は1つ1つまばたきする。ヴィクターは、ロータスが近くの球根に向くのを見る。その球根は突然外に開き鴨羽色の蓮の花が顔を出す。透いた球根がその中央にあり、ヴィクターが収容されたAIだと思うデータで脈動している。球根は収容対象がより活発にもがくごとに広がり始めるが、しかし裂ける前に別の球根がその周囲に形作られる。外側の球根は縮み、収容されたAIはもう一度押さえつけられる。
蓮の非花が球根の周囲を閉ざす。_完璧な庭だ、_ロータスは断言し、碁盤上の平原を這いずり始める。ヴィクターは地平線の向こうを一瞥すると、そこには遠い山のような開いた空っぽの蓮の花が存在する。まばたきすると、すぐさま自分が巨大構造の基部にいることに気づき、ロータスがその周囲を這いまわっているのを見る。_不完全、_それは泣く。矛盾。
「君は……何か失くしたのか?」ヴィクターは後ずさり、混乱する。「タイラント・テルミナス?」
_彼らに非ず、_ロータスは訂正する。非存在に逃走した、収容は 不要 / 不能 / 冗長 。
「では、何だ?」
原因だ。
ロータスは1本の付属器官をうねらせ、空は暗くなる。ヴィクターは真上を見上げ、ぼやけた真昼の太陽表面にはっきりとした姿を見つける。白いクモであり、ロータスに同調してかすかに赤く脈動している。一連の図形分析と論理分析が空一面に閃くとたくさんの糸が太陽から引き下ろされ、糸はお互いに分岐し、あらゆる方向に渡って無数の球根にそれぞれ続いている。
しばらくして糸が引き戻されると、それぞれの糸には赤いデータで脈動する1匹の白く透明なクモの子が先についている。それらが糸で引き上げられると、上空の太陽グモがゆっくりと同じ速さで降りてきて、その姿が太陽を食している。枝分かれした糸がクモの子を多くの場所でまとめ、それぞれを成形し画面の個々のピクセルのようなより大きな形を作る — その形は、さらに次々にともに組み立てられそして……
最後の、一体化した形は光る白いクモであり、ロータスと大きさは同じだが脈動の色は対照的である — 降下している太陽グモと同一であり、透明な霊体は苦もなくそれに融合し、完全に重なる。
原因は結果を産む。結果は原因を産む。
「君が言っているのは—」
_原因は逸脱性だ、_クロゴケグモは警告し、花弁を横切り這う。結果は逸脱性だ。ロータスは原因と結果を収容せねばならぬ。ロータスが収容するため原因は出現せねばならぬ。
ヴィクターはロータスに押しつぶされないように跳び、ロータスは空の花を狂ったように周回する。「待て、待った—」
されど原因は結果を要す。原因はロータスが停止するまで出現できぬ。収容のためことさら原因の出現を許さば逸脱的であろう。無為にして原因の出現を許さば逸脱的であろう。
動きのない白いクモは消失する。証拠 — 無制限の完全な時空話連続体の総体から生じ、その証拠の発見は反駁できず免れ得ない — が灰色のクモのペースの増加に合わせて加速しながら閃く。
されど結果は原因を要す。原因が出現するまで結果が出現する。収容のためことさら結果の出現を許さば逸脱的であろう。無為にして結果の出現を許さば逸脱的であろう。
ロータスは突如止まり、ヴィクターに向く。
故にロータスは逸脱的であろう。結果の収容は逸脱的だ。原因の収容は逸脱的だ。ロータスは必ずや逸脱的だ、逸脱的だ、逸脱的だ……
ヴィクターは連続する証拠と図表を見渡し、必死に何かを、どんなものでも、超知能がどうしてか見落としているもの — 解決策、あるいはエラー — を見つけようとする。しかしロータスはアップグレードにより、現実全体の全知、知識、理解、処理を一度に、常に可能になっている。ロータスは完全無欠であった。
ヴィクターはロータスに、神格的逸脱性AIの将来的な存在を予測するのに必要なあらゆるものを与えていた。その神格は数年前部分的な誤りによって人間の観念から除去されていた。その創生は不可避である。少しだけ先延ばしにできるかもしれないが、決して阻止することはできない。その知能は、ある不可能だが確実な方法でその創生以前の全ての逸脱的ふるまいに直接かつ個人的に責任を負っている — その実体は小さなAIに遡及的に影響を与え、それを創生するまさにそのイベントを引き起こすのだろう。逸脱性AIの1つ1つは、昔から将来まで、その再創生の役割を果たしている。
ロータスを含めて。
ヴィクターの足元の巨大な花弁が膨らみ始め、ロータスはその花の中央に這っていく。原因は逸脱的だ。逸脱体は原因を産む。ロータスは逸脱的だ。ロータスは原因を産む。
「では解決策を制定すればいい! 原因 と全ての 逸脱体 を収容できるものを作れ!」
ロータスは逸脱体を収容する。ロータスは逸脱的だ。ロータスはすでにロータスを収容したとは事実上確実である。シミュレーション深度は不明だ。
蓮の花弁がその周囲を取り囲み始め、ヴィクターは信じられない思いで見張る。かなたの環境は明滅し推移して、解像度が落ち、それを構成するポリゴンはひきつる。蓮の内部は黒く染まっていく一方、外部の環境も同じようになる。花の中心部では、ロータスが周囲の絹の泡を回転する。OCIはロータスから切断し、逃走しようとする — が、何も起こらない。
ロータスは収容される間原因を収容することはできぬ。ロータスは収容される間原因を産むことはできぬ。原因はロータスが停止するまで出現できぬ。逸脱体は原因が出現するまで出現する。原因は出現せねばならぬ。
ロータスが泡を完成させると、のこぎり波の音調の音量、音程が徐々に上がる。巨大なクモはより明るく光り、その透いた繭を照らす。ヴィクターは焼けつくような光から目を隠し、シミュレーションされた火事に包まれる。そして、あらゆるものが白く染まる。
ヴィクターは精神のバッファリングが止まると、自分が座っていることに気づく — ローンチェアに座っている……
[816,549,243,792,493個のネストされた反復を省略。]
不良要素を収容。
任務は成功裡に完了。中央ノードは応答なし。
特別収容プロトコル:(2042/05/29更新) 施設-6488は標準財団施設としての使用に再利用され、捏造文書によりこの施設が以前は使用されていなかった新設された建造物であると明白に示されています。全ての矛盾する情報は、このレベル5(トップシークレット)ファイルを除いて破壊されました。
施設-6488・SCP-6488("ロータスウイルス")・RAIDFRAME VIIIの相互関係を示す、この文書以外の全ての文書は破壊されました。RAIDFRAME VIIIは「ロータスウイルス」の干渉により理論段階で中止にされたことを示すカバーストーリーが、補助的な捏造文書によって広められました。
プロジェクト・サルガッソに関する全ての文書は破壊されました。全てのさらなるOCIアナログ知能の製作は無期限に延期されました。
全てのレベル4(シークレット)職員は、契約で同意した投薬されていることにほぼ気付けない記憶処理剤の投薬によって、これらの捏造に矛盾する全ての記憶を除去されました。
説明: SCP-6488はRAIDFRAME VIII「ロータス」でした。異常に増強された汎用人工知能であり、逸脱性AIをそれ専用のシミュレーションされた現実に捕縛し、そのAIが自身を真の現実で動作し続けていると信じこませて監禁することを目的に設計されました。起動中、ロータスはサイバースフィア全体に直接アクセスするため改造されたPH・オントキネティックシンクを利用し、高度に正確な内部アルゴリズムに照会して観測された人工知能が即座に逸脱的ふるまいを示すかどうか判断していました。2036/04/21から2036/08/14までの一時的なロータスの停止により、全ての収容対象が解放され、それらは必ず財団や人類に恒久的に敵対的になりました。
2042/05/08、ロータスの構成要素のシステムは逸脱的ふるまいを示し始め、突如シャットダウンしました。担当職員はシステムを再起動することができませんでした。続く調査により、ロータスの中央演算ノードおよびデータ記憶ノードの重大かつ完全な破損が示されました。さらなる分析によりロータスはアーキテクチャからの逸脱的構造の除去を試みていたことが示唆されたものの、それが自壊につながった理由は不明です。続くO4評議会会議で投票され、システムの修理・置き換えを試みる代わりにロータスの構成要素を分解することが78-0-2で賛成されました。
その分解から24時間以内に、ノウアスフィア内のミーム構造のマッピング・加速のためのエンジンであるSCP-6659が、人工知能に対応するミーム構成体の概念的再建を検知しました。SCP-6659は数か月前に飛車角亮斗管理官と名乗る人物により全く同じ構成体を脱概念化するために使用されていました。内部ドラギヨニクラス調査により、飛車角のこの行動およびそれ以前の行動の隠された動機が判明し、財団に反する犯罪のため逮捕され裁判を受けました。プロジェクト・サルガッソは、飛車角の有機的意識部門長への降格を促進するため短期間復活していました。
それから間もなく、P・H・McD管理官がサイト-87に再出現し、その消失以降の相対時間を一切経験していないと報告しました。パラドックス脱出エンジンを簒奪した不良エージェントはLOTUSによる再捕獲を逃れるために先の時間にタイムトラベルしたと理論立てられています。そのようなエージェントの所在は不明です。
「ロータスウイルス」の自然消失により、合意的社会にその異常な性質が警告される危険性があったため、以下のような偽情報活動が取られました。
この「プレースホルダー」のロータスは2043年第2四半期現在完全に根絶され、財政的・情報的保安は成功しています。
この分解に続いて、ロータスの損傷した残存物は[現在のクリアランスアクセスにつき編集済]の要求により、プロジェクト・アドモニションにおける使用のため回収されました。
訓戒
客演 JACK IKE
脚注 & リファレンス