SCP-2218-JP : 南無八幡大菩薩

Information

八幡宮の総本宮である宇佐八幡宮(大分県宇佐市)

Name: 南無八幡大菩薩
Author: gokiso
Rating: 52/60
Created at: Wed May 25 2022
アイテム番号: SCP-2218-JP
オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル

SCP-2218-JPの運用及び機密情報の管理は八幡信仰研究所(略称: “八幡研”)が担当します。八幡研所属職員はレベル5/2218-JPを保持し、81管区支部内での独立した活動を実行することがO5評議会によって許可されています。

SCP-2218-JPは神社で祭祀される一般的な神格の一種であるというカバーストーリーが流布されています。印刷物及びオンライン上の情報の内容は財団運営botによって監視されます。財団が規定するSCP-2218-JPの背景情報から逸脱する内容を発見した場合は担当職員に提出され、審議の上削除または修正が実施されます。全国のLoI-2218-JPはリスト化され、神社本庁から独立して全て八幡信仰研究所の管理下に置かれます。

説明

SCP-2218-JPは神亀2 (725) 年に蒐集院によって作製された神格存在です。SCP-2218-JPは歴史上様々な呼称を有してきましたが、一貫して“八幡”というフレーズを呼称の中に含み、現在は一般的に“八幡神”や“八幡大神”と呼称されています。SCP-2218-JPは蒐集院による神格核の作製以来、それ自身が持つミーム汚染的性質及び蒐集院による政治的工作活動によって“信仰”を拡大させ、現在81管区において最も大規模な神格存在の一つになっています1

蒐集院によるSCP-2218-JPの利用方法として以下のような方法が挙げられます。

  • SCP-2218-JPを祭神とする神社2の境内(LoI-2218-JPに指定)は多くの民間人及び権力者が頻繁に訪問する環境であるため、これを管理することによって蒐集物に関する情報を迅速に得ることができる。
  • SCP-2218-JP関係者が権力者と関係を持つことによって3、権力者に対して直接働きかけることができる。
  • SCP-2218-JPの“託宣”によって政権や権力者等の行動を操作することができる。
  • 多くの信仰を集める神格存在を所有することによって、蒐集院における各巫術式の研究発展に様々な利益をもたらすことができる。
  • SCP-2218-JPの形而上学的影響力を応用することによって、神格存在やその他非実態存在による悪影響に対して耐性を得る4ことができる。
  • SCP-2218-JPはその信仰者に対して直接的な精神影響を与えることができることから、これを応用することで敵対人物の無力化や記憶処理、カバーストーリー流布などの蒐集活動を容易なものにすることができる。

昭和20 (1945) 年に愛知県名古屋市で蒐集院及び財団によって開催された戦後処理に関する会議において、SCP-2218-JPの蒐集院から財団への移管方法が最大の論点の一つになりました。当会議の合意内容に基づいて名古屋協定が締結されましたが、締結後もSCP-2218-JPの管理方法に関する調整が継続していました。その後同年12月31日に81管区設立宣言が発表された際、附属文書第8号においてSCP-2218-JPの管理方法が定められました。当該文書の内容については_補遺2218-JP.3_を参照してください。この際、SCP-2218-JPに関する情報の蒐集院からの継承及び機密管理を行う機関として、81管区支部理事会管轄下に八幡信仰研究所(略称: “八幡研”)が設立されました。上述した蒐集院による利用と同様に、SCP-2218-JPの規模の大きさや巫術的戦力の高さなどの諸性質は財団にとっても大きな応用価値があると判断され、SCP-2218-JPはThaumielに分類されました。例えば2013年に異常兵器開発部門によって提案されたピグマリオン計画5はSCP-2218-JPの霊的威力を応用する大規模な計画の一つであり、現在八幡研による情報提供を基に財団本部エリア-34(コスタリカ、サンホセ)において当計画に関する研究が進行しています。

補遺2218-JP.1

蒐集院によるSCP-2218-JPの作製、拡大及び管理方法について

81管区設立宣言に付随し、財団によって当該内容が整理され、報告書が作成されました。報告書内容の要点は以下の通りです。

  • 蒐集院は微弱な神格存在に大量のEVE6を摂取させることでSCP-2218-JPの規模を拡大させた。
  • 蒐集院は神仏習合や戦闘の神であるという性質などを利用してSCP-2218-JPの規模拡大を促進させた。
  • SCP-2218-JPには神格の核が存在し、それに対する操作によって神格性質を改変・修正することができる。
  • SCP-2218-JP信仰者にはSCP-2218-JPの操作を通じて直接精神影響を与えることが可能であり、これは記憶処理やカバーストーリー流布に対して応用が可能である。

報告書の全文は補足資料2218-JP.1を参照してください。

補遺2218-JP.2

蒐集院とSCP-2218-JPとの関係性について

蒐集院が過去に行ったSCP-2218-JPの作製や拡大、利用に関する内容と一般に公開された情報との比較が神話・民俗学部門によって行われました。当該内容は補足資料2218-JP.2に抜粋して示されています。

補遺2218-JP.3

81管区設立宣言附属文書第8号

1945年12月31日に発布された81管区設立宣言に付随し、SCP-2218-JP管理方法に関する取り決めが81管区設立宣言附属文書第8号において定められました。要点は以下の通りです。

  • 八幡信仰研究所が設置され、当該部署がSCP-2218-JPの管理を担当する。
  • 機動部隊い-2(“扇の的”)が八幡信仰研究所の管轄下に設置される。当該機動部隊はSCP-2218-JPを利用した呪術的攻撃による敵性実体の無力化を目的とする。

資料の全文は補足資料2218-JP.3を参照してください。

補遺2218-JP.4

事案2218-JP-1に関する報告資料

1950年11月28日、要注意団体“五行結社”による財団セキュリティ施設襲撃の事案(事案2218-JP-1に指定)が発生しました。以下の資料は1950年11月30日に当時の八幡信仰研究所所長・桜山博士によって提出された当該事案に関する報告です。

事案2218-JP-1ニ関スル報告

日付: 1950年11月30日
提出者: 八幡信仰研究所所長 桜山茂明

(1) 事案内容

以下に事案内容のタイムラインを記載する。

付記

以下のタイムラインは目撃者の証言及び映像記録から作成されたものである。

28日23:32~: 建設中のサイト-8113の北東ゲートを守衛していた機動部隊員5名が呪術的攻撃によって無力化された。サイト-8113に厳戒態勢が布かれ、対策本部が設置された。当サイトには機動部隊ろ-5(“陰陽師”)が待機していたため、当該機動部隊が北東ゲートを含む各ゲートに派遣された。23:45頃、北東ゲート、南ゲート、西ゲートにそれぞれ5名、5名、3名の五行結社所属戦闘員が出現し、各ゲートを攻撃した。

28日24時頃: 襲撃者が五行結社所属であることが判明した。当サイトが建設中であったため、機動部隊ろ-5(“陰陽師”)以外の呪術的攻撃に対応できる戦力が不足しており、対策本部によって周辺サイトに対する戦力派遣が要請された。この際、機動部隊い-2(“扇の的”)がサイト-8113へ出発した。南ゲートにおいて1名の五行結社戦闘員の無力化が確認されたが、機動部隊ろ-5(“陰陽師”)にも合計3名の損害が発生した。

29日00:02~: サイト-8113北西角にある建設中の区画の地面下に霊的実体の反応が観察された。約1分後、当区画に直径約20 mの陥没穴が出現し、中から約120体のレベルIV霊的実体が出現した。霊的実体の多くは太平洋戦争時の日本兵と同様の装備をしており、それと同様の実体攻撃を行った。戦力が各ゲートに集中していたためサイト内職員の対応が遅れ、財団非戦闘員に大量の死傷者が発生した。当該霊的実体の目的はサイト-8113内の施設及び人員の可能な限りの破壊であると想定された。霊的実体の発生後10分間以内に各ゲートを攻撃していた五行結社戦闘員は退避・逃亡したが、サイト内への対応のため追跡は行われなかった。01:00頃にはサイト-8113に所在していた職員による地下シェルターへの退避が完了したが、地上のサイト内は霊的実体の支配下に置かれる状況となった。また、事後調査によるとサイト北西部の穴から霊的実体が追加で出現しており、最終的にサイト-8113には約500体の霊的実体が出現していたことが判明した。

29日02:09~: 周辺サイトから各機動部隊が到着し、サイト-8113奪還作戦の開始が宣言された。当該霊的実体は靖国神社から五行結社によって“式”として連れ去られた“英霊”であると推測され、これに基づいた作戦が作成された。当作戦では靖国神社の“英霊”がSCP-2218-JPの精神影響を強く発現させることを想定しており、SCP-2218-JPによる無力化を利用しながら霊的実体を掃討することを目的とした。

29日02:40~: 上記作戦に基づき、機動部隊い-2(“扇の的”)によってSCP-2218-JPが召喚された。依坐は機動部隊い-2(“扇の的”)隊員・日奉いさなぎ 槇まきが担当した。当隊員は南ゲートから徒歩でサイト内に進入し、他部隊員は彼女を追跡する形で進入した。日奉隊員が霊的実体に接近すると、霊的実体は驚愕または畏怖したような表情を浮かべた後、その場にうずくまるまたは霧消する形で無力化された。SCP-2218-JPが霊的実体に有効であることが判明した後、日奉隊員及び各部隊に配布されたSCP-2218-JP祈念済装備によってサイト-8113内の霊的実体は迅速に排除された。

29日03:35: サイト-8113からの敵性霊的実体の排除完了が確認された。

29日05:20: 対策本部によって厳戒態勢が解除された。

(2) 被害

財団に発生した死傷者は合計153名であり、サイト-8113の多くの設備が敵性霊的実体による破壊を受けた。詳細は別紙を参照のこと。

(3) 考察

当事案は五行結社による計画的襲撃であると考えられるが、国連軍が中国軍の攻撃によって苦境に瀕したことを受け7、81管区支部に関する財団の注意が散漫になると五行結社が判断した結果実行されたものと思われる。

各ゲートに襲来した戦闘員はデコイであり、五行結社が主攻撃として想定していたのは北西区画から発生した霊的実体群によるものであると考えられる。当該霊的実体群は五行結社が靖国神社から接収したとされる太平洋戦争において戦没した日本国民から発生した霊的実体であると考えられている。

(4) 提言

上述したように、五行結社は戦没した英霊を靖国神社から接収し、“式”として使役できる状態であると考えられ、それが正しければ五行結社は246万体以上の敵性霊的実体を保有していると言える。これは全く軽視することができない戦力であるが、今回の事案記録が示すように、これらの霊的実体はSCP-2218-JPを用いて迅速に無力化することができると考察される。これは、戦争という極限状態において神仏の加護を彼らが求めたと考えられること、日本軍が“八幡大菩薩”による守護を採用したこと8などから、彼らのほとんど全員がSCP-2218-JPの“信仰者”であると見なされたからであると考えられる。

今もなお81管区支部を取り巻く状況は不安定だが、SCP-2218-JPが持つ敵性団体への抑止力は注目すべきものであることが今回の事案において示唆された。したがって、SCP-2218-JPの利用拡大について再検討することを提案する。

以上

当該提言を受け、81管区支部理事会の承認によって以下の措置が行われました。

  • 機動部隊い-2(“扇の的”)の戦力規模を拡大する。
  • 81管区内の各サイトをSCP-2218-JPの信仰回路に接続した巫術式対霊的実体防御壁で被覆する。
  • 81管区内の各サイト及び各機動部隊に、SCP-2218-JP祈念済み兵器を装備・備蓄させる。

以上の措置は過去に起こった財団セキュリティ施設への襲撃インシデントや要注意団体への各種対応において有意な好影響を与えています。ピグマリオン計画を含め、現在八幡信仰研究所の情報提供の下SCP-2218-JPの霊的威力を応用した各種技術開発が進行しています。

以降の内容はレベル5/2218-JP保持者にのみ公開されています。当該内容を閲覧する場合は、自身がアクセス権限を保持していることを確認してください。

警告

プロトコル・照覧及び外宮協定の内容は81管区支部理事及び八幡信仰研究所所属職員にのみ公開され、許可なきアクセスは致死性認識災害適用の対象になります。

当該プロトコル及び協定の内容の漏洩は蒐集院による財団への種々の協力に対する背信、81管区における各要注意団体の勢力均衡の崩壊、O5評議会による81管区支部運営方針に対する背信につながることを留意してください。

補遺2218-JP.5

プロトコル・照覧

当該プロトコルは蒐集院から財団へSCP-2218-JPが移管された際、蒐集院の活動を継承及び拡大する形で策定されました。

プロトコル・照覧

LEVEL 5/2218-JP CLASSIFIED

目的

可能な限り多くの 81管区内の民間人及び財団81管区支部職員をSCP-2218-JP信仰者に変異させることによって、財団による収容及び正常性維持活動を容易なものにします。

方法

石清水八幡宮本社(京都府八幡市)

動作2218-JPが神社の正式な参拝方式であることを、81管区内に所在する神社での掲示、各媒体での発信などを通じて81管区の民間人に周知させます。81管区支部職員に関しては、非異常性イベントに偽装して動作2218-JPを行わせることでSCP-2218-JP信仰者に変異させます。理由があって動作2218-JPを行う意欲を示さなかった場合は、適宜巫術的操作によってSCP-2218-JP信仰者に変異させます。

補足

明治維新における廃仏毀釈9に伴い、仏教と深く習合していたSCP-2218-JPは神格性質を大きく毀損し、その結果霊的威力を大きく低下させました。事態を憂慮した蒐集院は、以下のようなシステムを構築することで多くの民間人をSCP-2218-JP信仰者に変異させ、EVEを回収してSCP-2218-JPを成長させることを画策しました。

  • 日本国内の神域をSCP-2218-JP信仰回路に接続する。
  • 上記の神域内で一定の動作(動作2218-JPに指定)を行うと、SCP-2218-JPとの“信仰”の契約が結ばれるように神格を設定する。
  • 上記のプロセスによってSCP-2218-JP信仰者となった人間は、常時微弱なEVEがSCP-2218-JPに供給される。回収されたEVEは石清水八幡宮本社内の複数の神具に貯蔵される。

動作2218-JPの内容は以下の通りです。

日本国における神社の参拝方法は明治時代まで定まっておらず、それまでは神仏習合に従い神前で拝礼または合掌をするのみに留まる民間人が大多数でした。このような状況の中、蒐集院は明治政府に働きかけることで、明治8 (1875) 年に制定された『神社祭式』において参拝方法を“一揖、再拝、二拍手、一揖”に定めることに成功しました。その後当該参拝方式は徐々に民間に浸透していきました。財団はこのような蒐集院の活動を継承し拡大することで、81管区内の正常性維持活動にSCP-2218-JPを利用することを着想しました。

81管区住人をSCP-2218-JP信仰者に変異させる利点として以下のような点が挙げられます。

  • 有害な現実改変または認識災害、敵性霊的実体または神格存在、種々の呪術的攻撃や各Kクラスシナリオから、SCP-2218-JPの“加護”を通じて81管区住人の生命を守護することができる。
  • 多数の人間からEVEがSCP-2218-JPに提供されることによってSCP-2218-JPの神格存在としての規模はより大きくなり、その結果前項の作用に関する効率やSCP-2218-JPの戦術神学的威力が向上される。
  • SCP-2218-JP信仰者に対する精神操作によってカバーストーリー流布や大規模な記憶処理が容易になり、財団の収容作業に利益をもたらす。
  • SCP-2218-JP信仰者はSCP-2218-JPによる“託宣”に従順であり、これによって財団の収容作業を迅速なものにすることができる。

以下は実際にプロトコル・照覧が利用された事案の抜粋です。SCP-2218-JPによる“加護”が十分に機能しなかった例が含まれています。

事案2218-JP-12 (1959/01/22)

北海道阿寒湖において神格存在が顕現。自然発生的顕現であることが判明。機動部隊い-2(“扇の的”)が対応し、同日中に鎮圧を完了。当事案によって阿寒湖の面積は元の約60%に縮小し、M 6.3の地震が発生。SCP-2218-JPによる記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

事案2218-JP-23 (1989/07/18)

滋賀県琵琶湖北部において神格存在が顕現。五行結社による人為的召喚であることが判明。機動部隊い-2(“扇の的”)及び各機動部隊が対応し、翌日に鎮圧を完了。当事案によって琵琶湖北部に所在していた“渡わたり島”が消失。SCP-2218-JP信仰者が持つ耐性によって、民間における被害は想定以下。SCP-2218-JPによる記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

事案2218-JP-34 (1999/07/22)

長野県塩尻市において攻撃的ミーム汚染特性を有する未確認オブジェクトが発生。後にSCP-████-JPに指定。収容完了まで約3,000人が影響下に置かれ、約300人が死亡し、広範囲の市街地が損壊。カバーストーリー流布、民間人の鎮静化及び一時的なミーム汚染除去にSCP-2218-JPを利用。

事案2218-JP-49 (2015/02/25)

東京湾北部において神格存在が顕現。自然発生的顕現であることが判明。機動部隊い-2(“扇の的”)及び各機動部隊が対応。解析の後、SCP-2218-JPを適切な性質に修正し、対応に利用。当事案によって東京都江東区に所在していたサイト-81██の約60%が消失。6日後に鎮圧を完了。SCP-2218-JP信仰者が持つ耐性によって、民間人及び財団職員における被害は想定以下。SCP-2218-JPによる記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

事案2218-JP-55 (2017/02/10)

日本全域にミーム汚染が発生。発生源は後に収容され、SCP-████-JPに指定。ミーム部門、形式部門、秘儀術部門の協力で開発されたSCP-2218-JP“託宣”ミームを各媒体で流布し、[編集済み]をSCP-2218-JP信仰者に同時に行わせることによってインシデントを鎮静化。SCP-2218-JPによる記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

事案2218-JP-70 (2021/02/10)

滋賀県米原市において霊障的致死性ミームのアウトブレイクが発生。非人為的に発生したものであると判明。後にSCP-████-JPに指定。感染力の高さ及び異常性の危険性から、財団は機動部隊い-2(“扇の的”)を含む各機動部隊を派遣し、鎮静化及び無力化に利用。この際、自殺を促す“託宣”を感染者に適用することを倫理委員会が許可し、██人が“託宣”によって自殺。SCP-2218-JPによる記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

補遺2218-JP.6

外宮げくう協定

プロトコル・照覧に準ずる蒐集院の明治維新以降の活動によって81管区内の各神域からEVEを徴収することは、蒐集院と日本国神格群との軋轢を生む結果となりました。これを受け、蒐集院は1878年に日本国神格群との間にEVEの管理方法に関する協定を締結しました。当該協定は伊勢神宮外宮で開催された会議において合意に至ったため“外宮協定”と呼称されています。

蒐集院から財団へ収容体制が引き継がれたことを受け、八幡信仰研究所は当該協定を継承する形で改めて“外宮協定”を日本国神格群と締結しました。当該協定は1946年3月19日、伊勢神宮外宮において八幡信仰研究所及び神格存在“大宮能売おおみやのめ命”によって締結されました。以下に協定内容を示します。

EVE管理方法に関する協定書

SCP財団八幡信仰研究所(以下「八幡研」と呼称)と日本国八百万神特命全権大使・大宮能売(以下「日本国神格大使」と呼称)は、プロトコル・照覧における第六生命エネルギー(以下「EVE」と呼称)の管理方法について次の通り協定する。

(分配)
第一条 プロトコル・照覧によって参拝者から回収されるEVEは、総量の3%とする。

(起算日)
第二条 プロトコル・照覧及び本協定適用期間の起算日は昭和21年4月1日とする。

(保管及び運用)
第三条 プロトコル・照覧によって八幡研が回収したEVEは原則的に京都府八幡市・石清水八幡宮本社内で保管される。八幡研は保管中のEVEに関し、SCP財団81管区における収容及び正常性維持活動を円滑化することを目的として、自由に運用できるものとする。

(報告)
第四条 本協定の有効期間中、八幡研はEVEの使用状況に関して、日本国神格大使に対し5年に1回詳細な報告を行うものとする。報告は特別な理由がない限り3月31日に行われる。

(有効期間)
第五条 本協定の有効期間は起算日から100年間とする。

昭和21年3月19日
SCP財団八幡信仰研究所所長 桜山茂明
日本国八百万神特命全権大使 神祇官八神 大宮能売

当該協定は現在も有効になっています。また、当該協定第4条に基づき日本国神格群に対する財団によるEVE使用明細に関する報告会が5年毎の3月31日に開催されています。当初は人型依坐を介した対話が行われていましたが、1991年の報告会から神格顕現体自身が会合に出席するようになりました。

以下は2021年3月31日に開催された定期報告会の対談記録です。

音声記録転写

日付: 2021/03/31
場所: サイト-8175内特設会議室

出席者

  • 八幡信仰研究所所長 瑞穂 恆和

財団代表として出席。

  • 機動部隊い-2(“扇の的”)隊員兼八幡信仰研究所所属職員 日奉 千種ちくさ

当隊員はSCP-2218-JPの召喚(神掛かり)の経験が豊富であるため、瑞穂博士の身辺保護及び神格への牽制を目的として出席。

  • DB10-2218-JP-2

長髪を有し、スーツを着用した女性人型実体。これまでの報告会を含め、日本国神格群の渉外役を担当。神格“大宮能売命”あるいは“天鈿女あめのうずめ命”に相当。

  • DB-2218-JP-11

巨躯を有し、スーツを着用した男性人型実体。金属製の剣型武器を所持。神格“武甕槌たけみかづち命”に相当。

<記録開始>

瑞穂博士

本日はご足労いただきありがとうございます。それでは第15回報告会を始めます。

DB-2218-JP-2

[微笑して]ええ、お願いいたします。

[中略]

瑞穂博士

口頭での報告は以上です。詳細は書類をご確認ください。何か質問はございますか?

DB-2218-JP-2

質問ではないのですが、要望がございます。

瑞穂博士

なんでしょうか。

DB-2218-JP-2

ご存じの通り、昨今は地方の過疎化や信仰形態の変化などに加えて疫病も流行し、神域に足を運ぶ蒼生が少なくなり、我々の受ける信仰も大幅に減りました。つきましては、そちらが貯蔵している信仰を分け与えていただきたいのです。

瑞穂博士

心中お察しいたしますが、私たちの保有するEVEの次年度以降の利用計画案は既に決定されており、私一人が承諾できる提案ではありません。

DB-2218-JP-2

そうですか。そちらが得る信仰もまた減少していますし、お互い様なのかもしれません。本当に8年前11が懐かしいです。ところであの時に得た膨大な信仰ですが、先ほどの説明のように昨今は兵器に対して重点的にお使いになっているのですね。

瑞穂博士

はい。EVEを諸兵器に活用する計画が提案され、現在進行中です。

DB-2218-JP-2

その兵器とは、何を打ち滅ぼすためのものなのですか?

瑞穂博士

我々の理念に相反したり、人々を脅かしたりするような──異常性を有する各オブジェクトを無力化するために開発しています。

DB-2218-JP-2

[微笑して]そのようですね。実際我々が真影を民草に披露した際、あなた方は何度も我々に矛を向けてきました。

瑞穂博士

恐縮ですが事実です。もちろん最初から暴力的な手段を取るわけではありませんが、最終的にはそのような手段を取ることも十分ありえます。実際直近の事案において──

DB-2218-JP-2

忌々しい。

[日奉隊員及びDB-2218-JP-11、顔を上げる]

DB-2218-JP-2

[微笑して]大神おおみかみからそのように言付かっております。神々の得た信仰を、人の力を超えた兵器に対してまで用いるなど、度を越していると。加えて、我々が蒼生を戒めるために遣わした祟りの類すらも、あなた方は人の手で作られた神でかなり手荒く塗り潰していらっしゃいますね。あなたの先ほどの報告では濁していましたが、先月近江で起きた一件に関して我々は詳しく把握しております。あなたたちは正常性維持という目的とやらのために、多くの蒼生を殺すことに八幡菩薩を用いましたね。

[5秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

[日奉隊員を見ながら]私は蒐集院八幡衆に所属していたあなたの曾祖母を存じていますが──蒐集院の皆様なら、八幡菩薩の託宣をあのような没義道なことに用いることはなかったでしょう。

[日奉隊員、DB-2218-JP-2を一瞥する。言葉を言いかけるが口を閉じる]

DB-2218-JP-2

蒐集院の皆様に関しては、大神も好むまではいかずとも感心を示していたように見受けられました。特にこの八幡菩薩の育て方、使い方に関しては、名人芸であると面白そうに話す姿をよく拝見しました。もちろん、伊勢を朝廷から引き離したこと、皇大神を名乗ったこと、蕃神あだしくにのかみに擦り寄ったことなど、不満も多くございましたが──神には神を用いて抗うしかないという点で、彼らの行動には一定の理解を示した上で、面白おかしく観察なさっていたように思えました。

[3秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

しかし、あなた方財団に対しては、大神は比べようもないほどの不愉快を示しています。八幡菩薩を受け継いだのは盗みのようなものではないかという点、海の向こうからやってきてこの地の神秘を次々と接収していた点など、お怒りになった点は数多くありました。しかし最も怒りをお示しになった点は、神を神として見ていない点です。蒐集院は古来──斎蔵や蒐集寮などと呼ばれていた時からずっと我々と対話を続けてきましたが、その態度には常に畏敬の念が拝見出来ました。神は畏み奉るものであると理解していました。各神域に必ず一人は人員が駐在して我々に奉祀し、“七哲12”は毎年我々に対して活動内容と今後の予定を言挙ことあげし、神罰を受ける覚悟を示していました。彼らには顕見蒼生うつくしきあおひとぐさの代表として我々に奉献するのだという気概が感じられた、と大神は最近口癖のようにおっしゃっています。

[2秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

しかし、あなた方は神をものとしてご覧になっている。神をピスティファージ実体13と呼称し、礼拝ではなく観察、対抗ではなく支配する対象としてご覧になっている。違いますか?

[3秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

この間も大神は──あくまでもお戯れであるとは思いますが──足仲彦たらしなかつひこ14の際のように、神威を当代においても改めて示す必要があるのではないかという呟きを拝聴しました。とにかく最近の我々を軽んじる態度は目に余ると、大神から承っております。

[3秒間沈黙]

瑞穂博士

そうおっしゃりたい思いは重々承知しています。しかし、我々は民草の蔭に潜み、その正常性を守護する存在です。その目的のためには、人間の叡智を以て闇を照らし、理解しなければなりません。叡智とは科学です。科学という帰納的手順の中で、我々は未知の存在に対し、まずは主観を捨てて観察しなければならないのです。この作業に畏敬を感じることができないのであれば、私が代表して謝罪いたします。

[4秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

そうですか。やはり蒐集院とは毛色が違う。では仮に──大神が当代の天皇すめらみことを祟り殺めたとして、あなた方はどうなさいますか?

瑞穂博士

崩御が非異常性のものであることを流布いたします。

DB-2218-JP-2

その死が祟りであることを蒼生の夢寐にて宣ったならば?

瑞穂博士

記憶処理及びカバーストーリーを適用いたします。

DB-2218-JP-11

私と経津主ふつぬしが鹿島と香取の杭を抜き、大鯰を東国で暴れさせた上で、私が人々に神託を授けたならば?

瑞穂博士

同様に、記憶処理及びカバーストーリーを適用いたします。

[DB-2218-JP-11、剣の柄を握る。日奉隊員、印を結ぶ。5秒間膠着状態が継続]

DB-2218-JP-2

[微笑して]少し熱くなってしまったようですね。報告もいただいたことですし、我々はここで失礼させていただきます。

DB-2218-JP-11

──確かに忌々しい。私が民草の作った蕃神に屈するなど。

[DB-2218-JP-11、日奉隊員を睨んだ後退出し、消失]

瑞穂博士

はい。長時間お付き合いいただきありがとうございました。また、不愉快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。

DB-2218-JP-2

[微笑して]いえいえ、それがあなた方財団の理念なのであれば。それに、私たちが口をはさむ余地もないほど強固な信念でございましょうから、今更曲げさせようとも思いません。また5年後にお会いしましょう。それと──これは大神からの言伝ではなく私自身からの忠告ですが。

瑞穂博士

なんでしょうか。

DB-2218-JP-2

自分で言うのもおかしいですが、この私ですら、この地に天降った当初にまつろわぬ者の口を刃物で引き裂いたことがあります。ましてや他の神々が、民草に軽んじられることを厭わないはずがありません。

[2秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

そもそも蒐集院の皆様が我々から信仰をあたかも税のように徴収することを大神が渋々ながらも了承したのは、彼らの並々ならぬ努力と我々への畏敬をずっとその目でご覧になり、親しみをお持ちになっていたからにほかなりません。

[3秒間沈黙]

DB-2218-JP-2

80年近く経った上であえて申し上げていただくならば──新参者たるあなた方財団の態度を非常に不愉快に思っている、これは大神、ひいては天津神、国津神の総意と言って差し支えないということを申し上げておきます。もし再びあなた方が八幡菩薩の託宣をあのようにお使いになるならば、もはや我々も黙ってはおりませんでしょう。では失礼いたします。

[DB-2218-JP-2が退出し、消失]

<記録終了>

“祟る”という動詞は“腹を立てる”の“立てる”が自動詞形に変化して生まれたという説がある。日本国の神は、古来それぞれがある場所・物・事柄を占有し支配しており、人々は常に彼らに対して手向けの幣ぬさを捧げて許しを請い、それらの一部を頂戴してきた。また、衆生を能動的に救う仏と異なり、神は常に人々の畏怖の対象であり、“救い”を希求するためではなく“祟り”を回避するために祭祀を行ってきた。

この度、蒐集院の活動を継承する形で、財団は運よく神々から力の一端を抽出し、81管区住人の精神に直結できる権利を手に入れた。81管区支部設立の際O5評議会はこのシステムに大いに注目し、81管区を掌中に収めるための支配力として利用することを画策した。そして実際この力は絶大であり、要注意団体や敵性実体を無力化し、81管区住人の精神や記憶を意のままに操るほどの強大な力を財団は手に入れた。

しかし、我々は忘れてはならない。この国には八百万の恐懼すべき存在がひしめき合っていることを。いくらSCP-2218-JPが最も強大な勢力を持っているとはいえ、彼ら全員が我々に対して一斉に矢を射かければ、我々はひとたまりもないであろう。

その上で、私は提言したい。我々の理念を今一度思い出すべきであると。

彼らこそ、人類が有史以前から恐れ戦いていた理外の恐怖そのものである。我々は彼らに立ち向かい、封じ込め、人類が浴すべき陽光を保ち続けなければならない。そのために、我々はSCP-2218-JPの神格規模をさらに増強する必要がある。現在、八幡信仰研究所においてさらなるEVE供給のためのプロトコル・照覧の改定及び新規プロトコルの策定が進行中である。

我々は神を擁し、神に打ち勝つ。

確保、収容、保護。

南無八幡大菩薩。

──八幡信仰研究所所長 瑞穂 恆和


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