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SCP-6857の付近で分裂する接合子
Author: Tetsu1
Rating: 2/4
Created at: Sat Dec 06 2025
アイテム番号: SCP-6857
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル
SCP-6857はネバダ州、サイト-56に収容されます。SCP-6857は10 m四方の立方体囲いの中心に配置されます。この囲いはサイト-56におけるSafeオブジェクトの最高水準のセキュリティ要件に従わねばなりません。
出産が可能な財団職員は、実験シナリオ中を除き、SCP-6857の囲いに入ることを許可されません。主任研究員ルーカス・イサコフ博士が要求した実験機器やその他の設備は、囲いへの持ち込みを許可されます。
説明
SCP-6857は未使用のクリアブルー迅速検出妊娠検査キットです。受精したヒトの接合子にSCP-6857を接近させると、異常な形での接合子の分裂が誘発されます。発育を許せば、これらの接合子は遺伝的に同一の兄弟姉妹へと成長します。
ネバダ州イーリーで異常に高い割合で一卵性双生児が誕生していることに財団の統計学者が気付いたことで、財団は初めてアノマリーの存在を認知しました。中央分析部門は、該当の双子の母親全員が約9ヶ月前にドラッグストアであるライト・エイドの同一の店舗を訪問していたことを特定していました。機動部隊パイ-1 ("シティ・スリッカーズ")が秘密裏に該当ドラッグストアに派遣され、SCP-6857を特定、購入しました。
ドラッグストアの監視映像によると、SCP-6857の異常効果は半径約5 mに及びます。長期的または反復的なSCP-6857への曝露は、複数回の接合子の分裂を引き起こします。
補遺
中央分析部門の財団統計学者は、過去1年間ネバダ州における異常に高い割合の双子の出産に気付きました。中央分析部門はこの統計的に異常な現象の原因を断定するために調査に着手しました。
調査は統計学者のキャロライン・フィッシャー博士が主導しました。彼女はSCP-6857との関連を否定するためにサイト-56を訪問しました。
14時37分からのビデオカメラ映像
サイト-56オフィス、第6会議室。キャロライン・フィッシャー博士とルーカス・イサコフ博士は会議机を挟んで、話し合いを行っている。
イサコフ博士: –それで、君がそれを見つけ出したその人ということで?
フィッシャー博士: そうです。
イサコフ博士: それはまたきっと – なんと言うか – 砂場からコンタクトレンズを探すようなものだったのでは?
フィッシャー博士: まあ、母親全員がドラッグストアに行っていたことさえわかれば、あとは単純でした。パターンに気付いて、共通点を見つけるだけ。
イサコフ博士は頷く。
フィッシャー博士: それについてですけど、そろそろ本題に入りましょうか。
イサコフ博士: あぁはい! ですが、その前に、はっきりさせておきたくて。この、あー- 統計的異常が単なる偶然という可能性はありませんか?
フィッシャー博士: いえ。えっと、まあありはするんですけど、限りなく低いです。このきょうだいがネバダだけで生まれてて、しかも財団に関わってる人に偏ってるなんて-
イサコフ博士: 財団に関わってる?
フィッシャー博士: はい。被影響者の52%は財団職員か、その親族でした。ほとんどは配偶者や娘ですね。
イサコフ博士: 残りの48%は?
フィッシャー博士: そうですね、一卵性双生児の基準値を説明しますか。生まれる子どもの大体1000人に4人が双子で、過去12ヶ月でその2倍を観測しました - ただし、半径200 kmかそこら圏内のみで。
フィッシャー博士はアタッシュケースから薄いバインダーを取り出す。
フィッシャー博士: 予備報告によると、財団に対する何かしらの秘密作戦が行われた可能性があるようです。それで今回私は、現場の警備員と協力してSCP-6857の収容プロトコルを監査します。問題ないといいのですが。
フィッシャー博士は報告書のバインダーを会議机の上に滑らせる。イサコフ博士はそれを横目に見る。彼は指で不規則に机を叩く。
イサコフ博士: 妨害工作にしては変な方法ですが。
フィッシャー博士: そう思います。しかし何かがこの数値を引き起こしているのは間違いありません。SCP-6857の排除を試みています。
イサコフ博士はバインダーに手を伸ばし、それを開いて読み始める。フィッシャー博士はメモ帳を開くと、ペンをカチッと押す。
フィッシャー博士: まず収容プロトコルについていくつか質問させてください。SCP-6857の囲いはSafeオブジェクトの最高水準のセキュリティ要件に従わねばならない、と書いてあります。過去に、このオブジェクトに関してセキュリティインシデントなどはありましたか?
イサコフ博士: いや、少なくとも、あー、知る限りでは。
イサコフ博士は報告書のページをめくり、その間フィッシャー博士は書き込んでいる。
フィッシャー博士: オーケイ。プロトコルには「実験シナリオ」とも書かれています。このシナリオが具体的にどういうものか、詳しく説明していただけますか?
イサコフ博士: 無理ですね。
フィッシャー博士はメモ帳から顔を上げる。
フィッシャー博士: 何故です?
イサコフ博士は報告書を閉じて机の上に戻す。
イサコフ博士: 君にはセキュリティクリアランスが足り–
フィッシャー博士: でしたら中央分析部門に戻ってそれをもらってきます。向こうはこれが財団への脅威と信じるに値すると考えていますから–
イサコフ博士: 同意しかねます。
イサコフ博士はカメラに視線を向ける。フィッシャー博士はため息をつく。
フィッシャー博士: オーケイ。収容プロトコルには、実験に財団職員が使用されると暗に示されています。これはDクラスということでいいですよね?
沈黙。
フィッシャー博士: 何故体外受精を使わないのですか? 実験室の環境ではそちらの方が適しているのでは?
沈黙。
フィッシャー博士: 検査には受精卵が必要だと思いますが。Dクラスに妊娠させるのですか?
沈黙。
フィッシャー博士: まさか彼女たちは終–
イサコフ博士: 残念ですが、フィッシャー博士、この質問についてこれ以上助けにはなれません。
16時2分からのビデオカメラ映像
サイト-56記録オフィス。アーキビストのケイシー・グリスウォルドがプレキシガラスの仕切りの裏に座っている。フィッシャー博士が入室する。
フィッシャー博士: よっ、ケイシー。
グリスウォルド: よく来たね、我が最高の研究仲間よ。確認してみたんだけど、キャロルが訊ねてきたスキップに関するセキュリティインシデントの記録はなかったよ。少なくとも、アタシの権限で見れる限りは。
フィッシャー博士: それは結構。実は–
グリスウォルド: そんで調子はどう? 生活は? 見た感じ本当に…… 働きづめっぽいけど!
フィッシャー博士は目に見えて驚くが、すぐに緩む。
フィッシャー博士: ハハ、うん、中央分析は私がいないと回らないから。あんまり詳しい話はできないけど、もちろん–
グリスウォルド: もちろん。
フィッシャー博士: –でも、実は今6857の件で行き詰まってる。他にも持ってきてもらいたいファイルがあるんだけど。
グリスウォルド: うぃっす。
フィッシャー博士: 探してるのは……
フィッシャー博士は質問を組み立てるために口ごもる。
フィッシャー博士: 6857の実験に参加したDクラス職員のリストを探してる。公開されてる記録はありそう?
グリスウォルド: 可能性はある。Dクラス情報の編集は場合によりけり……
グリスウォルドは言葉を止めてキーボードを叩く。長い沈黙。
フィッシャー博士: 子どもはどう?
グリスウォルドはキーを打ち込み続ける。
グリスウォルド: あぁ、いい感じにやってるよ。実はフルタイムのベビーシッター用の手当てももらったんだけどね。恩人様様ったらないよねえ。
フィッシャー博士: へぇ、いいじゃん!
グリスウォルド: うん、家に帰ったときに本当の母親が誰か覚えててくれればいいんだけど……
グリスウォルドは再び言葉を切る。最後のキーを押す。
グリスウォルド: おっ、ラッキーだね。100件以上ヒットしたよ。リストはメールで送っとく。一つ一つ全部イサコフ博士の署名入り。我らが孤独なロシア人遺伝学者。
フィッシャー博士: 孤独な?
グリスウォルド: あの人の目が悲しげなの見たことない?
フィッシャー博士は訝しげにグリスウォルドを見る。
グリスウォルド: う– 噂話はやめといた方がいいかな、ごめん、あの人は– いい人だよ。
フィッシャー博士はクスクスと笑う。
フィッシャー博士: この仕事はあなたに相当負担になってると思う、ケイシー。ここに閉じ込められて。あなたには合わない。
グリスウォルド: ハッ、まだ始まってもないよ。よし、ファイル届いてるはずだよ。
フィッシャー博士: 最高、ありがと。もっと確かめたいことはあるんだけど、軽収容室へ行か–
グリスウォルド: あぁ、どうぞどうぞ。統計学と数学の達人っぷりを発揮してきて。
フィッシャー博士: ありがとうケイシー。あと、デイビッドとエリオットとキャロラインおばさんがよろしく言ってたよ。
グリスウォルドは退室するフィッシャー博士に手を振る。グリスウォルドは椅子の上でクルクルと回転する。掛け時計を一目見る。
16時26分からのビデオカメラ映像
サイト-56軽収容室。インタビュー室D-10。フィッシャー博士が武装警備員に付き添われて入室する。
フィッシャー博士: –めて、急なご連絡でこの機会を設けていただきありがとうございます。
警備員は頷く。フィッシャー博士はインタビュー机の片端に座る。ブザーが鳴り、D-16562が入室する。彼は着席する。
フィッシャー博士: あぁ、あー–
フィッシャー博士はアタッシュケースに手を伸ばしてプリントアウトを取り出す。彼女はD-16562と紙を交互に見る。続いて警備員を見る。
フィッシャー博士: この人がD-16562ですか?
D-16562: だから言ったけどさ、俺の名前は–
警備員: 喋るな。
警備員はフィッシャー博士の方を向く。
警備員: 何か問題でも?
フィッシャー博士: あーいえ– 大丈夫です。
フィッシャー博士は姿勢を直し、D-16562に話しかける。
フィッシャー博士: オーケイ。いくつか質問があります。一番最近の実験割り当てはいつでしたか?
D-16562: あー、3週間くらい前かな。
フィッシャー博士: それについて教えてもらえますか?
D-16562は顔をしかめる。彼は警備員を見つめる。
D-16562: いや。もちろん無理だよ。
フィッシャー博士はD-16562の視線を追う。
警備員: 記憶処理をしたはずです。標準手順で。
フィッシャー博士: あぁそっか。あー、2日前の活動について説明を–
D-16562: 俺はどこにいたと思う? このバ–
警備員は突然D-16562へと向かい、アサルトライフルを掲げる。D-16562とフィッシャー博士は共に目に見えてたじろぐ。
D-16562: わーったよ、糞が。悪かった。その日はキッチンでダブルシフトだった。真夜中から午後4時まで。人手不足だな。
D-16562は警備員を睨む。彼は武器を下ろす。
フィッシャー博士: しかしあなたは覚えています。つまりその間に実験割り当てはなかったということですね。
D-16562は肩をすくめる。
D-16562: 多分。
フィッシャー博士: オーケイ。では、必要な話は以上です。
フィッシャー博士は立ち上がる。
フィッシャー博士: ご協力ありがとうございました。きっと、あー– 良い扱いをするよう口添えしておきますよ。
D-16562は冷笑してフィッシャー博士を見送る。
9時31分からのビデオカメラ映像
サイト-56オフィス、第6会議室。フィッシャー博士は既に会議机の前に座っており、目の前に参考資料を広げている。イサコフ博士は入室する。
フィッシャー博士: ようこそ、ルーカスさん。
イサコフ博士: こんにちは、キャロラインさん。
扉が背後で穏やかに閉じると同時に、イサコフ博士は席につく。沈黙。フィッシャー博士は深呼吸する。
フィッシャー博士: それで、ここにDクラス実験対象のリストがあります。
フィッシャー博士は眼前に広げられたバインダーの一つを示す。イサコフ博士は席上で身体を動かし、カメラを一目見る。
フィッシャー博士: そのリストのDクラスのうちシスジェンダーの男性がどれだけいるか知ってます? 半分以上ですよ。帰無仮説を検証しようとしているなら、素晴らしい仕事ですが。
イサコフ博士は身をよじる。沈黙。
フィッシャー博士: これらの実験ログは偽物ですか?
イサコフ博士: これは生産的な議論には思えません、キャロライン–
フィッシャー博士: だってこのDクラス職員はただランダムに選ばれてるように思えますし–
イサコフ博士: いや、そんなことは–
フィッシャー博士: –それにあなたがわざわざ偽装するのは、誰か他の人をSCP-6857の囲いにこっそり入れる必要がある場合だけです。そして私は、それが誰かを知っています。
イサコフ博士は椅子に座り込んでため息をつく。フィッシャー博士は眼前の2つ目のバインダーを叩く。
フィッシャー博士: あなたの実験日は、州内の一卵性双生児の誕生した日付と概ね一致しています - 平均妊娠期間を差し引いて。例外もありますが。
沈黙。
フィッシャー博士: 何故です、ルーカスさん? 何故キャリアをリスクにさらして–
イサコフ博士: ハッ!
フィッシャー博士: な– 面白いところありましたか?
イサコフ博士: いや、いや、今のは– 気にしないでください。
フィッシャー博士: そうですか。
イサコフ博士はカメラに必死の顔を向け、手を強く握る。フィッシャー博士は彼に目を向け続ける。
フィッシャー博士: 何か申し開きはありますか? なんでもいいですが。
イサコフ博士: い– いや、ない。
長い沈黙。フィッシャー博士はゆっくりと振り返り、カメラに視線を合わせる。彼女はバインダーから紙を一枚引きちぎってそこに書き込み始めるが、書き込みの内容はこの角度では見えない。彼女は紙を折り畳むと、机の上をイサコフ博士の方に滑らせる。
フィッシャー博士: オーケイ。これはどうですか?
イサコフ博士は紙を開いてそれを見つめる。彼は目を見開くが、やはりこの角度から記述内容は見えない。彼は紙を折り畳むとフィッシャー博士に向けて2度瞬きする。
イサコフ博士: こんなこと本当にできるんですか?
フィッシャー博士: シーッ。
フィッシャー博士はポケットから携帯電話を取り出す。中央分析部門のロゴが電話に描かれており、フィッシャー博士はそれを会議机の下に動かす。彼女は電話を凝視し続ける。
フィッシャー博士: ちょっと待ってください。
フィッシャー博士は画面を伏せて電話を置き、息を吐く。沈黙。フィッシャー博士の電話が鳴る。
フィッシャー博士: オーケイ、これできっと–
ビデオ映像破損
12時2分からのビデオカメラ映像
サイト-56カフェテリア。イサコフ博士は他の財団職員に混ざって食事をしている。他の職員も部屋に入ってき続けている。
インターコム: サイト全体へのお知らせです。
カフェテリアのほとんどの職員が直ちに食事を置いて、聴取に集中する。若手研究員のグループは会話を続けるが、イサコフ博士がそれを黙らせる。沈黙の後にインターコムから雑音が漏れ、続いてフィッシャー博士の声がする。
フィッシャー博士: あ– こんにちは。すみませんが、少々厄介なニュースを伝えねばなりません。
イサコフ博士は素早く立ち上がり、キビキビとカフェテリアを出る。フィッシャー博士は早口で話す。
フィッシャー博士: 財団にはとあるグループがいて、彼らは– 彼らのただ一つの目的は、私たちをここに留めることです。気付いていないかもしれませんが、あなたたちは– 私たちは全面的に財団に依存しています。人生のあらゆる面で。
沈黙。カフェテリアに残っている職員は目に見えて困惑している。
フィッシャー博士: 彼らはあなたたちに子どもを作ってほしがっています。財団の給料でしか養えない子どもを。彼らはあなたたちを、あなたたちの一部を、そうするよう操ったのです。そしてその後、彼らは–
サイト-56廊下。イサコフ博士は足早に廊下を歩いている。
フィッシャー博士: –彼らはあなたたちの何人かを、あなたたちの愛する人の何人かを誘拐したのです。
イサコフ博士の前に警備員の一団が歩いてくる。4人全員がガスマスクを着用している。イサコフ博士は立ち止まる。
フィッシャー博士: 彼らはあなたたちをここに連れ戻したんです。更に子どもたちを生ませるために。
警備員はイサコフ博士を指さす。イサコフ博士は後ろを向いて駆け出す。警備員はそれを追う。
フィッシャー博士: そして彼らはあなたたちに記憶処理をして、全て忘れさせたんです。
サイト-56記録オフィス。ケイシー・グリスウォルドは仕切り越しにインターコムのスピーカーを見つめる。
フィッシャー博士: ふざけた話に聞こえることはわかります。あー、ここに被害者のリストがあります。
沈黙。
フィッシャー博士: ケイシー・グリスウォルドさん。あなたは双子を生むことを強制されました。申し訳ありません。
グリスウォルドは遠くを見つめる。
フィッシャー博士: デイビッド・アーバックルさん。あなたの娘さんは昨年ここに連れてこられ、双子を生みました。
通気口から白い霧のようなガスが室内に漏れ始める。グリスウォルドはガスを見て目を見開き、後ずさる。
フィッシャー博士: ノラ・マシューズさん。あなたは三つ子を。
グリスウォルドは机に駆け寄り、ペンを掴むと、必死に書き込み始める。ガスが触手状に部屋中に広がる。
フィッシャー博士: ジョセフ・エヴァンスさん。奥さんがここに連れてこられました。
ガスがグリスウォルドに到達する。効果は直ちに現れ、動きが鈍くなって目が閉じる。彼女は床に崩れ落ちる。
サイト-56カフェテリア。大部屋の様子はガスで覆い隠されているが、カメラの近くに何人か意識を失って倒れているのが辛うじて見える。
フィッシャー博士: ケイトリン・グエンさん。あなたは……
フィッシャー博士は呂律が回らなくなる。
フィッシャー博士: あなた…… は……
沈黙。ガスマスクを着用した警備員がカフェテリアを闊歩している。インターコムがカチッと鳴る。
インターコム: お知らせは終了しました。通常業務に戻ってください。
15時45分からのビデオカメラ映像
サイト-56、地下41階。パニックルーム。壁は黄土色のカーテンで飾られ、床にはフラシ天の赤いカーペットが敷かれている。
部屋には家具が一つだけある。上半分が透明で下半分が不透明なキャビネットで、自動占い機の筐体に類似している。キャビネットには複雑な花の模様が彫られている。
チャイムが鳴るとともにエレベーターの扉が開く。目隠しをされたフィッシャー博士が2人の警備員にエレベーターから押し出され、カーペットの上に倒れる。もう一度チャイムが鳴り、エレベーターの扉が閉まる。
フィッシャー博士: クッソ–
フィッシャー博士はよろめきながら立ち上がる。
フィッシャー博士: 誰か?
フィッシャー博士は目隠しを外す。彼女は部屋を見回し、キャビネットをざっと調べる。明確な出口が見当たらず、フィッシャー博士はエレベーターの扉を叩く。
フィッシャー博士: ねぇ! 誰かいませんか?
部屋の中央にあるキャビネットが歪んだメロディーを流し始める。キャビネットのディスプレイに白い光が上下する。フィッシャー博士は素早く顔をキャビネットに向ける。用心しながら接近すると、メロディーが突然停止する。
フィッシャー博士: 何これ? あなたは一体–
キャビネット: わあああっ!
キャビネット内の天井近くで、乳児を模したマリオネットが身体をくねらせる。キャビネットの底では、内部の何らかの動作機構によって、段ボール製の粗雑な炎が踊っている。乳児は徐々に炎へと下がっていく。
フィッシャー博士: 何なのこれ–
キャビネット: わあああぁぁぁっ!
フィッシャー博士はキャビネットに一つだけあるボタンを押す。目に見える効果はない。
キャビネット: わああああああぁぁぁぁぁぁっ!
フィッシャー博士は再度ボタンを何度も押した後、キャビネットから目を背けて、部屋に向けて、キャビネットの不快な音越しに喋る。
フィッシャー博士: これが何なのかわからない、これで私をどうしたいのかわからない、これで–
キャビネット: わああああああぁぁぁぁぁぁっ!
乳児は今、危険なほど炎の近くにいる。乳児が炎に到達すると同時に、泣き声が部屋中に響き渡る。
音声削除済
フィッシャー博士は反射的に両手を耳に押し当て、膝をつく。目に見えて苦痛を受けている。
キャビネットのボタンが光る。フィッシャー博士はボタンが光ったのを見て、なんとか立ち上がる。両手を耳に当てたまま、肘でボタンを押す。
音声回復
フィッシャー博士は頭から両手を外す - 泣き声は止まっている。彼女は荒く呼吸をして、壁にもたれかかって座る。
キャビネット: あなたの目にはまだ火が灯っています、キャロラインさん。
フィッシャー博士: わから– 何のことかわからな–
キャビネット: わあぁぁ!
フィッシャー博士は必死でキャビネットに這い寄る。ボタンはまだ点灯している。それを押す。泣き声が止まる。
キャビネット: あなたの目にはまだ火が灯っています、キャロラインさん。