SCP-2075 : 肉体を統べる策

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Name: 肉体を統べる策
Author: gnmaee(NoTranslator)
Rating: 69/71
Created at: Sat Feb 06 2016

アイテム番号: SCP-2075
オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル

SCP-2075は必要ある際に密閉出来る隔離収容ユニットに留置する事とします。収容ユニットには日に一回の(もし要ありと考えるならば更に)リモート除染が行われます。SCP-2075にはボトル入りの水と栄養カプセルを、空気チューブを通して日に三回供給する事とします。SCP-2075とのやり取りは全てリモートマイク越しに為されるものとします。

監視窓は防弾加工を施したガラスで構築されます。収容房への如何なる損傷も、対集団災害用レベルA防護装備を身に付けた職員により必ず即座に修理して下さい。SCP-2075-Aは、サイト主任の認可が無い限りは有害廃棄物取扱規約によって焼却処分が為されます。生体組織は極低温保存庫内に個別に保管されます。

SCP-2075はソビエト連邦崩壊期の1991年██月██日にロシア連邦軍参謀本部情報総局"P"部局(以下GRU"P"部局)より移送され、以後は生物収容サイト66-G区域に収容されています。

説明

SCP-2075は現在63歳の白人系男性であり、元はGRU"P"部局に警備員として雇用されていたアレクセイ・クラフチュク(Aleksei Kravchuk)です。SCP-2075は神経系統への激甚な変質能力を持つ微生物病原体を吐き出します。SCP-2075により感染した個人はSCP-2075-Aと分類され、SCP-2075の拡張部と考えられます。SCP-2075はその異常能力を距離によらず発揮する事ができ、SCP-2075-Aが破壊されない限りは無期限にその制御を維持します。Dクラスを用いた実験では、SCP-2075が自身の元の身体と同時にSCP-2075-Aを操る事が可能である事が示されました。もしも大元となる身体が破壊されると、生き残りのSCP-2075-AがSCP-2075の役割となり、異常な病原体を放出します。SCP-2075は同時に一体より多くのSCP-2075-Aを制御する事は不可能です。

SCP-2075は財団職員との会話に対して熱心な意欲を表しています。SCP-2075は紀元1204年1に生まれたと主張していますが、これが本当だとするなら、SCP-2075は財団の管理下に置かれた1991年██月██日の時点で787歳であったと見積もられます。

SCP-2075はロシア語で話す事を好み、また、英語、ドイツ語、更にはウラル語族のある古い言語にも流暢である事が判明していますが、この言語は現在知られているいかなるウラル語族の言語とも一致しません。対象は識字能力がありますが、文字の書かれた物や筆記用具に関する要求は何ら為されていません。

インタビュー対象: SCP-2075

インタビュアー: アルバート・クローネンバーグ(Albert Cronenberg)博士

序: 生物収容サイト66-G区域への移送が完了した後、SCP-2075に行われた最初のインタビューである。

<記録開始、[13:06]>

アルバート・クローネンバーグ博士: ようこそSCP-2075。ここが快適だと良いのですが。

SCP-2075: ああ、大いに。

アルバート・クローネンバーグ博士: 結構。幾つか質問をしたいのです。正直に答えて下さい。

SCP-2075: 勿論。誠実な人間なのだ、私は。質問に答えよう…博士。

アルバート・クローネンバーグ博士: 記録しました。最初に、あなたの名前は?

SCP-2075: それは重要なのか?呼びたい様に呼ぶだろうに。私はカルキスト・ヴァリス(Karcist Varis)。

アルバート・クローネンバーグ博士: カルキスト?あなたの本名では無い筈ですが?

SCP-2075: そりゃそうだ博士。だが、捨ててもいい名前だったのは確かだ。この人間にかつて付いていた名は今や不釣り合いだ、違うかね?

アルバート・クローネンバーグ博士: そうですね。あなたは何故ここに居るか分かりますか?

SCP-2075: 同じ理由で皇帝が私を地下牢に囲った。同じ理由でスターリンも試みた。君は怖いのだな博士。彼らがそうであったように。

アルバート・クローネンバーグ博士: もし可能でしたら、あなたの異常な特質を説明願えますか。

SCP-2075: どうせ説明するなら日に月に。

アルバート・クローネンバーグ博士: 私に説明してみて下さい。

SCP-2075: 私が幼かった頃、教会は二つの世界について説いた。一つは肉体の世界、もう一つは魂の世界。これは間違っている。二元性の中に完璧など無い。私は全ての合一を学んだ。ひとつ教えてくれ、君は黄色という色をどのように感じる?何か科学的な事なら述べられるがその体験を言葉には出来ないだろう。私の特質とはそれと大分同じだ。

君に見せられるぞ。中に来てくれ、博士。

アルバート・クローネンバーグ博士: ここで一旦止めにしましょう。お時間、ありがとうございました。

<記録終了、[13:09]>

インタビュー対象: SCP-2075

インタビュアー: アルバート・クローネンバーグ博士

序: SCP-2075との七回目のインタビューである。会話はGRU"P"部局の報告書の欠落点に焦点が向けられた。

<記録開始、[14:30]>

アルバート・クローネンバーグ博士: あなたが初めて拘留されたのはいつですか?GRU"P"部局からはあなたについての十分な文書提供が不可能でした。55年度の火災について言いましたか?

SCP-2075: GRU"P"部局より前の事だった。レーニンよりもスターリンよりも革命よりも前だ。動乱の時代だ、いいか?2

私はノブゴロドで布教活動をしていた。良き教えを広めるため。ちょうど30年前に虐殺が起きた場所で、歩く度に死の塚を感じられた。農奴も、市民も、貴族も。全て私を喜んで受け入れた。

一人を除いてな、博士さんや。中傷する者が居たのだ。

アルバート・クローネンバーグ博士: 続けて下さい。

SCP-2075: 東方正教会の長司祭だったのだ奴は。私を魔女、異端者、ボゴミル派だと中傷した3。そのどれでも無かったが!ハハハ。酷い面の皮だ。

奴は群衆を煽り猛り狂わせた。肉の一片になった私が。遠くからその出来事全体を見ていた。

アルバート・クローネンバーグ博士: そうですか。その体験を説明して貰えますか。

SCP-2075: 君は指を落とした時死ぬかな?[含み笑い]自身が壊されるのを観るとは、酷く屈辱的な体験だぞ。

アルバート・クローネンバーグ博士: 興味深いお話ですが私の質問とは違います。あなたがGRU"P"部局により初めて収容されたのはいつですか?

SCP-2075: ほんとせっかちだよ君は。私の時間は永劫だというのに。

<記録終了、[14:35]>

インタビュー対象: SCP-2075

インタビュアー: アルバート・クローネンバーグ博士

序: SCP-2075との43回目のインタビューである。会話は不明な由来と異常能力の限界に焦点が向けられた。

<記録開始、[14:30]>

SCP-2075: 博士。いつもありがとう。

アルバート・クローネンバーグ博士: いえ当然の事ですよ。あなたの能力について話し合いたいのです。

SCP-2075: ああ。博士さんや。これまでずっとそうしてきただろう?

アルバート・クローネンバーグ博士: 他者を常に制御可能なのですか?

SCP-2075: 贈り物だよ。遠い昔に受け取ったもの。アディトゥムの崇高なるカルキスト・イオンに触れられ、私は信仰に受け入れられたのだ。

アルバート・クローネンバーグ博士: はい。あなたが作り上げたその能力を取り巻く迷信はもう幾つか収集しましたので。

SCP-2075: 最初から君は不信心者であったな。君は自身を醜悪な機械群で取り囲んでいる。決して壊れぬものを直す事を望む者達の如く。

アルバート・クローネンバーグ博士: 壊れ?

SCP-2075: Mekhaneの信奉者だよ。

アルバート・クローネンバーグ博士: あなたは、壊れた神の教会を知っている?

SCP-2075: よく知ってるとも。奴らは… 忌々しい連中だ。

アルバート・クローネンバーグ博士: 彼らについてはまた後ほど話し合いましょう。教えて下さい、イオンとは誰ですか?

SCP-2075: アディトゥムの高司祭。崇高なるカルキスト。我らの不滅の、最愛の父。

親愛なる博士、あるいは君もいつの日か聖下に謁えるだろう。

アルバート・クローネンバーグ博士: アディトゥムとは何ですか?

SCP-2075: アディトゥム?いと古き都市だ。その約束の地への道はイオンの調和と愛を通してのみ接続され得るのだ。

アルバート・クローネンバーグ博士: そうですか。あなたの異常性について再度お聞きしたいのですが。

SCP-2075: GRUはこれらを『肉人形』と呼んだ。あれらは人形ではない。我らが一つに統合されている。

アルバート・クローネンバーグ博士: 病原体の働きはどのようにして行われますか?あなたの意識を移しているのか、あるいは必要に応じてそれらの依り代を作り変えているのですか?

SCP-2075: 博士さんは、想像力に富んではいないのだね。

教えておくれ。限りある命の生きがいとは?奥さんについて聞いたよ。君の心情を思うと『本当に』心が痛む。

アルバート・クローネンバーグ博士: このインタビューはこれで終いにします。

<記録終了、[14:35]>

特別収容プロトコル

2014年██月██日現在、SCP-2075は収容されておらず、その所在地も不明です。

説明

SCP-2075は人数不明の宿主達を現在占拠している統合意識です。SCP-2075は神経系統への激甚な変質能力を持つ微生物病原体を吐き出します。SCP-2075により感染した者達はSCP-2075-Aと分類され、SCP-2075の拡張部と考えられます。SCP-2075はその異常能力を距離によらず発揮する事ができ、SCP-2075-Aが破壊されない限りは無期限にその制御を維持します。

<サイト66監視映像[24:00]>

[収容サイトに三名が進入する。各々アルバート・クローネンバーグ博士、警備職員ジェイコブ・D・ムーア、同ジョナサン・リーと確認されている。]

アルバート・クローネンバーグ博士: 私と話したいと要求したって?あなたの言いなりになる訳じゃないんですよSCP-2075。

SCP-2075: されど君は招きに応じて来た。

アルバート・クローネンバーグ博士: [聞き取れる程のため息]私の我慢もそう長くは保たない。さっさと用件を話してください。

SCP-2075: ここで見るべきものはもう十分に見た。今から君の元を去る。

アルバート・クローネンバーグ博士: 収容違反を脅迫しているのか?

SCP-2075: 長いこと君の肩越しに見ていた。真実、君が今監視する檻の中の男はその望むままに立ち去れる。我が欠片の総和を君は計算違いしていたな。答えてくれ、蛸の足を檻に入れたとして、その蛸は本当に囚われているのか?これには多数の替わりがある…

アルバート・クローネンバーグ博士: どういう意味だ?

SCP-2075: 私の収容だよ。全く問題にならなかった。常に自由の身だったのだ。振り向きなさい博士。監視カメラに微笑みを。伝言が送られている。

アルバート・クローネンバーグ博士: [警備用カメラを一瞥する]

SCP-2075: 『そしてイオンは6つの指を高く掲げ、兵士たちの槍は彼ら自身の身体を貫いた。』

ジェイコブ・D・ムーア: 『「あなたのために!」血が舌を浸す前に彼らは叫んだ。そしてイオンは言った。「さぁ、あれが見えるか?」』

ジョナサン・リー: 『そしてイオンの名において行われる串刺しは数を増し、ナドックスは涙を流した。それは彼に見せるためのもので、彼は今やイオンの言葉が真実であることを知った。』

アルバート・クローネンバーグ博士: やめろ!おい![クローネンバーグ博士がリー職員と争っているのが見られる]

SCP-2075: 『あれが見えるか?』

[リー職員がクローネンバーグ博士を取り押さえている間にムーア職員が博士の腹部に儀式的な装飾の短剣を突き立てる。この武器は後に異常物品に指定された。]

<監視カメラ破壊により映像途絶>

SCP-2075の収容房破裂時に警備職員へ警報が発せられました。不定形かつ相当量の肉と骨の塊により、防護限界が破壊・機能不全化されました。G区域には生物兵器の排除のため三フッ化塩素が注入されました。これにより死亡者56名を含む多数の死傷者が発生しました。G区域は完全に喪失したものとみなされ、現在再建中です。G区域中に飛散した物体から見つかったDNAはアルバート・クローネンバーグ博士のそれと一致しており、彼も死亡したと推定されます。

調査からジェイコブ・D・ムーア及びジョナサン・リーは両者ともSCP-2075の分身であると結論付けられました。両名とも10年以上に渡って財団へ並々ならぬ貢献をしていました。彼らがいつSCP-2075と繋がりを持ったのかは不明ですが、財団に加入する前に生じたものと考えられています。G区域内の残留物の一部からは彼らのDNAのみならずSCP-2075のそれも見つかりました。SCP-2075の真の能力から、GRU"P"部局と財団はこれまでに完全な収容を実現できたことはないと現在考えられています。

G区域内からパラジウム製の重さ2.26kg、円周22cmの輪状の物体が発見されました。当該物体に異常性は無く、またウロボロスが描かれており、宗教上の教義の象徴であると思われます。

SCP-2075の情報を得るべく、初期収容に携わったGRU"P"部局の職員を捜し求めましたが、全員が死亡または行方不明と記録されていました。


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